「自分1人でできることは少ない」
 それが学生から社会人になって、頭ではなく体で感じたことです。


 ボビーから、このコラム執筆のバトンタッチを受けました柳澤です。   
 ボビーの文を読みました。”学問ノススメ”ならぬ”起業のススメ”は、私も同じように自分で生業(なりわい)を起こしている人間ですので、全く同感です。同じテーマを続けるのもありかな?と思いましたが・・・ここはあえて、 別の視点として、「サラリーマンのススメ」というのはいかがでしょうか?

『サラリーマンの言葉の定義』

サラリーマンという言葉を使う時、何かマイナスのようなイメージがあるような気がしますが、今回はそういうイメージを忘れてください。 単純に起業家としての対極にある組織に属する人という意味でありしかもその秘められたワードとしての響きには、スーパーマンや、スパイダーマンのような、一つのキャラとしてのニュアンスを含んでいます。

『サラリーマンの気づき』

私が学生時代の頃は、このコラム(?)を読んでいる学生諸君ほど、多分、自分の将来設計について、考えていなかったような気がします。
人並み(ちょい上ぐらい)なモラトリアム人間で、大学4年の後半は、卒業するのが決して楽しみとはいえず、就職することが自分の可能性を狭めるとすら思っており、具体的性には乏しく、ただ漠然と 「何か自分で起こしたいなぁ・・・」と強く思っている漢(ヲトコ)でした。
 そんな中、サラリーマン生活をスタートし、最初に感じたことは、 冒頭でも述べたように
 「あー自分ってなんて無力なんだろう・・・」
 ということです。
 それは正直、学生の時には感じたこともないものでした。
 ところが、それこそが、最大の発見だったのであります。
 すなわち、その気づきを通して自分のやるべきこと、できること、できないことが見えてきたのでした。
 えてして、学生時代は己の野心と己の相対的な実力のバランスが取れてないものです。
 そのバランスが見えてこそ、自分が生きている間に取るべき戦略が見えてきます。
 つまり自分の可能性に現実味が出てくるのです。
 もちろんその戦略を立てるにあたっては、当然”戦略の向かうべき先”、”すなわち野心(成功の定義)”を具体的に煮詰めておく必要があることはいうまでもありません。
 その野心に向かって、自分の実力を客観的に見つつ、どのような戦略・戦術を取るべきか?ということをわからせてくれるのが貴重なサラリーマン体験なのであります。
 と何やら、言葉遊びのようになってきましたが、
 今となっては、
 「サラリーマンになることは自分の可能性を逆に広げることだ」
 と断言できるようになったということです。

『サラリーマン脱落後の気づき』

かくして、自分のとるべき戦略を再認識した私は、サラリーマン脱落となります。
 そこで得たバランス感覚をひっさげて自分自身でルールを作る組織を初めるわけですが、その過程であらためて、サラリーマンの素晴らしさを痛感します。
 例えば、サラリーマンは『怒ってもらえる』 ―――人が怒るからには訳があり、そこから学べることは多いのに、怒ってくれる人がいなくなりました。
 怒られたときは結構取り返しのつかないケースが多いのであります。
 例えば、サラリーマンは『メリハリができる』―――労働時間に対する対価、という考え方が少なからずありますので 金曜の夜が楽しみになります。
そのメリハリが強制的にあるという意味ではとってもすばらしい。
 例えば、サラリーマンは『覇業を支える』―――金太郎じゃないですが、惚れた組織に忠誠を尽くす。誰かこれは!と思った人についていく。それは熱いことですし、楽しいことです。
 例えば、サラリーマンは『付加価値がある』――― これは属する組織によっても違うでしょうが、いわゆる大手企業は本当に自分を高めるにあたって、あるいは人生を楽しむにあたって得する制度や特典がもりだくさんです。
 
 などなど・・・
 サラリーマン時代はまったく気がつかなかったサラリーマンのすばらしさが見えてきたのでありました。

『サラリーマンのススメまとめ』

サラリーマン自身は、もしかしたら、その素晴らしさをあまり自覚してないのかもしれません。
 上記であげた、サラリーマンの美点は、脱落したからこそ分ることなのかもしれません。
 しかも、ここで触れたものは、きっと奥深き”サラリーマン道”のほんのサワリのようなものでしょう。
 暦2年という若輩者の私が語ることすら恐縮です。また、属する組織によって、サラリーマン像がまるっきり違うことはいうまでもありません。
 とはいえ、サラリーマンは気楽な稼業という安直な視点では 語れないのではないでしょうか。

『21世紀型サラリーマン』

とはいっても、今後はサラリーマンそのものが進化を遂げていくはずなのでここであげた情報は参考になるかどうかはわかりません。
 何も組織をやめて独立しなくても組織にいながら、独立した組織を作れる時代ですし、複数の組織に属するのも十分アリな時代だと思います。
 そういう意味で、Newタイプのサラリーマン像を作り上げていってもらうのが未来からの留学生の役目ですね。
 がんばりましょう。

最後に

私は2年でサラリーマンを脱落しましたが、今あらためて自分が別の立場になり、あぁ、人が辞めるのって結構痛いんだなぁ、とわかりました。
 SFC生はとにかく、すぐ「辞めちゃう」という社会の悪評(?)を少しでも改善すべく、願わくば辞める前に何かその組織に対してできうる限りの最大の貢献をもって、辞めるのが理想です。
 感謝されて辞められたらSFCの価値が高まります。
 SFCの価値が高まることはきっと自分の価値が高まることでもあります。
 自分が属してい組織にすら貢献できないのなら、 独立して、社会に貢献することなどできないのかもしれません。
 と、いつのまにやら「起業を前提としたサラリーマンのススメ」になってしましました。・・・

『柳澤大輔:Profile』

1996年環卒:SME(Sony Music Entertainment)就職。
1年大阪勤務の後、2年後退職。
高校時代の雀友”貝畑(カイハタ)”と高校の頃から旗揚げを約束し、大学で第3の男”久場(クバ)”を見つけ出す。
大学卒業後、サラリーマン、大学院、アメリカ放浪との3者3様の道を進んだ後、2年後に合流。合資会社KAYACを設立。
WEBの受託制作業務を行い、自社の面白Projectを敢行。今年WEB制作部門を、別組織化(株式会社Cuppy)し、KAYACは面白法人としての業務に専念する予定。
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