15日(木)4時限、Ω21で加藤秀樹研究室主催で宮沢喜一元総理大臣による講演会が行なわれた。30人以上の立ち見が出るほどΩ21(335人定員)は満員。質問が多くなされ、学生の反応も上々であった。


 宮沢氏は「米ソの対立化の影響下の中で日本は講和条約と安全保障条約を同時に結んだのだ」と今日まで続く安保体制についてを説明し、「『軍事』を持たない日本を国際情勢が黙視し続けるかという問題はあるが、自分自身はこの体制を保持していって欲しい」と今後の日本についての構想を述べた。
 また、中国のWTO加盟を受けて、今後の中国についても「近代化が急激に進んでいるが、この国の体制が共産主義であることに懸念を感じている。不透明性なこの国で軍事力が増大することは日本にとっては不安である。しかし、国の決定が外から見てわかる方法、IT技術による情報公開を期待している。」と述べた。
 学生(政策・メディア1)の「冷戦が終わった今、安保のにメリットはもうないのでは?」という質問には、「国連軍というものが可能かどうかということを考えた上で具体的な政策とともに見極めていただきたい。」と、日本の外交の最前線で活躍した人物らしく落ち着いた様子で答えていた。アフガニスタンへの自衛隊派遣の問題の質問(総2)についても、「NYで20人近くの日本人が死んだにも関わらず、政府として何もしないのはおかしい。政府としてのつとめを考えるべきた」と語った。
 主催者である加藤教授は「戦後、リーダーとなるべき教養ある日本人がなくなりつつある。宮沢氏はそのような資質を持った残り少な人種だ。」だと宮沢氏を讃え、宮沢氏はそれに対して、今後はみなさんに日本の将来と託したいと熱く語り、講演を締めくくった。
 宮沢氏は一昨日国連でのテロ報復に関しての演説を終えたばかり。航空事故の影響で帰国が前日のずれこんでいた。