9月26日(土)の夜間にSFC-CNSの緊急メンテナンスが行われた。SFC-CNSとSFC-ERNS(大学院システム)のすべてのネットワークが一時利用できなくなり、メール、Web、VPNなどのすべてのサービス、キャンパス内の有線・無線LANが完全に停止した。あす3日(土)夜にも再停止すると発表。この異例の措置について、SFC CLIP編集部は湘南藤沢ITCに取材した。

通常点検では対応できない重大事案か

「重大な事案」とITC

湘南藤沢ITCの発表によると、システムを停止したのは26日(土)20:00-20:10の10分間。緊急メンテナンス作業にともなうCNS基幹ネットワーク機器停止のために、大学院(政策・メディア研究科)、看護医療学部エリア、湘南藤沢中・高等部エリアも含めて、SFC-CNS/ERNSのネットワークが一時利用できなくなった。

すべてのSFC関係者の授業や生活に大きく関わっているSFC-CNSは、バックアップシステムを整備するなど、極力システムを停止させないことを前提に運用されている。そのため、メンテナンスが必要な場合も運用を完全に停止させることはない。また、運用を停止させるとしても12月上旬に行われる変電設備定期保安点検の停電の際に行うのが通常だ。

しかし、今回、湘南藤沢ITCは9月の学期中にネットワークを完全に停止させた。どのような欠陥があったのか詳細な発表をしていないが、今回のメンテナンスの異例な規模と時期を考えれば、計画的なメンテナンスでは対応できない非常に重大な問題があったと考えられる。

SFC内のネットワークの保守管理を行う湘南藤沢ITCは「細部を公表することはできない」としながらも、今回の事案について「今後も影響が残るかなり重大なもの」とコメントしている。

バックアップにも関わる不具合か

SFCのネットワークを支えるシステムは、通常十分な冗長化によって安全性と安定性が確保されている。キャンパスを支えるシステムの一部に何らかの障害が発生したとしても、システム全体の機能を維持し続けられるように設計されているのだ。そのため、予備装置が平常時からバックアップとして配置・運用されている。今回の緊急メンテナンスでは、冗長性にまでも関わる不具合が関連していたため、この予備装置も含めて停止されたと思われる。

緊急メンテナンスは前日に決定

26日のメンテナンスを25日に決定

9月26日の緊急メンテナンスはその名の通り「緊急」的に決定された。「25日に深刻な不具合が実際に影響をもたらしたため、25日夕方に緊急でメンテナンスを行うことを決定した」と湘南藤沢ITC関係者。よりキャンパスへの影響が少ない日曜日ではなく土曜日に行うことに決定した理由には、日曜日に行う場合、もし問題が見つかったとしてもすぐに部品を手配できないということがあるようだ。

緊急性の高い背景に秋祭・25周年記念行事

今回の事案について緊急性が高いとされた理由は技術的背景だけではない。10月10日(土)・11日(日)にSFCで行われる秋祭の存在がもう一つの背景だ。湘南藤沢ITCとしては、何としても秋祭中にトラブルを起こすのは避けたい。今年の秋祭は例年と違い、25周年記念行事も大々的に行われるからだ。

また、メンテナンスの実施は授業などに影響を出さないことも考慮する必要があり、様々な兼ね合いを考え、9月26日に緊急メンテナンスを行うことが決定された。

問題の詳細を公開しないITC

今回の事案について湘南藤沢ITCは、メンテナンスの日時と内容を発表するのみで、その原因については詳しくは説明していない。

SFCは国内でも有数のネットワークに依存しているキャンパスであり、その欠陥はSFC全体に関わる問題だ。その問題は広く公表し、キャンパス全体でネットワークのあり方や危機対応について考えて行く必要があるだろう。

運用停止はできるだけ短くする方針

湘南藤沢ITCは「SFCはネットワークへの依存度が義塾の他キャンパスに比べて圧倒的に高い。もはやCNSはインフラとなっている」と現状を分析する。そのような環境では、ネットワークを止める時間は最小限にして、できるだけ止めずに作業することが望ましく、運用を停止する時間も10分程度に抑える方針だという。

続けて、あす10月3日(土)の20:00から再びメンテナンスを行うことがきょう2日(金)に発表された。前回と同じく、SFC-CNSとSFC-ERNSに関わるすべてのサービスが一時停止される予定だ。先週に続き運用停止は15分と短めに設定されている。ただ、無線LANのみならず、メールやSFC-SFSなどすべてのサービスが停止されるので、10月10日・11日の秋祭に向けた準備で夜遅くまでキャンパスに残っている人はもちろん、そうでない人も注意が必要だろう。

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