14日(土)の2限シータ館での「環境情報学の創造」(冨田勝環境情報学部長担当)の補講にて、竹中平蔵元総務大臣・現義塾グローバルセキュリティ研究所所長がゲスト講演を行った。


 竹中氏は、郵政民営化について小泉前首相との数々のエピソードを披露し、改革を成し遂げるのに絶対に必要なのは、「リーダーのパッション」と「細部にわたる戦略」であるとし、壮大な目標に向けてこつこつと努力を惜しまない、「夢見ながら耕す人」になってほしいと、メッセージを送った。途中、音響のトラブルでノイズが交じり音声が乱れると、「今のは抵抗勢力の妨害」と例え聴衆の笑いを誘った。
 講演後の質疑応答は学生の間から鋭い質問が相次いで飛び出し、予定終了時刻を延長して続けられた。その中で、現在の内閣の問題のひとつである教育問題について、まずバウチャー制度について触れ、「私は郵政民営化や不良債権問題をはじめとして、大臣としてやりたいことはほとんどやった。でも唯一達成できなかったのがバウチャー」と語り、「日本で1番とされる東大ですら世界のランキング(調査団体によって異なるが)では45位。慶應に至っては100位に入るくらい。世界のトップ10に日本の大学が2つくらい常に名を連ねるべきだ」と語り、世界を視野に入れた日本の大学改革の必要性を強調した。
 今回の講演は「総合政策学の創造」(阿川尚之総合政策学部教授)の受講者も聴講することで出席点に加味されるなど、両方の授業の受講者の参加が促されていた。2007年度新カリキュラムにおいて、「環境情報学の創造」「総合政策学の創造」は共にそれぞれの対応する学部の学生の1年次での必修科目であるため、今回の講演では主に新入生による参加が期待されていたといえる。さらに、当日は多数の聴講者が予測されたため、オメガ館での遠隔による聴講が準備され20名程度が遠隔により聴講した。
【竹中平蔵氏・略歴】
1951年和歌山県出身。義塾総合政策部教授から、2001年小泉内閣において経済財政政策担当大臣に就任。その後参議院選挙に自民党比例代表として立候補し、トップで当選。2006年議員辞職後、義塾に復帰。