本日、コラム「CLIP Agora」が復刻します! CLIP Agoraは、SFC創設20周年(2010年)に向けて連載していたコラムです。「SFCらしさの伝道」をテーマに掲げ、現役のSFC生に限らず、教職員や卒業生などSFCに関わる方々を広く取材しました。


 2015年、SFCは創設から四半世紀を迎えます。この間、社会環境は大きく変化してきました。同時多発テロ、就職氷河期、大震災……。めまぐるしく変化する社会の中で、SFCとはどのような存在なのでしょうか。SFC生はSFCという存在を活用できているでしょうか。

 このコラムでは、SFCの外で活動する人にスポットを当てます。おもしろく興味深い活動を伝えるとともに、「SFCらしさ」を再発見し、激変する社会に対するSFCの役割を見出していきます。



 第1回は、「全国webリリースツアー」を展開中の上原英則さん(総3)を取材しました。各都道府県で必ず1つのWebサービスをリリースしながら、47都道府県を巡っています。


上原さん2


–実際にツアーをした感想を聞かせて下さい。

Webサービスを作りながら47都道府県を旅するのは、新しくて、フレンドリーで、エンターテイメント性があると思っています。


–いろんな出会いがありそうですね。見ず知らずの人とはどのように話をするのですか?

学生だと伝えると「どこの大学なの?」と聞かれます。当然、「慶應です」と答えます。続けて、専攻を聞かれると「経営とITです」と答えます。すると、みなさん「へぇ、すごいねぇ」と言ってくださるので、調子に乗ってしまうことも多々ありました。加えて、「慶應の中でもSFCと言ってITに関しては日本一強いキャンパスなんですよ」と添えると、相手はもっと関心を持ってくれるし、信用にも繋がり、SFC生である意義を感じました。

 ただし、バッジに物を言わすばかりではなく、Web開発には確かな自信があります。「できるのか?」という言葉には「できないことはないですよ」と返答しています。もちろん、自分の自信の背景にもSFCの存在があります。


–上原さんは、なぜITに興味を持ったのですか?

中学と高校は学校の寮に入っていて、パソコンを一切触らない環境だったので、大学に入ってから初めてITに触れました。入学して初めて触ったことが、逆にITへの興味が膨らむきっかけになりました。


–研究会ではどのような活動をされましたか?

2011年のORFでは、武田圭史研究会で「リアルいいね!」を企画しました。これは、FeliCa(非接触型ICカード)をかざすだけでそのブースに「いいね!」をつけることができ、その結果をSNSに表示するというものです。この仕組みは、当時、日本で初めてでした。


–ORFでの経験は現在の活動にどう生かされていますか?

ニーズがどこにあるかということをちゃんと考えるようになりました。自分の作りたいものを作るだけでなく、ニーズに応えたものを作っていかないといけないなと思うようになりました。ただし、今はニーズのあるものを作るだけでは足りないとも考えています。


–SFC生であって一番良かったことはなんですか?

まず、自由なところです。そして、キャンパスが広々としていて、人ごみもなく清々しい。入って良かったと思います。


上原さん1


— SFCの教育環境についてはどう思いますか?

学生同士がお互いに刺激し合っていますし、授業でゲストスピーカーから刺激を得ることもできます。SFCはバイタリティーがあって、強気に物事を進められる環境があります。ただ、環境は揃っているのに、「失敗しても良いからやる」という実際に動かす行動力が足りないなと感じることがあります。今のSFCには、プロジェクトを実行するときのマネジメント経験が足りていないのかもしれません。


–では、SFCだけにあるものとはなんですか?

まず、先程も言いました学生の活動を支える環境ですね。そして、SFC生の議論のが面白いこと。都心部と物理的に離れているけど、議論の内容に、社会との隔たりは小さい。関心の対象としては、他の大学等に比べて実践的な方向に向いていると思います。


–いろんな活動をするにあたって社会の人々と関わることも多いと思いますが、社会人と仲良くするコツを教えてください。

話すことです。まず、初めに「こんにちは」。結局、普通にしていれば良いと思います。ただ、特効薬としては、インタビュー形式でこちらが下手に出て「俺、何もわからないです」という立場で話してみるとよいと思います。これは学生の特権だと思います。


上原さん3


–将来の目標を教えてください

人類の幸福のために、政治と会社経営を両立したいです。


–なぜ、そのような目標を設定したのですか?

「なんのために生きてるんだろう?」ということを考えたとき、祖父が「お国のためだろう」と総括していたから、そう思いました。でも、自分の幸福を犠牲にしては絶対駄目だと思うんですよね。身体の仕組みって、心身相関という言葉があるように、自分の幸福を追求するようになっています。だから、「楽しいこと」を完全にやめてしまうと、モチベーションがガタガタになっていき、精神が崩れていきます。自分を大切にすることを前提にして、人類の幸福を目指したいです。



 上原さんの経験と持論から、見ず知らずの人へのある意味特殊なキャンパスであるSFCという存在をどう伝えるか、SFCという環境をどう生かしていくかということを考えるきっかけになりました。



 SFC CLIP編集部では、SFCの外で活動するSFC生や卒業生、あるいはSFCについてもの申したい方を募集しています。「そういう人を知っているよ!」「我こそは!」という方、ぜひ教えてください!