哲学者、東浩紀氏が「デザイン言語総合講座」にて講義
哲学者・批評家の東浩紀氏が、30日(木)θ館にて、「デザイン言語総合講座」(奥出直人教授・後藤武専任講師担当)の講義を行なった。東氏が同授業で講義を行なうのは今年度のこの講義で3回目で、「動物化と情報化」というテーマのもと、哲学的なキーワードを絡めつつ、現代社会の様相を鋭く論じた。
多文化主義化、ポスト・モダン化した現代において、その論理的帰結として、「お互いのことには関心はないけど、犯罪は起きないように監視したい」というセキュリティ意識が高まっていることについて、監視カメラの設置、改正住民基本台帳法の審議など、具体的な時事問題と関連付けて、昨今の社会的傾向を分析した。
この講義には履修者以外の学生も出席し、約400名の学生が受講したが、講義中に、東氏が二度学生の私語を厳しく叱責する場面も見られた。
なお、「デザイン言語総合講座」は、2000年度から開講された授業で、東氏以外にも、港千尋氏(写真家・批評家)や隈研吾(建築家)ら、それぞれの領域で活躍しているデザイナー、アーティスト、研究者を毎回ゲストに迎え、講義を行なっている。今月には、この授業の成果をまとめた『デザイン言語―感覚と論理を結ぶ思考法』(奥出直人・後藤武編)が慶應義塾大学出版会より発行された。
《プロフィール紹介》
【東浩紀(あずま・ひろき)氏】
1971年東京都生まれ。99年 東京大学総合文化研究科博士課程修了(超域文化科学)。同年、フランスの思想家デリダを論じた著書『存在論的、郵便的』(新潮社)で第21回サントリー学芸賞受賞。1999-2001年度 日本学術振興会特別研究員。現在 慶應義塾大学文学部非常勤講師。近著に『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『郵便的不安たち#』(朝日文庫)、『デザイン言語―感覚と論理を結ぶ思考法』(奥出直人・後藤武編、慶應義塾大学出版会)。