今年のOpen Research Forum2011(以下、ORF)は11月22日(火)・23日(水・祝)に開催される。会場は東京ミッドタウン。今年のテーマは「学問ノシンカ」に決定した。またORF2011の実行委員長は小川克彦環境情報学部教授がつとめる。今回はその小川教授にお話を伺った。


 1996年から始まったORFは今年で16回目を迎える。15回目の昨年は2日合計で4,000人近い来場者があり、企業からの来場者が4割を占めた。内容はセッションと展示からなり、140の展示スペースと40のセッションがある。

一昨年のセッションの様子

セッションは様々なテーマで学内の教授、学外の有識者、ゲストが議論を繰り広げる。昨年は「『新しい公共』と社会のビジョン」というテーマで鳩山由紀夫前首相を招いて、金子郁容政策・メディア研究科教授、清水唯一朗総合政策学部准教授に加え学生3人が議論を行った。また、「高校生のためのSFC講座」というセッションでは、新保史生総合政策学部准教授や神成淳司環境情報学部准教授らが高校生からの生の質問に答えた。このセッションは、今年も開催される予定だ。
 展示では各研究会がこぞって日頃の研究成果をアピールする。建築を扱う池田靖史研究会ではアルゴリズミックデザインを用いたデジタル木造という大きな模型を展示し注目を集めた。また同じく建築系の松原弘典研究会は新宿区東五軒町ビルリノベーション設計の詳細な建築模型を展示した。
 今年は11月22日(火)・23日(水・祝)に東京ミッドタウンで開催される。ORF2011実行委員長の小川教授にお話を伺った。

小川教授

様々な”シンカ”

テーマは「学問ノシンカ」。今年はシンプルにやろうと思っていた。それはもちろん震災があったということもあるし、会場が変わったということもある。そしてこんな時代だからこそ、一度理念に立ち返って考えようと思った。慶應の理念はやはり福澤先生の『学問のすゝめ』。140年前に書かれた本だが、そこには世間の常識をくつがえすようなことが書いてあった。そこまでさかのぼって、そしてそこからまた進化が必要だ。それこそ学問の"進化"。そして研究や教育、学問を深める"深化"、新しくするための"新化"、またシンカのカの字は、「化」という意味もあり、視覚的には「力(ちから)」とも読める。色んな意味があるっていうのがポイントかな。

初の東京ミッドタウンでのORF

今年の会場は東京ミッドタウンの地下1階と4階。地下1階が研究の展示スペースになる。今年もオープンセッションはやろうと思う。地下1階のひらけたスペースでカジュアルにやりたい。4階の部屋は広いので、壁を作り3つか4つに分ける。4階と地下1階はエレベーターで直通になっている。4階のセッションに来てもらって、下の展示スペースを見て欲しい。そのために展示に絡めたセッションにしたり、セッションを聞いた後に展示スペースを見れば「ああそうか」とわかるようなものを増やしたい。あるいは去年からやってるけどアフターセッションというものを、プレミアムセッションのあとにオープンセッション会場でやりたい。もちろん出演者の問題などはあるので全部には出来ないが。

インタビュー引き

未来は変えられるから

震災が起きたという事実は元に戻るということはない。いずれにせよ苦難を乗り越えて進まなきゃいけないから。まああんまり暗いこと言ってもしょうがないので前向きなものにしたい。それでも「日本の真価を問う」と言ってしまうと他人行儀っぽくなってしまう。そうではなく、自分たちがやらなくてはならないわけで他人ごとでは済まされない。実学に近い、学生からなにか発信するセッションがあればぜひやって欲しいな。