環境デザイン探訪の特集も、とうとう最終回となりました。そこで今週号では、2001年度のコースに参加し、今年度は SAとして再び参加する予定だという学生の方にインタビューしてみました。このようにご紹介すると、参加するには建築への深い知識を持っていなければならないのか!?と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の学生の方は昨年の環境デザイン探訪に参加したのが、実はSFCで初めての建築系の授業だったそうです。なので、建築に関しては初心者だけれども是非参加してみたい!という方々にとっても、非常に心強い情報が得られると思います。


 またインタビューでは、普段は写真でしか見られないような建築の実物を目の当たりにした時の感動的なエピソードや、4ヶ国もの外国語を使ってみたり食事で痛い目に合ったりした時などの楽しいお話を聞かせて頂きましたので、ぜひ読んでこの臨場感を味わってみて下さい。

1. 全体の感想と研修で得たこと

2001年度の環境デザイン探訪では、ウクライナ・ルーマニア・ハンガリー・オーストリアの4カ国を見て回りました。短期間ではありますが、気候も文化もまったく異なる国々に滞在しその風土や建築を体感するということには、想像以上にいろいろな発見がありました。
 私にとってはこれがSFCで初めての建築系の授業だったので、参加した時点ではほとんど何の知識もなく、三宅先生や石川先生、現地のガイドの方の解説で現物を見ながら徐々に理解してゆくといった感じでした。帰国してからも、本を眺めては「お、これは見たぞ!」という風に、後から詳しく知ったものも多々あります。このように、建築に関しては初心者だった私にとっても非常に楽しめ、且つこれから勉強してゆく上でも有意義な研修だったと思います。建築を学ぶ学生にとって、リアルな空間を体験するというのは最大の勉強になるのではないでしょうか。

2. 研修中の面白い話など

訪れた4カ国は、それぞれウクライナ語・ルーマニア語・ハンガリー語・ドイツ語と言語が異なります。私は外国語の勉強が好きなので挨拶など簡単な言葉を予習して行ったのですが、片言とはいえ実際に言葉が通じると嬉しいものですね。現地の言葉で話してみたら、丁寧に応対してくれたことも何度かありました。
 しかし、逆もありました。キエフの両替所で、がんばってウクライナ語で両替をお願いしたのにいきなり怒られてしまったのです。あれは未だにナゾなのですが…。
 食事は楽しみでもありますが、期待が外れると非常に苦しいです。私は何でも食べてみるタチなので口に合わなくて苦労したことはなかったのですが、おすすめと言われたので食べ慣れない料理(ルーマニアの「馬の内臓のスープ」)を口にしてみたところ、翌日一日中うなるハメになってしまいました。また、ハンガリーの片田舎で「フライドポテトとコロッケ」を注文したら2つとも大皿に山盛りの”単なる揚げたイモ”が出てきて、泣く泣く大量のイモを食べたり、みたいなこともありました。
 時間が空いた時には、プランにない建築を見て回ることも出来ます。その時に見たアドルフ・ロースのアメリカン・バーは今回の探訪の中でも最も印象的で、決して忘れることはないと思います。

3.改善点してほしい点など

団体行動で且つかなりの高速移動ですので、日程的にはかなりきついです。腹痛を起こしてしまった自分の経験から言いますと、やはり体調管理を徹底することが最大のポイントでしょう!
 また、個人で行く旅行よりも若干割高になってしまう点も問題といえば問題ですが、それを補って余りある経験ができることは間違いありません。

4. その他、コメントなど

やはり、体感したものは決して忘れません。ウクライナの片田舎にあるホーティンという要塞を見学した時には、建築を見ていながら建築でないものが見えるような、言葉にしがたい感覚を覚えました。私の貧弱な言葉では到底説明できないのが残念なのですが、その場に立った者だけが確かに感じられる”感覚”を得られることは、これ以上ない貴重な経験だったと思います。
 というわけで私は、昨年度は一参加者だったのですが、今年度はなんとSAになってしまいました。こうすれば2度行けますからね!建築を志す方も、はたまた興味があるというだけの方も、とにかく素晴らしい研修ですので来年度は是非参加を検討してみて下さい。