14日(日)、SFCで国際ドローンレース「World Drone Prix In Dubai」の日本選考会が行われた。選考会にはSFC発のドローンレースチーム「KART(Keio Aerial Robotics Team・カート)」を含む11チームから16名のパイロットが出場し、盛り上がりを見せた。

"賞金1億円のドローンレース"への選考会

World Drone Prix In Dubaiは、3月11日(金)にアラブ首長国連邦・ドバイで開催される国際ドローンレースだ。賞金総額100万ドル(約1億2000万円)のこのレースには、本選考会を含む世界各地で行われる選考会を勝ち抜いた32チームが招待される。

この選考会は一般的なドローンレースとは異なり、各パイロットがフライトをした際のFPV(First Person View=一人称視点。この場合はドローン視点)映像やその他アピール映像などを本部・ドバイに提出し、選考を受ける形式だ。タイムアタック制でないドローンレースは珍しい。

一方、本選考会はひとつの国内ドローンレースイベントとしても開催されていた。そのため、練習セッション・決勝ラウンド・ファイナル4ラウンド(=最終ラウンド)の3部で構成され、純粋なタイムアタックレースとしての順位付け・表彰も行われた。

パイロット1人に与えられるフライト時間は7分。各パイロットはこの限られた時間の中でできるだけ速く正確にフライトコースを飛行し、総合的に優れたFPV映像を残す必要がある。飛行精度の目安とされるラップタイムはコース5周完走で1ラップとして計測され、各ラウンドの順位はそのうちの最速ラップにより決められた。

SFC発のドローンレースチーム「KART」に密着!

選考会には、SFC発のドローンレースチーム「KART」より小原章紀さん(環3)、佐藤健史さん(環3)、高宮悠太郎さん(環3)のパイロット3名が出場した。SFC CLIP編集部は、この3名に密着取材を行った。

練習セッション

10:00に開始した選考会。まず最初に行われたのは、午後の決勝ラウンドに向けた空間・ペース把握のための練習セッションだ。大雨・強風の悪天候によりグラウンドから体育館に会場を移しての開催となったが、レースはそのような天候をものともしない盛り上がりを見せた。

ドローン(drone)は英語で「雄の蜂」の意。その名の通り、まさに蜂の羽音のような音を立てて飛行する。

ドローン(drone)は英語で「雄の蜂」の意。その名の通り、まさに蜂の羽音のような音を立てて飛行する。

直前でレースコースが狭い室内へと変更になったためか、クラッシュにより練習セッションをリタイアするパイロットや、ラップタイムを出すことができないパイロットが相次いだ。出場した16名のうち6名がリタイア、5名がコース5周を完走できなかったためラップタイムなしという厳しい戦いになった。小原さんはリタイア、佐藤さんはラップタイムなしとなってしまったが、高宮さんはミスなしでコース5周を完走し、ラップタイムでも3位という結果を残した。

この練習セッションでの結果をもとに、決勝ラウンドのフライト順が決められた。昼休みを挟んで、選考会は決勝ラウンドへと続いた。

操縦中の高宮さん。専用のゴーグルを装着する。

操縦中の高宮さん。専用のゴーグルを装着する。

ドローンの操縦は大変難しく、レース中も観客を保護するネットや床・コースに設置された障害物への衝突が相次いだ。プロペラなど機体に搭載されたパーツの破損も多く、パイロットは随時機体を修理しながらレースに挑んでいた。

決勝ラウンド

続く決勝ラウンドも引き続き厳しい戦いとなったが、午前の練習セッションが功を奏したのか、このラウンドではKARTの出場メンバー全員がラップタイムを残すことができた。しかし、どのパイロットにとっても悔いの残るフライトとなったようだった。

  • 小原さん(5番目に出場)

スピードとパワーのあるプレーを見せた小原さんは、自他共に認めるKARTの「攻め担当」だ。しかしコースのターン部分でネットに衝突、そこからの復帰は叶わなかった。午前の練習セッションでの機体損傷が尾を引いてしまったようだ。

「次はサポートに回ります。レースはまだまだ続きます」と小原さん。続く佐藤さん、高宮さんをチームの一員として支える。

  • 佐藤さん(7番目に出場)

その後出場した佐藤さんは、1回分のラップタイムは残せたものの、それ以上の記録を残すことはできなかった。「(コースを)6周くらいしかできなかったので、10周は飛ばしたかった。落ち着いて操縦していればもっと良いプレーができていたはず」と悔しさをにじませた。

  • 高宮さん(15番目に出場)

最後に出場したのは、練習セッションでチーム1の成績を残した高宮さん。このラウンドでも安定感のあるスムーズな飛行を見せた。途中で機体が実況席付近に衝突する場面もあったが、ラップタイムで4位に食い込み、ファイナル4ラウンドへと進出した。

優勝者を決定するファイナル4ラウンドを前に、「体育館の大きさが分かってきて、(飛行スピードやコースを)ギリギリのところまで攻められるようになってきた。ファイナルはもっと頑張りたい」と語った。

ファイナル4ラウンド

決勝ラウンドのラップタイム上位4名が進出し、腕利きのドローンパイロットが顔を揃えたファイナル4ラウンド。KARTの代表も務める高宮さんは、チームの期待を背負いフライトへと挑んだ。

高宮さんの操縦するドローン(画像中央)

高宮さんの操縦するドローン(画像中央)

ラップ完走を一番の目標としていた高宮さんだったが、1周目から衝突・墜落が相次ぎ、5周を完走する前にタイムアップ。残念ながらラップタイムなしという結果に終わった。

「守りのはずなのに攻めのコースで行ってしまい、中途半端になってしまった」と高宮さん。スピードを重視するか丁寧さを重視するかを決めきることができなかったという。選考会までずっと屋外コースで練習をしていたため、飛行の感覚を室内コースに合わせて調整するのがとても難しかったそうだ。

ファイナル4ラウンドを制したのは、大会最年少参加者・高校2年生の高梨智樹さん(17)。2年前からドローンの操縦をしているという高梨さんは、すべてのラウンドを通じた総合成績においても優勝した。

本選考会に出場したパイロットの各種映像は現在ドバイで審査を受けている。この審査の結果により、日本からの出場パイロットが決まる。

ひとつの「チーム」として出場するということ

KARTのメンバー

KARTのメンバー

最初は「未来創造塾入門」授業内のグループワークの一環で結成されたというKART。現在はサークルという形で、パイロット4人・広報担当2人の計6人のSFC生で活動している。編集部がおこなったインタビューからは、チームの存在がパイロットの大きな支えになっていることがうかがえた。

レース中、墜落したドローンを修理するKARTメンバー

レース中、墜落したドローンを修理するKARTメンバー

KARTパイロットのレースで特に印象的だったのは、機体が衝突・墜落するとパイロットの代わりにすぐさま機体に駆け寄って対応する他メンバーの姿だった。他メンバーが対応に回ることで、パイロットにかかる負担を減らしていたのだ。チーム全員で同じ種類の機体を使用して練習していたため、機体についての情報共有もしっかりとされており、それが強みになったという。「機体を早くリカバリーしようという他メンバーの強い意思が感じられたので、安心して待っていられた」と高宮さん。チームのそのようなサポートは、パイロットに精神的余裕を与えた。

KARTのメンバーは、決勝ラウンドでは4位に高宮さん、5位に佐藤さん、6位小原さんが入賞するなど、総合成績上位3名・表彰圏内にこそ届かなかったものの、チームとしては他に出場したどのチームよりも良い結果を残した。

SFCから生まれたドローンレースチーム・KART。3月にはシンガポール、10月にはハワイの国際レースに参加するという。そのチームワークで、これからも大きな活躍を見せてくれるだろう。

KARTは春には新歓活動も行う予定とのこと。興味がある人は、sfcdrone@gmail.comまで。

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