「湘南台の家チーム」は、身近な地域(湘南台)で生活をするホームレス状態の方(以下、ホームレス)へのボランティアをしている団体です。その活動内容は、毛布や衣類といった物質の提供から、ホームレスに福祉情報を提供し市役所やNPOとの仲介など多岐にわたります。その活動の目指すところは、ホームレスの自立のためのステップ作りであり、ホームレスがその人らしい生活を取り戻すための「居場所=家」作りにあります。

■活動内容
 私たちが初めてホームレスと話したのが2004年の春。軽い気持ちで話しかけた事がきっかけで始まったこの活動ですが、様々な人との出会いを通じて、いつしか4年目に突入しました。
・ホームレスに付き添い、生活保護の手続きをした事。
・ダンボールの撤去を要求する行政と交渉し、撤去の要求を退けた事。
・アルコール依存で10年間以上ホームレス状態にあったホームレスが、社会復帰のために施設入所を決意してくれた事
・自主制作のホームレスを扱ったドキュメンタリーを見るために、200人の観客が集まってくれた事
この3年間、とても貴重な体験をさせていただく事ができました。
■地域性 -設立の経緯と現場エピソード-
 毎日私たちが通り過ぎる湘南台駅。そこで目にするホームレス。なぜ彼らは駅で寝ているのだろう?抜け出す手段はないのだろうか?そんな疑問から「湘南台の家チーム」の活動は始まりました。

目に見える湘南台駅

目に見えにくい湘南台駅
 実際に話をしてみると、人間味のある人たちが様々な理由でホームレス状態になってしまいそこから抜け出せずにいる、という彼らの背景や人となりが見えてきたのです。
■現場エピソード
 Xさんは、年齢が60歳前後の男性で湘南台でホームレス生活をして半年になっていました。彼に最初私たちが声をかけた時、彼からは「ボランティアは信用ならない。2度と来ないで欲しい。自分で生活はなんとかする」と追い出されてしまいました。本人がボランティアを必要とせず自分の力でなんとかする、と言っているのだから、私たちが何かを強いることはできません。ですが、1週間後、2週間後、同じ場所を見回りしても彼は同じ場所で横になったまま動かずにいました。明らかに体調を崩していたのです。それでも声をかければ、「お前らとは話すことはない」としか言わない。これには何か理由があると私たちは考え、話を粘り強く聞くことにしました。
 話を聞いてみると、今までにボランティアの人に騙されたことがあったこと、自立支援センターに入り仕事探しをしたけれど見つからず、不安がつのり人間不信になったこと、生活保護法を利用することで家族に連絡がいってしまい迷惑をかけてしまうのではないか、といた不安があることを話してくれました。
 そして話を何週かにわたって聞く中で、私たちも彼の置かれた状況を理解し、彼もまた私たちの気持ちを理解してくれました。そして知り合いのNPOやケースワーカーに住み込みで働ける場を粘り強くお願いしたところ、Xさんは路上から脱し住み込みの仕事に就くことが出来ました。

シンポジウムの様子
■湘南台ビジョン
「湘南台の家チーム」はホームレスへのボランティアをしているわけですが、究極的な目標としては、多様性が尊重され、公正で、誰もが生きやすい社会を作り出すことを究極的な目標としています。困った人がいたら声をかける、困ったことがあれば人に頼る、そうしたコミュニティを湘南台で作っていければと考えています。
 今現在は、湘南台で生活するホームレスに対し、「湘南台の家チーム」以外にも地域のおばさんが食べ物を渡したり、私たちに毛布や衣類の提供をしてくれたりといった助け合いは存在します。ですが、一見すると近寄りがたいホームレスに対して、興味はありつつも実際に話しかけ何かをするというステップを踏んでいる人はまだまだ多くないように思います。
 そのため今後「湘南台の家チーム」としては、ボランティア活動仲間をSFCの人間に限定することなく、地域の人を巻き込み、誰もが、生き生きとその人らしい人生を歩める環境を、湘南台地域で一緒に作っていきたいと思います。(下記の図参照)

(長谷川知広)