21日(土)3限、θ館で行われた「総合政策学の創造」(阿川尚之総合政策学部教授担当)の補講の特別招聘講師として、外務省事務次官・谷内正太郎氏が講演を行った。


 谷内氏は、小泉政権における外交政策を振り返り、「小泉氏とブッシュ氏との関係は、過去に例を見ないほど良好であり、それを反映して日米間における外交交渉もきわめてスムーズに進んだものの、アジア近隣諸国との関係は冷え切った状態が続いてきた」とした。
 その上で、今後の安倍政権に求められる外交上の課題は、「近隣諸国との関係正常化」「日米同盟の再確認」「自由と繁栄の弧の実現(注)」の三点にあるとし、これらを包括するものとして「凛とした志の高い外交」という政策目標を紹介した。
 またこのほかにも、「緊張した会談のあと外交官同士で、カラオケや温泉に行くこともある」といった「人間くさい外交」のエピソードも紹介し、学生に対しては「自分自身にどのような魅力を作っていくかを考えながら、大学時代を送ってほしい」と語りかけた。
【谷内正太郎氏・略歴】
1944年石川県出身。東京大学大学院法学政治研究科修了。1969年外務省に入省。在ロサンゼルス日本国総領事館総領事、総合外交政策局長などを経て、2002年10月官房副長官補。2005年1月より現職。 
注:自由と繁栄の弧
麻生太郎外務大臣が2006年に表明した構想。バルト3国から、東欧、中央アジア、東南アジアにいたる諸国を、地図上で結んだとき、弧状にみえることから名付けられた。この構想において、日本は、これらの国々が目指している市場経済や民主主義による発展を積極的に支援していくとしている。