ORF2日目の18:00からは、プレミアムセッション「ソーシャル×カルチャー×ロングテール」が行われた。若者を取り巻く現代の文化と社会について、様々なバックグラウンドを有するパネリストたちが多様な視点から議論する内容だ。


■パネリスト

・閑歳孝子氏 株式会社Zaim代表取締役

・斉藤理真氏 コラムニストアイドル

・山崎春奈氏 インターネット探検家

・濱野智史氏 株式会社日本技芸リサーチャ

・山崎由佳氏 SFC研究所上席所員(訪問)


若者はどこへ行くのか


 日本におけるポップカルチャーの変化は、メディアやSNSの影響を受けてますます混沌とし、複雑化している。いつの時代も新しいものを柔軟に取り入れてきたポップカルチャーは、これからどこへ向かおうとしているのか。日本の若者は、どこを見て、何を感じているのか。座席が足りなくなるほど超満員のセッション会場全体を巻き込んで、熱い議論が交わされた。

アイドルとファンの関係


 「どうして日本ではロングテール的なものがたくさん出てくるんだろう?」セッションの本題は、濱野氏のこの発言から始まった。濱野氏は、AKB48にまつわる様々な事象を現在の若者像に結び付け、メディアやSNSが若者の思想や文化にいかに影響を与えているかを説いた。
 山崎春奈氏も、インターネット探検家としての立場から、現在のアイドルとファンの関係について考察し、アイドルに関するWeb上の些細な動きも、ファンにとっては大きな変化だということを語った。
 濱野氏はこれにAKB48のケースを付け加え、2ちゃんねるとAKB48、およびAKB48のファンの複雑な関係について言及し、AKB48がWebを通してファンと関わり合っているという視点を付け加えた。

濱野智史氏濱野智史氏


山崎春奈氏山崎春奈氏



日本の若者とアメリカの若者


 アメリカで大流行しているサービスが、日本で必ずしも手厚く歓迎されているわけではないのはどうしてか、という点にも議論が及んだ。山崎由佳氏は日本の若者とアメリカの若者の生活構造の違いについて触れ、日本社会で受け入れられるサービスは限られているということを述べた。
 続いて閑歳氏が、海外から流入してきて日本で爆発的に普及したサービスとしてFacebookを例に挙げ、日本でのオープンなSNSの台頭について語り、さらにその真逆のクローズドなSNSの面白い点について、はてなoneを例に挙げて述べた。

(無題)左から斉藤理真氏、閑歳孝子氏、山崎由佳氏


 山崎氏はこのクローズドなSNSの面白さとAKB48やヨーロッパのアイドルグループの例から、ファンが応援したいと思わせるという点が、未完成なものをみんなで愛でる構造の鍵ではないかとまとめた。
 時間ギリギリまで多様な意見が出たこのセッション、変化していく日本のポップカルチャーを読み解く1時間30分だった。