11日(火)からビスタルームの利用方法が変更になる。ビスタルームは湘南藤沢メディアセンターの4階にあり、SFC在籍者であれば誰でもキャンパス内ネットワークからの予約が可能で、研究会やグループワーク、有志団体の会議など比較的自由な使われ方をされてきた。しかし今回の変更により、今後は利用条件が研究会単位での「学習目的」になり、担当教員の捺印を必要とする申請書を提出しなければならない。


 SFC CLIPは湘南藤沢メディアセンターに今回の変更に関する取材を行った。

ビスタルーム利用方法変更の経緯についてお聞かせください
 そもそもビスタルームは学生のグループ学習のためではなく、教員が会議や外部の人間を招いた際のセミナールームとして使うために作られました。そのため学生の使用は限られ、教員の同伴でのみ使用できました。また、グループ学習は教室で行うものであり、メディアセンターの中でやるものではありませんでした。
 しかし、大学院も建設され、次第に教室が需要に追いつかなくなりました。そこで、7年ほど前になりますが、メディアセンターにグループ学習室を確保しました。現在ある2階のグループ学習室は元々就職の資料室でしたし、3階のグループ学習室はMMLSでした。キャレルルームに至っては元々所長室でした。そのような経緯もありまして、本来の形に戻そうとする意向は常にありました。
今回、変更になるきっかけはあったのでしょうか
 予約しても実際に利用しない学生や、時間にルーズな学生がいたのは事実です。ビスタルームは飲食禁止ですが、ゴミ箱に入ったゴミが飲食が行われた証拠として残されています。さらに残念なことですが、ビスタルームを本来の趣旨と違った目的で使う学生もいました。メディアセンター側としては、どういう目的で使われているのか把握できないという大きな問題を抱えていました。
 そして今回、2階のグループ学習室にモニターが設置されるなどの設備更新もあり、教員の同伴に限り学生の使用を許可するという元々の形に戻そうとしました。しかし、教員側から研究会であれば学生だけでも使えるのではないかという意向を受け、担当教員の捺印があれば許可するという形になりました。
担当教員を持たない有志の団体が使えなくなりますが
 そういった活動は教室で行っていただきたいと考えています。ビスタルームはグループ学習のために作られたわけではありません。そのため、管理の目もなかなか行き届きません。また、学生運動の名残りもあるのだと思いますが、そもそも学校で認められていない有志団体が施設を使うことはできません。
 しかし今まで、メディアセンターはそういった活動に寛容な対応をしきました。これからは2階や3階のグループ学習室を使って欲しいと考えています。そういった場はメディアセンターだけでなく、学食もありますし、学生ラウンジもあります。
新たな申請方法がアナログに見えるのですが
 ネットワークによる申請は簡単ではありますが、その反面、中身の確認ができません。架空の団体を使い終日押さえるということもありました。パーティーに使っていた団体もありました。最近になり、そういった使い方が多くなってきました。そのため3階の利用者からのクレームも来ていました。確かに、SFCという場においてアナログなやり方ではあります。
 さらに、今回のやり方はメディアセンター側に負担を強いるものであり、積極的にやりたい方法ではありません。苦渋の選択でした。しかし、アナログにすることで利用者とのコミュニケーションをとることができます。ネットワークでやるより不便ではありますが、初心に戻るやり方で状況を判断していきたいと考えています。決して学生を追い出そうという意図があるわけではありません。
学生側とルール作りをしていくことは考えているのでしょうか
 現状ではありません。状況を見たいと考えています。残念な使い方をされるという実績が出来てしまっているので、改めて責任体制をとった上で進めなければいけません。まずは他のエリアを使ってください。メディアセンターとしては、十分なものを提供していると考えています。
ネットワークの構築に学生側と協力する考えはあるのでしょうか
 そういうものはウェルカムです。そういったことに関し、学生のほうが良いアイディアを出してくれます。今回、メディアセンター側ではITCや学事とも話し合ってネットワークの構築を考えました。しかし、実現可能性やコストも考えると、時間が足りないのです。当面はこういう形でやっていきたいと考えています。
 一部の残念な使い方をされる学生によって、使用方法に制約を設けることは、きちんと使われていた学生に申し訳なく思います。しかしながら、メディアセンターとしては、この問題を全体として考えてもらいたいと思っています。マナーを周知させるビデオを作っている団体もあります。ぜひ、学生側から声を上げてもらいたいと考えています。
学生の活動場所が減ることは確かですが
 SFCに有志団体が活動する場所が少ないのは認識しています。日吉のような学生会館がSFCにはありません。しかし、それはメディアセンターからの要望ではなく、学生側からの要望としてあげてもらいたいと考えています。
学生の声は以前より小さくなっているのでしょうか
 確かに1期生がいた頃は積極的な学生が多々いました。畑をやりたいと言ってくる学生や、祭りをやりたいといってくる学生がおり、協力してくださいという声は日常茶飯事でありました。自分達で創ろうという時期だったからかもしれませんが、元気が良く、活気がありました。教員も学生と遅くまで残っている光景がよく見られました。その頃と比べると、今は落ち着いた印象があります。しかし、SFCが日々成長しているのは確かなことです。
今後、設備更新の予定はあるのでしょうか。例えば入館ゲートはセキュリティが甘いように見えますが
 学生証の使い回しは我々も認識しています。酷い時は注意をしています。現在は誰が出たという情報をとることは出来ていません。SFCはICタグ研究のメッカですので、ICタグをつけてやりたいと考えています。
 しかし、メディアセンターとしてはやりたいのですが、学生証の問題で出来ない状況です。入館のゲートをメディアセンターが変えることはできますが、学生証が対応しなければ意味がありません。それは全塾の問題なのでなかなか出来ません。
以前は図書館カードがあったそうですが
 学生証が紙だった時代は図書館カードが別にありました。学生証がメディアセンターの技術に追いついて今の形になりました。さらに、以前、落としたカードを不正に使われ、盗難が起きるということがありました。
 カードにICタグをつけるだけではセキュリティは完全ではありません。指紋認証などバイオの認証が必要になるでしょう。どちらにしても学生証が対応してくれないと、どうしようもありません。もし学生証にICタグがつけば授業の出欠確認は必要なくなるでしょうし、残留届けも必要なくなるでしょう。そういった試みは実験キャンパスであるSFCの使命といえると思いますし、ぜひやっていきたいと考えています。