今年度から大幅にカリキュラムが変更された情報処理科目について、第1回「知っていましたか? 情報処理が変わったワケ」、第2回「苦心にの改革、どんな内容?」と紹介してきた。それらの変化の中でも特に目を引くのは「認定試験」の導入であろう。


 3種類の認定試験は、授業時間外に行われ、プログラミング入門などの次段階の情報処理科目をとるためには、試験に合格することが必須条件になった。しかし8月3日(火)現在の認定試験の合格者数は、タイピング試験が317人、基礎知識が54人、基本操作が290人と、かなり少ない数字に留まっている。
 第3回はこの認定試験、及び新設置科目となった情報技術ワークショップについて、服部隆志環境情報学部助教授にお話を伺った。
試験に合格することが、他の情報処理科目を受ける上での必須条件になるというシステムになりましたよね。導入はいつ決めたのですか?
発案自体は、改革をしようと決めたときにありました。試験の内容は約1年前に決定し、細かいところは最近つめました。
3つの試験の種類と内容を教えてください。
タイピング試験、基本操作試験、基礎知識試験の3種類があります。それぞれ15分程度の試験で、すべてに合格しないと、秋からの情報処理科目は履修できません。タイピングは「裕美子先生」で、150字/分、ミスタッチが9文字以下なら合格です。基本操作は示された文書をWord等の文書整形ソフトを使い時間内に作成してもらうというもの。基礎知識はネットワーク、ハード、ソフト、CNSなどについて50問の質問が選択形式で出され、それを7割程度正解することが合格基準となります。
 
去年までは授業中にタイピング試験もありましたよね。今年は春学期が終わっても、半分も合格していない現状をどう思いますか?
 
 ひとつにはタイピングの基準が厳しくなったことがあげられます。去年までは120字/分、ミスタッチ5文字以下だったので。また、去年まではタイピングの可否も単位に関係がありましたが、今年はその意味でのんびりしているのではないでしょうか。
どうしてタイピング、認定試験をしようと思ったのですか?
 タイピングはPCを使ううえでの基礎ですし、Wordの試験は、知っていて当然のことを確認する意味で行っています。基礎知識は授業でやらなくても知っていてほしいことの確認です。授業外試験にして、何回もチャレンジできることで、落ちた場合にどこを勉強すれば分かるじゃないですか。それを見て自習してほしいですね。3種類とも、大学で勉強する上で、最低限必要だから試験をするという形ですね。情報技術を使えるかどうか見るために試験が必要だと思いました。
試験は夏休みに持ち越しましたよね?いつまで行う予定なんでしょうか?
 
 実を言うと、もう終わっているはずだったのですが(苦笑)。原因のひとつに、担当者が忙しく、タイピング以外の試験がずれこんだということもあります。授業外試験ということで、先生方の負担も大きいですし。春学期にもう少し合格者がほしかったですね。試験は8月3日を境にいったん中止して、次は9月1日に行うことになります。
認定試験の導入により、情報処理科目の体制は改善されたと思いますか?
 ある程度改善はできてきていると思いますが、やはりはじめての試みということもあり、問題点も多いですね。
秋に新設される情報技術ワークショップの内容を教えてください。
3人の先生がそれぞれ4回ずつ講義をおこなうもので、内容は先生により異なります。
情報技術ワークショップを設置した狙いは何でしょうか?
 情報技術についてもっと広くSFC生に知ってほしいということがあげられます。また、今まではプログラミング入門がステップの次の段階としてあったわけですが、あまり評判がよくなかったということがあります。情報技術の全体をカバーするのは一つの科目でやるのは無理なので、新しく設置という形になりました。
プログラミング入門とのレベル関係はどの程度ですか?また、プログラミング入門とは平行できますか?
 具体的な内容はまだ決まっていません。情報技術について広く知ってもらうことが目標なので、プログラミング入門ほど深くはやらないと思います。平行はできると思いますが、えぐいのではと思います。
今年の反省点をふまえての来年の構想や、変更点等ありましたらおねがいします。
 当然来年は準備の不完全さ等は補われると思います。ウェブが社会的に大きな影響力をもつ現在、情報技術が実際どのような使い方をされているか、ということを知ることが必要になってくると思います。けれどもある程度は基礎を教えてからでないと理解できない。そこの兼ね合いを今後は考えて、よりよい体制を作りあげたいです。
長時間にわたる取材に答えてくださった、服部先生どうもありがとうございました。