8月1日 自転車を盗まれる
8月2日 交通事故
8月4日 カリフォルニア出発
 その後1週間ほど砂漠、ゴーストタウン、ロッキー山脈を走り、音信不通
8月12日 アリゾナ


2004年08月13日 アメリカでの印象
 LAを出てからというもの荒野の中を走り続けていたので、ビラを配ったり、市井の人に話を聞いたりする機会はあまりなかった。それでも、これまで出会った人々の話を総合したり、新聞やテレビなどの少ない情報を併せて考えた結果の印象はこうだ。
 まず、今アメリカで戦争といえばイラク戦争だ。これはかなりダイレクトに繋がっていて、戦争の話をするとイラク戦争に話がダイレクトに飛んでしまう。おばさんもOLも看護婦さんもみんなイラク戦争の話をする。マスメディアの取り上げ方にも違いがあるのだろうが、概して今起きている戦争に対する、市民の意識は高いといえるだろう。誰もが、戦争当事国の市民として意見も持たなければならないという意識があるのかもしれない。ただ、それ以外の戦争の話をするのはジャーナリストや軍人に限られていた。
 それから、イラク戦争の話になると必ず登場するのがブッシュ大統領だ。イラク戦争はこの人が勝手に始めたという見方が今のところ多い気がする。彼の意思は国民の意思を代表しているはずだが、彼を「暴君」と批判する声もあった。今のところ出会った8割がたの人はブッシュ大統領に批判的だ。ここ数ヶ月彼の支持率も50パーセントを切っているというデータもある。市民の代表の意思は乖離しているように思われた。ただ、すべてをブッシュのせいにして、「彼がいけないんだ」という意見
は、問題の複雑さをすべてスケープゴートにおしつけて見えなくしてしまう。どこか魔女狩り裁判に陥ってしまいそうな短絡的な感じがしないでもなかった。
 そしてご存知の通り、今アメリカは大統領選挙キャンペーンの真っ最中。ニュースや新聞をよく見ると、アメリカでは大統領というと、日本でいう政治家というよりも、もっとスター然とした存在のように思われた。演説の時に聴衆はNBA選手を応援するように大統領や候補者の名前の入った旗を振っているし、一昨日の"Dairy Sun"という新聞には「ケリー候補、ロックスター並みの扱い」という記事が1面で出ていた。
 一方で大統領は政治的手腕だけでなく、人格的なものも深く問われているようだ。テレビではケリー候補が演説後の質疑応答で「貿易センタービルが破壊された時、ブッシュ大統領はフロリダの小学校で子供達に本を読んで聞かせていましたが、あなたが同じ立場だったら知らせを聞いて子供達になんと話しますか?」という質問を受けていた。人格や倫理観を問われるこうした質問を国民の前ですべて的確に答えてはじめて大統領になる。だから候補者であるうちから、既に大統領の風格がなければならない。アメリカ人にとって大統領とはただの政治家ではなく、世界を変える、文字通りヒーローのような存在なのだと感じた。