春休みに際し、学事学生生活担当は、学生の海外渡航において安全を十分に確保するように注意を呼びかけている。このところの不安定な海外情勢に対する懸念はもちろん、海外で大学生が事件に巻き込まれるケースが相次いでいるためだ。SFC CLIP編集部は、学事学生支援グループの伊庭雅人さんに話を聞いた。
 常に最新情報を取得し、慎重な検討をもって、現地での安全を自ら確保するように緊張感を持とう。

研修や旅行など、春休みに海外への渡航を計画している学生は多い。これに対し、伊庭さんは「事件・事故に巻き込まれかけたという話がよく舞い込む」と話し、学生の安全面を懸念している。
 

不安定な中東情勢で呼びかけを強化 渡航先は慎重に検討を

中東地域の危険度は特に高い。(外務省海外安全ホームページ 中東地域渡航情報 http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcareahazardinfo.asp?id=13 より)

今回、学事が注意喚起をした背景には、特に中東情勢の悪化が影響している。特定の国や地域に限らず、全体的に情勢が不安定であり、中東への渡航予定がある場合は特に注意してほしいと伊庭さんは強く呼びかける。
 

危険情報必見! 渡航先の情報収集を怠らないで

外務省海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html)の様子

渡航先決定の際には必ず「外務省海外安全ホームページ」を確認しよう。このページでは、海外各地の危険情報が全5段階(0-4)で表されている。他にも、「安全対策基礎データ」「テロ・誘拐情報」などの情報もあり、各地における犯罪発生状況や防犯対策をはじめ、風俗・習慣・気候に関する詳細情報も確認が可能だ。

治安情勢は一刻一刻と流動している。あくまでも渡航の是非を判断するのは本人だが、計画段階から帰国に至るまで常に危険情報をチェックするなど、最新情報の取得を怠ってはいけない。
 

海外活動申請の提出も忘れずに 活動申請の徹底に注力

公認学生団体が海外で活動する際には、渡航日の1ヶ月前までに「海外活動申請書」の提出が必要だ。申請書類は、SFCではα館1階の学事窓口に向かって右側の学生生活担当で受け取ることができる。
 また、国内であっても団体として学外へ活動に出かける場合は、「学外行事届け」の提出が義務づけられている。しかし、実際は「学外行事届け」が提出されないことが多く、学生の学外活動を大学側が把握できていない状況だという。
 活動申請・行事届けが提出されていない場合、何か事件・事故が起こった際に、大学側は、その活動目的や参加者などの基本的な情報を探ることから対応を始めることが必要になってしまう。すると、肝心な対応が後手を踏んでしまうほか、大学が学生の活動を把握していなかったという責任問題にも繋がる。学事はこの現状を重く受け止め、教員や学生に対して活動申請・行事届けを怠らないように徹底している。
 

ちょっとした旅行でも登録を 緊急時情報提供サービス「たびレジ」

外務省海外旅行登録「たびレジ」Webページ(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)の様子

外務省が提供する海外旅行登録「たびレジ」は、滞在先の最新の危険情報や緊急事態発生時の警報メール・緊急連絡を受け取ることができるサービスだ。旅行日程・滞在先・連絡先などを登録すれば利用できる。ちょっとした短期間の海外旅行であっても利用することが推奨されている。
 こうした公的機関への登録のほか、渡航・滞在先を家族や友人に詳細に伝えておくことが、緊急時の安否確認において大切である。
 

海外研修にも影響 絶えず危機意識を持って

海外に安全な場所はないという自覚が欠かせない。治安情勢、危険情報を注視し、安全を第一にした海外渡航を心がけることが大前提だ。
 SFCの研究会や言語系授業で盛んに実施されている海外研修においても、中東地域をはじめ、今後渡航が見送られるケースが出てくるとみられる。

また、治安の良し悪しに関わらず安全対策や緊急時の対応について、学生本人と保護者・教員との間で十分な検討をしよう。事件に巻き込まれてからでは遅い。あらゆる危険の可能性を想定し、冷静に判断を下そう。