最近見かける機会が多くなった「AED」。駅や学校など、人が多く集まる場所には必ずといっていいほど設置してある。SFCにも体育館をはじめ、合計8つ設置してあり、すでに目にしている人も多いのではないだろうか。


 しかし、AEDとは、いつ、どこで、どのように使うものなのか。未だ釈然としない読者も多いだろう。そこで、その使い方を学ぶべく、CLIP編集委員の桂山と磯田が、SFCで行われた救急救命講習に参加した。今回は、その時の模様をお届けする。
 講習会には、藤沢市消防本部から2名の方がレクチャーに来られた。まず、いかに心臓マッサージと人工呼吸が大切かを知らされる。意識、呼吸がストップしてから5分以上経つと、再び意識を取り戻すのは非常に難しくなるそうだ。その間に救命処置を施し、最悪の事態を防がねばならない。
 講習会では練習用の人形を使用。2回息を吹き入れて、心臓マッサージを15回、というセットを、救急隊が駆け付けるまで、あるいは患者が息を吹き返すまで行う。
 AEDは用意ができ次第、使用する。AEDは人工呼吸や心臓マッサージを行う際の補助的な器械と考えても間違いではないだろう。
 何気ない作業のように見えるが、実は結構体力を使う。桂山曰く「ダイエットになるかもしれないな…」とのこと。
 人口呼吸と心臓マッサージのセットにもそろそろ慣れ初めてきたころ、いよいよAEDの訓練に入る。今回は訓練用のAEDで練習を行ったのだが、せっかくの機会なので実物の機械も触ってみることに。

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アリーナに備え付けてあるAED。この扉を開けると非常音が鳴る。

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本体は非常に軽い。

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全体図。上部のベルトを外し、本体を取り出す。

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本体を開けたところ。自動的に音声ガイダンスが流れる。電極パッドが2つ入っている。
SFCに置いてあるAEDは上記のタイプのみだが、今回は実際に多くでまわっている3種類で練習した。

機種によって操作方法はまちまちだ。蓋を開けるとガイダンスのはじまるものと、スイッチを押して起動するもの。コードが既に繋がっているものと、自分で接続しなければいけないもの。だが、共通して言えることは、どれも操作する上で非常にわかりやすく作られていること。使い方が分からなくて困ることは、おそらくないだろう。

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音声ガイドに従って実際に電極パッドを貼った所。貼る所もわかりやすく図解してある。この後、自動的に解析がはじまり、必要に応じて電気ショックが始まる。
 AED とはAutomated External Defibrillatorの略で、日本語では自動体外式除細動器。心臓に電気ショックを与え、不整脈を治療する手助けをする器械であって、決して人工呼吸や心臓マッサージの代わりになるものではない。
 今回、実際にAEDを触った体験は、大変貴重なものだと感じる。操作方法が分かりやすいとはいえ、実際の現場でパニックに陥れば、冷静な行動はとれなくなってしまうもの。藤沢市消防本部の方も「緊急時には、まず余裕を持って行動することが大切。それと、勇気を持って行動する事です」と、SFC CLIPのインタビューに対しコメントした。
 人の命が危機に瀕しているとき、SFCに設置されたAEDが本当の効果を発揮するためには、より多くの学生や教職員が一度操作を行い、予行演習すべきだろう。とにかく、このような講習の機会をたくさん設ける必要があるのではないか–そう痛感した一日だった。