29日(水)-31日(金)に東京ビッグサイトにて、"2030年の家"をテーマにした展示イベント「エネマネハウス2014」が開催される。このイベントでは、大学を中心とした産学グループが、先進的な技術を活用した新しい住み方を提案し性能と評価を競うコンペティション形式となっている。会場には、1次選考を通過した慶應義塾大学・芝浦工業大学・千葉大学・東京大学・早稲田大学の5大学のモデルハウスが建築される予定だ。


 今回、慶應義塾大学におけるエネマネハウスプロジェクトを主導している、池田靖史研究会(以下、池田研)東慎也さん(政・メ1)にエネマネハウス2014についての意気込み、苦労などを聞いた。


エネマネハウス東さん1東慎也さん(政・メ1)


–エネマネハウスとはどのようなイベントでしょうか?

「エネマネハウス」は、「ソーラーデカスロン」という国際的な大学対抗のエコ建築のコンペティションの日本版です。7月末から募集が始まり、8月末に1次選考を通過しました。結果、約20校のエントリーがあった中で、慶應大学を含む5大学に絞り込まれました。


–エネマネハウスに対して、慶應大学ではどのような取り組みがなされていますか?

エネマネハウス2014には、池田研の修士1年の3人が主体となって取り組んでいます。ゼロエネルギーハウスをテーマに、SFCからは中村修研究室、小林光研究室、理工学部から、伊香賀俊治研究室、西宏章研究室と恊働してプロジェクトに取り組んでいます。また約30社もの企業からバックアップして頂いており、技術や製品の提供などを頂いています。

エネマネハウス外観東京ビッグサイト付近に建設されたエコハウス(池田研から写真提供)


–たくさんの研究会、企業とどのように提携、また役割分担をされましたか?

取り組みの中で、池田研が建築の意匠設計、また全体のマネジメントを担当し、他の研究会がセンシング技術や、環境デザインなどを担当するように分担しました。

 昨年末には実際のデザイン、必要な材料の切り出しなどの必要な作業が終わり、8日から2週間という短い期間で施工がスタートしました。2週間という限られた時間の中で、1軒の建物を建設するのは難しく、事前の準備を入念に行ったり、また建設会社の方から短期間で建設のノウハウを授けて頂きました。協力してくださる企業は、専門分野がはっきりとしている企業が多かったため、きめ細やかなフィードバックを頂けました。


–取り組みの中で大変だったことはありますか?

池田研では意匠設計をおもに行っています。その中で同じ系統の研究会との交流はこれまでにもありましたが、情報系など、異分野の研究会とのコラボレーションは、容易ではありませんでした。何度もミーティングを重ね、マネジメントやディレクションについて本当に頭を悩ませました。1次選考を通過するまでは、かなり大変でした。しかし結果的にとてもいい技術の融合が生まれました。

エネマネハウスミーティング企業ミーティングの様子(池田研から写真提供)

 エネマネハウス2014の展示が31日(金)に終了した後は、SFCに移設できれば嬉しいです。実験型住宅として、核家族家庭から、ご年配のご家庭など、いろいろな人に実際に使ってみてもらえるだろうと考えています。実際にエコハウスが、どのように使われているかを実験・観測し、そこから開発のシステムを刷新していけることは、エネマネハウスに携わるどの研究会にとってもメリットになると考えています。

–SFC生にメッセージをお願いします。

 建築系に興味をもっているSFC生にはぜひ遊びにきていただきたいと思っています。当日は私たちや池田先生も会場にいて、実際に建物の中で説明を行います。「学生が3D、CGで作ったものが実際に建つ」という喜びを伝えたいです。また、参加することによって「自分もやってみたい! 」と思っていただきたいです。
 エコハウスを建設するにあたって、環境性能をいかに高めるかということも重要ですが、実際にその家で暮らすには「人間の生活に合った建築である」ことが非常に大切です。エネマネハウスの展示にご来場いただいた方には一人一票、自分の好きな建物に投票していただくことができますので、ぜひ足を運んで、我々コエボハウスを応援していただきたいと考えています。

エネマネハウス内装家具は池田研学部生による製作(池田研から写真提供)

「エネマネハウス2014」開催概要
日時29日(水)-31日(金)
場所東京ビッグサイト 東雲臨時駐車場
入場方法事前受付不要
入場料無料

 慶應大学を含む5大学が工夫を凝らして作り上げたエコハウスのコンペティション、建築デザインを志すSFC生はもちろん、環境デザインやセンシング技術に興味のある学生も足を運んでみてはいかがだろうか。