22日(土)、23日(日)の両日に、SFC万学博覧会2025(以下、SFC万学博覧会)が開かれる。SFC万学博覧会では、SFC最大の研究発表イベント「Open Research Forum」(以下、ORF)をはじめ「オープンキャンパス」「学術交流大会(慶應SFC学会)」「藤沢市民講座」など様々なイベントが結集している。
今回はSFC万学博覧会のうち、ORF2025の実行委員長を務める鳴川肇環境情報学部準教授に詳しく話を聞いた。
過去のORFについて語る鳴川准教授 過去のORFについて語る鳴川准教授

SFCをピクニックのような気持ちで散策してほしい

—— 今年度のORFのテーマ”Picnic on the Landscape”には、どのような想いが込められているか教えてください。

湘南藤沢キャンパスは槇文彦さんという建築家が30年前に全体計画をし、主要な建物を設計した作品なんです。4年前からORFがキャンパス開催となったとき、この美しいキャンパス自体を披露したいと思ったんです。今年もこの広々としたキャンパスに、50近い展示があったり、セッションやツアーが催されます。いろいろな場所に点在する展示を、来訪する人が渡り歩く知のピクニックのような雰囲気になれば良いなと思い”Picnic on the Landscape”と名付けました。

テーマに継承されていく"Landscape"という言葉

—— ピクニックという言葉をテーマに選ばれた理由を教えてください。

昨年のテーマ"The Landscape of SFC"をうけて"Picnic on the Landscape"へとつなげています。昨年度まで委員長をやられていた石川初先生も、ゆとりある湘南藤沢キャンパスの魅力を感じ取って”Pinic on the Landscape”と名付けたと考えます。

具体的な活動においても石川先生は遠藤地区全域の風景、つまりはランドスケープやキャンパスタウン構想にもご尽力されています。そのような活動背景からランドスケープという言葉をテーマにつけられた。その言葉をタイトルに継承したくて、ランドスケープにピクニックのカラフルなシートが置かれているようなイメージをつくりあげたいと考えました。

ORFのテーマを毎年単発的に名付けるより、前任の委員長がつけたタイトルに呼応した名付けるために、ピクニックという言葉を冠らせました。

制約の多い昔のORF

六本木時代のORFを説明する鳴川准教授 六本木時代のORFを説明する鳴川准教授

—— ORFは今年、SFCでの開催が4年目を迎えます(*)が、改めてキャンパス開催にこだわる理由を教えてください。

(*)2003-2019は都心, 2020-2021はオンラインで開催

以前は、六本木の東京ミッドタウンで開催していました。私はSFCに着任して、17年からはORF実行委員としてORFの運営に関わってきました。六本木での開催は都心部ということもあり集客力があります。そして大きくて天井も高いミッドタウンホールで開催するため写真映えするけれど、狭い。一区画が基本2.7m×2.7mでした。

—— 確かにかなり狭いですね。

SFCの先生方の扱う研究テーマによっては六本木の会場に収まらない大きな展示物があります。例えば、大前先生の自動運転バスは実物が走るところを見てもらう方が良い。ドローンも同様です。そういった実験が行われているSFCそのものを見てもいらく、3年前から会場をSFCへ移すことをORF実行委員会の全員で決めました。

—— ありがとうございます。六本木開催のころのイメージが湧きました。

15分単位の短いプレゼンテーション、ピッチを六本木開催当時のORFでやることになり、うちの研究室で設計を担当しました。ただ、ピッチ会場に鉄パイプの椅子を並べたら、TEDみたいで肩苦しくSFCらしくない。そのときに、鴨池の風景(ランドスケープ)を題材にしました。椅子を取り払って、斜面に人工芝を張って、先生も学生もあたかもピクニックにきているようなラフな姿勢で座って発表を見るようなセットを設計をしていました。その頃からロt本魏にくろうしてSFCのランドスケープを作っていたので、ORFがキャンパス開催になったのも自然の流れだとかんじました。 Pitch会場の様子 Pitch会場の様子

SFC開催で幅が広がっていくORF

—— この4年間でキャンパス開催のかたちがどのように進化してきたと感じられていますか。

キャンパス開催の初年度は2022年コロナ明けでした。先生方からは「SFCでORFをやっても誰も来ないよ」という声もあって、びくびくしていました。 なぜなら大昔、ORFはSFCでやっていたんですが、実際に全然人が来なかったんです。
結果としては、2022年度のSFC開催のORFは六本木の東京ミッドタウン時代の集客までにはいきませんでしたが、2日間とも結構始めから人が入りました。
SFC開催のORFの間取りを見せる鳴川准教授 SFC開催のORFの間取りを見せる鳴川准教授

初年度の準備段階において出展数も限定して最初はキャンパスのほんの一部の教室で全ての展示をまかなおうという意見も出たのですが、それではせっかくキャンパス開催の意味が薄い。それで出展者数も予想以上でしたし年を追うごとにさらに増え、β(ベータ)ヴィレッジ、τ(タウ)館など、展示スペースもだんだん拡張していきました。去年は体育館でも展示をしました。

—— 例えば、自動運転バスやドローン、あとは学生によるラジオ放送もあったというふうに聞きました。特に鳴川先生の印象に残っている展示や出来事を教えてください。

ラジオ放送は良かったですね。今年は、学生のラジオ放送がなく、とても残念ですが。あとは、研究室を研究展示スペースとして使うべきか否か、という議論があり未だにあるんです。研究途中のものが見られてはいけないので、という危惧がある。しかし、隣接する研究室にも迷惑かけずに秘匿性を保つようしつらえれば、研究室で展示をしてもよいということになりました。今年も幾つかの展示団体は普段研究開発が行われてる研究室そのものを見てもらう試みを行います。

また、去年からツアーという出展形式も始めました。例えば新築の学生寮Hヴィレッジを見るツアーがありました。デザイン系の先生5人ほどで展示を見て回るギャラリーツアーも開催しました。このツアーの出展者には研究室を展示会場にしてる先生方も多く普段立ち入ることがないニュービレッジにある「ドコモハウス」や、「DNP(大日本印刷)ハウス」「森アトリエ」の建物内を見ていただくいい機会になりました。

万学博覧会の一部としてのORF

—— ORFがSFC万学博覧会の一部として開催されるようになってから、どのような広がりを感じられていますか。

元々ORFは、SFC研究所主宰で研究室とそれを見にくる企業の方々などを想定し、次なる共同研究開発を誘発させるようなイベントとして開催していました。土日の開催ということで高校生や他大学生、親御さんも来るようになり、その影響を受け入学した学生もいます。それならばオープンキャンパスなどのイベントと一体化させることで、より多くの人に来場してもらい、SFCの魅力を感じてもらえるのではないかなと思っています。

常にベストを模索していくORF

—— 今後、ORFやSFC万学博覧会をどのような学びの生態系として発展させていきたいと考えていますか。

「発展」ではなく「変化」を目指したいと語る鳴川准教授 「発展」ではなく「変化」を目指したいと語る鳴川准教授

万学博覧会を4年続けて、キャンパスの魅力をパブリックに披露する役目はある程度達成できました。今後もそれを続けていってもいいとは思いますが、それがベストかどうかは、考えなければいけません。六本木のころの方が良いという声も時々ありますし、今までの新しい研究開発のきっかけを作る場として考えると、やはりSFCは少し都内の企業の人からすると遠いというふうにも思います。

SFCに来て本物の迫力を感じてほしい

—— ORFに訪れる高校生や藤沢市民の方々など、多様な来場者の方々にどんな体験を届けたいと考えていますか。

藤沢市民講座では地域とのコミュニケーションを深められていると思います。一方で、SFCの学生は遠藤の周辺を全然知らない。周辺地域との繋がりが増えていく仕掛けをもっと増やしていきたいなと思っています。

高校生や大学生の方々は、大学の雰囲気を知りたくて学園祭を見に行くことも多いと思います。ただ、学園祭だけで大学の良し悪しを学べるとは限りません。キャンパスの雰囲気、どんな先生が何をやっているかを一覧で見られるような場として、ORFはとても良いと思っています。

ORFを六本木でやっていたころは、SFCから展示物をトラックに乗せて運んでいて、そのトラックに乗らないものや門外に出せないものは今まで見られなかった。だからこそORF本来の目的である企業や研究者の方々に向けては、SFCに来て、実物の迫力を感じ取ってもらって、研究開発をスタートするきっかけになればと願っていますね。

きっかけとしてのORF

—— ORFを通して、来場される方々にどんな変化や気づきが生まれてほしいと考えていますか。

2日間のイベントを通じて、何かあるたびにSFCに足を運んでもらえると良いなと思っています。他の委員の方々がおっしゃっている、"ORF365"という考え方があり、ORFの2日間だけではなく、できれば365日間いろいろなものを見られるようなキャンパスにしていきたいと思っています。

来場者へのメッセージ

—— 来場者に向けて鳴川先生からメッセージをお願いします。

ORFへの想いをにこやかに語る鳴川准教授 ORFへの想いをにこやかに語る鳴川准教授

SFCは研究開発や教育の場として、都内からだと1時間半から2時間ほどかかるぐらい遠いという立地条件の悪さがあります。ですが、広い敷地でのびのび研究開発をして、24時間オープンしているキャンパスというのは、すごくポテンシャルがあると思います。都心の高層ビルに入っている大学とは全く異なる環境で我々は研究開発をしているということ、学生ものびのびと学習して、ここで残留して勉強しているんだというようなことを、肌身に感じてもらえればなと思います。

ORFに行こう!

SFCの叡智を終結した"ORF"、"オープンキャンパス"、"学術交流大会"などが行われる万学博覧会は22日(土)と23日(日)に開催される。
詳細は公式サイトから確認してみよう。

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