SFC Incubation Village (SIV) 研究コンソーシアム 始動
4月より、SFCをべースに日本初のベンチャーインキュベーションの成功 モデルを作ることを目指したSFC Incubation Village (SIV) 研究コンソーシ アムの活動が正式にスタートした。SIVの活動は企業と学生が一緒になってベンチャーインキュベーション機構を作るというもので日本の大学では初の試みとなる。SFC CLIP では、SIV研究コンソーシアムについての詳細を 政策・メディア研究科助手の牧兼充さんから、お話を伺った。
―SIVの設立経緯
SFCはベンチャー企業を作ろうという意識が強いんですね。でもSFCはキャンパスとしてベンチャー企業育成を支援してこなかった過去がある。SFCとしてもそういう体制をつくらなければならないといけないと考えるようになりSIVを設立することになったのです。
以前から斎藤信男先生が藤沢市と組んでベンチャーの育成を行っていましたが、それをSFCの中でやろうということになりました。村井先生も同様のことを考えており、学生のベンチャーを増やしていくということを目指してプロジェクト教員として松本孝利先生をSFCに呼んだのです。
松本先生がSFCにいらっしゃったことで、ベンチャー意識の高い学生が松本先生のもとに集まってきたのです。それでベンチャーの支援の仕組みを作っていこうということになりました。つまり学生の考えていることと教員の考えていることがSFCで、ベンチャーインキュベーションの仕組みを作るという点で一致したということです。まずは、いきなりインキュベーション機構を作るのではなく、研究組織を作ろうということで作ったのが今回正式にスタートしたSIV研究コンソーシアムなわけです。
―SIV研究コンソーシアムの目標
SFCで、ベンチャーインキュベーションの組織を作るということです。日本で成功できるようなベンチャーインキュベーションのモデルを作りたいですね。学生がやりたいことをできるという仕組みをSFCでは序々に整備していますが、連続性を確保するための就職活動の支援をしていないのです。学生時代にやったことと就職が断絶してしまっている状態です。連続的に、やりたいことを卒業後もできるような仕組みを作っていくことが重要だと思います。
―SIVの活動内容
具体的にインキュベーションといっても、やることが広いので以下の4つのワーキンググループに分けて活動しています。
1,ハードインフラ
SFC内、SFC隣接地等で、学生、研究者がビジネスに使えるオフィススペースを使えるようにプランニングしていくワーキンググループです。
2,コンサルタンシー
インキュベーションフローの確立。どういうコンサルテーションがあると起業しやすくなるかと いうことを考えて活動しているワーキンググループです。
3,コミュニティー
SFCからでてきたベンチャーと起業したいと思っている学生とのマッチ ングのためのメールマガジンの作成やイベントの実施を行うワーキンググループです。
4,シーズ
SFCの研究の中で、ビジネスになりそうなものはどれぐらいあるのかということを調査していくワーキンググループで、同時にビジネス性の評価も 行います。
3月までは準備期間として活動してきましたが、4月からは協力してくれる企業5社とともにこのワーキンググループが本格的に研究をスタートさせています。
―SIVにコミットすることにより生ずる学生側のメリットは?
1, インキュベーションの仕組みを学校と協力しながら作るプロセスに参加できるという点。
2,就活をする学生にとっても、企業の方々と一緒にインキュベーションの仕組みを作っていくプロセスを通して、人脈が増えて就職活動のチャンスが広がるという点。
3,このプロジェクトに関わって起業のためのプロセスを知っていくことで、起業するチャンスが増える可能性があるだろうし、あるいは何をビジネスにするかということを考えるいいきっかけを学生に与えられるという点
―5社の企業と連携してくるとなると、深いコミットメントが要求されるのですか?
本当に起業したい学生はそれなりにコミットしてくると思います。ただ、SIVとしては学生がどういうレベルでもコミットできるような体制を作っていく必要があると思っています。そのためには、企業から研究員というかたちで企業の方にコミットしてもらったり、予算の中で職員を雇っています。それによって学生が色々なレベルでコミットできるような体制を作っています。
―SIVのビジョン
日本で成功する仕組みをつくることです。SFCをベースに日本初のベンチャーインキュベーションの成功モデルを作ることがまずは大事です。大学と企業と学生の3者が満足するスキームがないといけないと思っています。そのためのスキームを作ることが重要です。5年後ということを考えれば、世界に通用するベンチャーがSFCからでてくるようになっていればいいですね。
もっと学生がやりたいことができる仕組みを作ることができなければいけない。学生と社会人をいかに区別しないかという環境をつくるかも重要です。SFCに入れば、一年生から企業の人たちと一緒にプロジェクトができるチャンスを提供できればと考えています。
インキュベーション組織を学生が中心になって、作るケースというのはあまりないケースだと思います。SFCらしいインキュベーションシステムを作りたいですね。
連絡先:SIV研究コンソーシアム事務局 [email protected]