20日(木)16:00-17:30に行われたセッションB2は「ユビキタス時代のデジタルエンタテイメント」。パネリストに水口哲也氏(ゲームクリエーター)と林田宏之氏(有限会社リンダ代表取締役、CGアーティスト)を迎えた。


 コーディネーターの稲蔭正彦環境情報学部教授は「エンタテイメントコンテンツがコンテンツ産業をリードする。しかし、現在の日本のコンテンツ産業は世界でも後進国であると言われるほどの危機に陥っている」という現状を説明。「今、求められているのは、『いつでも、どこでも』というユビキタスなコンテンツ、すなわち様々なスケーラビリティを持った相手にダイナミックに訴えるコンテンツづくりをすること」という仮説をたてて、セッションを開始した。
 まず、水口氏が自身の過去10年間の作品を振り返りながら、アーケードのCG作品から携帯電話で見られるような現在の作品までの変遷をたどった。続いて、林田氏がハイチュウのコマーシャルなどのために作っている作品とともに、自身が趣味で作っている作品を紹介。そのような個人の趣味的な作品を発表・流通させる場が増えて行くべきではないかと提案した。
 以上のような両パネリストによるプレゼンテーションの後、稲蔭教授が進行役を務めながら「ポストゲーム、ポストCG、ポスト映画…ポスト20世紀のコンテンツ」をテーマに議論が行われた。水口氏はこれからのエンタテイメントコンテンツを「インタラクティブなものと非インタラクティブなものにくっきり分かれて行くのではないか。また、プッシュ型のメディアで、課金システムがしっかりしているうえに、非パッケージ型のコンテンツを大量に提供できる携帯電話市場はこれから大きく成長するだろう」とした。それを受けて稲蔭教授が「これからは、携帯電話用のコンテンツのようなスナックサイズのコンテンツとテクノロジを駆使した大型のプロジェクトによるコンテンツに二分するだろう。つまり、よりハイブリッドになるということ」とセッションをまとめた。