【セッション】21世紀日本の通商政策をデザインする: 内政と外交の立場から見るTPP
ORF1日目のセッションで「21世紀日本の通商政策をデザインする」が開催された。今話題のTPP問題に関して、7人のパネリストが日本の通商政策を交えて盛んに議論した。
■パネリスト
フランツ・バルデンベルガー ドイツミュンヘン・ルードビッヒー・マクシミリアンス大学教授
矢野義博 一般社団法人日本自動車工業会国際統括部長
チャールズ・レイク 米日経済協議会会長
川口順子 参議院議員
ジム・フォスター 政策・メディア研究科教授
渡邊頼純 総合政策学部教授
渡邊教授進行の元で各パネリストがTPPについて自由な意見を述べた。セッションでは、TPPに参加するにあたっての課題をどう乗り越えるかについて話し合われた。
中国を牽制するアメリカ
チャールズ・レイク氏はアメリカのTPP戦略、また国際資本主義をめぐる国際的な議論について語った。「我々アメリカは、中国を封じ込める立場ではないが、課題として中国のGDP比率の高い軍事費に注目している。また国家間での知的財産権上の問題などで、彼らは責任ある利害関係者としてリーダーシップを発揮できる立場にないことも見逃せない点だ。そのため、我が国の大統領であるオバマ氏は、中国以外と自由貿易協定を結ぶことで、中国が基本的な国際基準を守るように圧力をかけている。」とのこと。
日本の自動車産業の立場
矢野氏は、日本の自動車産業の立場から以下の3つの点に注目したいと述べた。日本のポジション、日本の国内市場、国内のグローバル展開である。まず矢野氏はTPPは重要で、参加の立場をとりたいという。これは自由な貿易投資の促進を図るためである。この背景にはFTAの韓国における自由貿易の上昇率の影響もある。
日本は国際化の準備を
フランツ・バルデンベルガー氏も、日本は参加すべきだという。世界では今、自由貿易の動きがある。だが、国際的な自由貿易化には準備が必要だ。それゆえ各国が、メリット・デメリットなどの情報をしっかり知るべきである。また日米関係は相互的な関係になっていくべき、とも述べた。
まずは交渉のテーブルに
セッションも終わりに近づくにつれ、しだいに参加者の間で意見がまとまった。渡邊教授は、日本が国内だけで問題を解決しようとするのは望ましくなく、まずは国際会議等各国との交渉のテーブルに参加すべきだ、と締めくくった。