まもなく始まる就職活動。自分は将来、何をやったらいいのか、何がしたいのか、不安な3年生も多いことだろう。[就職のススメ]では、SFCの学生が直面する就職活動の現場をレポートする。


 第2回は、この秋公認会計士に合格し、来年から監査法人に就職する4年生女子の場合。彼女が会計士に魅力を感じた理由や、受験勉強中の苦労話、そして将来の夢などについて語ってもらった。
勉強を始めたのはいつ頃からですか?
 専門学校に行き始めたのは大学1年の夏からなので、まる3年通っていたことになります。週5~7回、追い込みの時期には一日12時間くらい勉強しました。受験生の99.9パーセントは専門学校で勉強するから、独学では合格するのは無理だと思います。
 大学受験の頃は、理工系の大学ばかりを受けて、そのなかでSFCは唯一、文系の大学でした。SFCに入ってから、どうしても手に職をつけたくて、やるからにはそれなりに難しい資格を取りたかった。
 初めは、株式公開の仕事をしたいと思っていました。会社が株式公開して上場するには、会計士の監査が必要です。私の友人がベンチャー企業を起こしていて、アイディアも面白いし、勢いも感じていた。けれど、財務が曖昧になれば会社が立ち行かなくなる現実もあることも知ったときに、私はそこで能力を発揮したいと思ったんです。
公認会計士とはどのような仕事ですか?
 企業が作る財務諸表を監査して、適性かどうかの意見を付す仕事です。たとえば企業は、余った在庫を損失としては出さないように、悪い業績を隠したがります。それを発見して財務諸表に表すのが、会計士の役割ですね。
SFCには、公認会計士を目指す学生は多くはないですよね?プレッシャーはありませんでしたか?
 SFCのカリキュラムでしっかり学びたいと思っている人は、両立は難しいと思います。SFCでは、学生は勉強しながらひとつひとつ成果を出していくけれど、資格試験は合格するまでは何も実績が残らない。この春、まわりの4年生が就職活動して内定が決まっていったときには「私は大丈夫なのかな」と不安でしたね。
SFCで楽しかった授業は?
 1年生春学期の「比較文化」(奥出直人教授)でした。露天商の日常をビデオで撮って編集して学期末にプレゼンしたのですが、いかにもSFCらしい授業だったと思います。資格試験の勉強は、机の上で学ぶ個人プレーなので、人とのつながりがない。いつも孤独ですよ。これから社会に出て働きはじめてから多くの人と接する機会はあると思うので、その点、SFCでグループワークなどで、いろんな人に出会えたことはプラスになっていくと思います。
会計士を目指す学生にメッセージなどはありますか?
 受験勉強はつらいので、中途半端な気持ちで始めるとたぶん失敗します。会計士とはどのような仕事なのかよく研究して、覚悟してから始めた方がいい。また SFCで会計を学ぶことと、試験に合格することとは、直接的な関係はないと考えていいと思います。
 また、会計士に合格しても直ちに仕事ができるわけではないし、勉強しながら自分を高めていく努力が必要です。金融関係、株式公開、NPO、環境問題などの専門分野があるのですが、私は国際会計を学び、将来は海外で働きたい。先進国は会計基準がしっかりして企業も成熟していますが、アジアは発展途上なんです。
今はどんな生活をしていますか?
 今は監査法人で、研修を受けています。監査の基本のほか、パソコン、マナーなどを学んでいます。毎日、日経新聞を読むことは欠かせませんね。
 学校の単位では体育だけが心配ですが(笑)、残り少ない学生生活を存分に楽しもうと思っています。卒業旅行にも行きたいですね。
ありがとうございました。
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