12日(水)、メディアセンター地下1階AVホールで、16ミリフィルムによる記録映像「新世紀を迎う」の上映会が行われた。SFCが設立されるまでの歴史をまとめたもので、SFC設立当時の空気を感じられる上映会となった。


 今回の上映会は、現在メディアセンターでも展示されているKEIO SFC REVIEWの50号記念イベントとのコラボで行われたものだ。この「新世紀を迎う」は16ミリフィルムで撮影されており、専用の映写機でしか映写する事が出来ない。そのため、今回の上映会のために、壊れていた映写機を修理したそうだ。上映されたフィルムは、この上映会の後、保存・放映を容易にするためデジタル化する予定だという。

映写機放映に使われた映写機



 上映会の前に、湘南藤沢メディアセンター所長であり、KEIO SFC REVIEWの担当幹事もつとめている堀茂樹総合政策学部教授が講話を行った。

堀先生堀茂樹総合政策学部教授



 堀教授は、SFC REVIEWと自身のこれまでの関わりを述べた後、「REVIEWの歴史はSFCの歴史でもある。未来へ向かって模索する時、まずは今を反省的に見なくてはならない。そして、今を反省的に見るには、歴史を振り返る事が必要であり、このフィルムはその一助となるだろう」と締めくくり、上映が開始された。



 映像は、まず慶應義塾大学がなぜSFCを設立したのかという理念の説明からはじまった。当時の塾長であった故・石川忠雄氏の「新しい時代に対応するには個別科学を中心とする学部のみならず、その個別科学を組み合わせ、存在する課題に対応することを目的とする学部が必要」という設立理念が流された。

当時塾長当時の石川忠雄塾長



 その理念の元、藤沢市の積極的な誘致もあり、新キャンパスを現在の藤沢市遠藤地区に決定し、工事がすすめられた。キャンパスのみならず、交通の便のため、駅前の開発も行われるなど、大規模な地域ぐるみでの工事だったことが窺い知れる。

工事工事の様子



 初代総合政策学部長の加藤寛氏、初代環境情報学部長の相磯秀夫氏など、当時の教授たちが議論を尽くしてカリキュラムを作成している様子も映し出されており、当時のSFCに対する熱意と期待がひしひしと伝わる映像だった。

総合政策加藤寛初代総合政策学部長


環境情報相磯秀夫初代環境情報学部長





放映終了後、堀教授にお話を伺った。


— 1990年にSFCが設立されてから、今年で22年目。今後のSFCに、どのような考え方が必要だと思いますか。



 SFCの歴史も長くなってきて、「SFCらしさ」と呼ばれる考え方や手法が出来始めている。確かにそういった考え方を学ぶことも重要ではある。けれども、そういった「SFCらしさ」ばかりしか見ないのは、真のSFCらしさと違ってきてしまうのではないだろうか。

 「SFCらしさ」には定義がないことこそがSFCらしい。自らを問い直し続けるそのスタイルこそ、SFCがSFCたる所以であると思う。今出来始めている「SFCらしさ」にこだわらないことが、大事になってくるのではないか。

塾旗



 貴重な資料でSFCの根源を知る事ができたこの上映会。参加者にとって、あまり知られていないSFCの初期について触れることができるいい機会となっただろう。