日産自動車株式会社社長兼最高経営責任者・カルロス・ゴーン氏が26日(水)、慶應三田キャンパス西校舎ホールにて「日産:復活から利益ある成長に」という演題で講演を行った。

会場は、慶應ビジネススクールや各ゼミの参加者など多くの人が押しかけ、立ち見のほか通路に座らされた学生などであふれた。
 冒頭でゴーン氏は、日産では600人以上の塾員が様々な形でプロジェクトに携わっているとして、「日産と共通の哲学を持つ慶應義塾大学に深い縁を感じている」と述べた。講演内容は主に、「日産リバイバルプラン」策定から今後の日産のビジョンについてで、ゴーン氏はこの中で、様々な企業を改革してきた身として「文化の違いは変化をもたらす触媒である」と語った。
 講演終了後の質疑応答では、経営再建、年功序列などの日本的経営、IT・環境問題などへの自動車産業の今後の課題、マネジメント・リーダーシップなど多岐に渡る内容について、聴講者から質問があがり、それについてゴーン氏が一つ一つ丁寧に回答をしていった。
 最後にゴーン氏は「すべての問題は解決策が存在する。この日本というインフラが豊富な環境で変革をするということは、みなさんにとって特権であり、多くのチャンスが生まれるであろう。」という言葉を残し、聴講者と握手をしながら会場を後にした。
 今回のこの講演は、総合政策学部講師フランソワ・デュ・ボア氏担当の「パーソナル・キャリア・マネージメント」という授業がゴーン氏の興味を引いた。一方同時期に、別目的で慶應ビジネススクールが日産にコンタクトを取っており、結果的に学生も参加できる講演会を共同で実施したもの。
 《プロフィール紹介》
 【カルロス・ゴーン氏】
  1954年、ブラジル・ロンドニア州ポルト・ベーリョ生まれ。フランス・エコール・デ・ミーヌ卒業後、ミシュランに入社。ミシュラン・ブラジルCOO、ミシュラン北米CEO、ルノー副社長を経て日産へ。著書に彼の半生、マネジメント手法、経営哲学が紹介されている「ルネッサンス」(ダイヤモンド社)、現在までのゴーン氏の名言を収録した「カルロス・ゴーンの『答えは会社のなかにある』―会社を変えたリーダーの再生と復活の語録」(あさ出版)がある。