新学期に向けて、本館ゾーンと看護医療学部ゾーンを結ぶ「鴨池急行SoKanKan」の乗降ステップに、「すべりにくく、つまずきにくい」床材が貼られた。この研究は、西山敏樹政策・メディア研究科特別研究講師らのグループと、三池工業株式会社、財団法人地域開発研究所との産学官の連携によるもの。

バス内での転倒事故件数は、2001年以降高齢者を中心に増加しており、防滑性に優れた床材が求められていた。しかし、バス事業者と素材メーカーとの結びつきから、新規参入のハードルは高く、社会調査や実証敷設の評価データを収集する必要があった。今回は、調査、ユニバーサルデザイン、マーケティングなどの点で大学側が協力をしている。

使用した床材「アベイラス」は厚さ3mmで、石英石を細かく砕いたものが使用されている。滑り抵抗値評価においても、既存製品に比べ優れた評価が得られているほか、他のバス事業者での調査では8割以上の利用者が賛同しているという。ビニールなどの素材とは違い、ほとんど磨耗しないため、性能維持のための張替えの必要がない。床全面に貼ると、重量がかさむために、燃費に影響が出るが、安全性やランニングコストを前面に出して売り込んでいる。

山梨交通株式会社など、4社との間でも既に調査が行われており、研究を学内に貢献したいという思いから、「鴨池急行 SoKanKan」を運行している相愛交通と交渉し、今回の実現に至った。今年は江ノ島タクシーのバスなど、さらに事例が増える予定だという。