2日(日)、奥田敦研究会による「アラブ人学生歓迎プログラム(ASP)」が始まった。アラブ諸国の日本語学習者を招聘し、16日(日)までの2週間、学術交流に取り組んでいる。
 「ASPにおじゃま!」と題し、SFC CLIP編集部部員が密着取材を実施中。第1回は、イスラームには食のタブー(禁忌)が存在することに着目し、ムスリムの招聘者が日本でどのような食事をしているのかをリポートする。

日本食を前に笑顔を見せるハスナー・アウワードさん(ヨルダンから)

ムスリムが食べられないものって何? ハラールとハラームとは?

イスラーム法には「ハラール」と「ハラーム」という考え方が存在する。ハラールとはアラビア語で「合法な、許された」という意味であり、ハラームとは「禁止されたもの」という意味である。豚とアルコールが混ざっているものはすべてハラームとされており、ムスリムは摂取を控えている。
 

豚肉を食べない お酒を飲まない それだけではないんです!

現在市販されている一部の食品には、豚由来の成分やアルコール類が含まれている。個々人の判断によって違いはあるが、念のために避けるべき成分は次の通りである。

避けるべき成分
豚由来 豚肉・ポークエキス・ラード
アルコール類 アルコール・エタノール・酒精・清酒・みりん・洋酒・リキュール・料理酒・ワイン

これ以外に次の成分については確認する必要がある。
油※、加工油脂※、獣脂、ゼラチン、動物性油脂、ヘプシン、ショートニング※、ウスターソース、オイスターソース、香料、しょうゆ、ソーセージ、肉エキス、ペプチン、コラーゲン、食用油、チキンブイヨン、乳化剤※、マーガリン※
※植物性由来のものはハラールである。

また、イスラーム法には屠畜に関する規定も存在している。日本国内で流通している動物性の肉の大半はイスラーム法に則った屠畜がされていないので、そちらもムスリムそれぞれの判断が必要である。

食品の中には認証を受けて、ハラールマークがパッケージについているものもある。国際的に標準化されたハラールの規格はなく、ハラールマークにも複数の種類が存在するが、判断材料のひとつにはなる。

ハラールマークの一例

CLIP部員が招聘者と一緒にご飯を食べてみた

11月3日(月) 歓迎パーティー@SFC

絶妙にスパイスが効いたインドカレー

招聘者が日本に到着した3日(月)の晩、SFCでサプライズ歓迎パーティーが開かれた。弊部部員の、ASPでの初めての食事はインドカレー! 藤沢市用田のインドカレー店「カバブハウス」のものだ。いそいそとナンにカレーを浸して食べてみると、まろやかな辛さが口に広がる。カレーのスパイスとナンの甘さが絶妙な調和を醸し出しているようだ。この癖になる味わいに食欲を刺激され、手が止まらない。あっという間にたいらげてしまった。

左はアラブ菓子「バラージク」、右はバングラデシュのお菓子「セイマイ」

左のバラージクはゴマとピスタチオのクッキーだ。右は見たことのない見た目で、なかなか手が伸びない。おそるおそる少しお皿によそい、試してみる。すると、カレー同様、一口食べるともう手が止まらない。ココナッツミルクのような、優しい甘さのお菓子だった。

11月4・5・12日 志な乃屋

藤沢市の用田の料理屋さん。ASPのために用意された数種類の特別メニューの中から料理を選べる。今回は海鮮丼、焼き魚とマグロぶつ、藤沢炒麺を注文した。

新鮮な魚介がぎっしり敷き詰められている

こちらは海鮮丼。大きな丼に鮮やかなマグロやエビが敷き詰められ、ごはんが見えない。数の子は新鮮な魚介類はプリプリの噛みごたえで、満足の一品だ。

これぞ、日本食!

こちらは焼き魚とマグロぶつ。ごはんとお味噌汁、焼き魚と、理想的な日本食に招聘者たちは感動した様子。ごはんと一緒に食べる焼き魚は、おいしさも一入だった。添えられた漬けマグロの味も忘れられない。わさびや醤油を控えめに、マグロそのものの味わいを存分に堪能するのがおすすめだ。

魚介に野菜にと具沢山の焼きそば

こちらは藤沢炒麺。コシのある麺でモチモチとしている。コリコリしたイカとの相性も抜群。見た目以上に具沢山で味に飽きがこず、弊部部員は誰よりも早く完食してしまった。

これらの他に、以下のメニューも選ぶことができた。

大きなエビが食欲をそそる

こちらは天丼。天ぷらはアラブ諸国でもよく知られており、甘辛い味が人気なようだ。

とろりとした餡が絡んだ具沢山焼きそば

こちらは五目焼きそば。麺にとろりとした餡が絡んだ具沢山の焼きそばだ。こちらも招聘者に好評であった。

11月7日(金) 家庭訪問

食卓に数々の家庭的な料理が並ぶ

院生の家を招聘者と一緒に訪問し、家庭料理をいただいた。メニューは手前から順にハラールミートの唐揚げ、レモン塩のサラダ、豆腐の春巻き、マカロニサラダだ。ハラールミートを食べるのは初めてだったが初めてだったが、驚くほどおいしい。衣はカリッとしており、噛んだ瞬間肉汁が口の中にじゅわっと広がる。

ケーキ(左)と柿(右)など、デザートも充実

麩をバターと砂糖で炒めたお菓子

11月9日(日) ら〜めん のとやま

エビがたっぷり! 特エビラーメン

こちらは藤沢市長後のラーメン屋さん。ここでは、動物性の出汁や脂を使わないハラールなラーメンを提供している。ラーメンを食べたことがない招聘者とともにわくわくしながら入店。弊部部員は、特エビラーメンを頼んだ。小エビがこれでもかという程入っており、エビの香ばしい感じと香りでとても濃厚な味わいだ。エビ尽くしだが、飽きがこないラーメンだった。

奥田研によるランチプロジェクト

この量でたった200円!

奥田研の学生がランチを調理するランチプロジェクトが行われていた。招聘者や奥田研の学生たちはおいしい! と言いながらパクパクと食べていた。この量とバランスで値段は200円。驚愕のコストパフォーマンスだ。

招聘者の食事を考案 生活班長にインタビュー

— ハラールの国際標準の規格はまだないようです。奥田研でのハラールとハラームの基準はどうやって決めているのですか?

厳格なイスラーム教徒であっても食べてもらえるように、念入りに細かく設定しています。奥田研が提供する食材の肉はイスラーム法に則って処理されたハラールミートを使用しています。生協などで買う可能性のあるお菓子は、事前に問い合わせて成分を確認します。

— レストランにはどんな要望を伝えているのですか?

一般的なレストランではハラールミートを取り扱っていないので、魚中心のメニューをお願いしています。ただ今年のASPでもお世話になったカバブハウスはムスリムの方が経営しているので、「ハラール対応をお願いします」と伝えるとしっかり対応してくださいます。

— 生活班長をやったことで改めて気づいたことはありますか?

日本では非常に身近な成分である醤油やアルコール(料理酒)でさえハラームです。招聘者の食事を担当している中で、日本で厳密なハラールを求めることは難しいと感じました。

このように生活班は試行錯誤を重ね、ハラールを追求した。一方招聘者は普段は売られているものが全てハラールという環境で過ごしており、日本に来るまで自分が口にするものがハラールかハラームかを考えることはほとんどなかったという。

ナダーさん(左)もSFC生とハラールに則った日本食を楽しんだ。

シリアからの招聘者であるナダー・フサイニーさんは「大学の近くのコンビニに行ったとき、ハラールなものが少ないことを実感しました。ですが日本にいる間は、ASPの実行委員の学生のおかげで安心して食事ができました。一人だったらすごく大変だったと思います」と感謝の気持ちを語ってくれた。
 

次回は招聘者ナダーさんに密着

ASPにおじゃま! 第2回はシリアからの招聘者、ナダー・フサイニーさんに密着! 様々な思いを持ちながら日本にやって来たナダーさんの内面に迫る。お楽しみに!