KEIO SFC REVIEW(以下、REVIEW)は、同名の広報誌『KEIO SFC REVIEW』の第75号として、SFCの教員のプロフィールを紹介する特集号『THE BRAIN』を2023年10月17日(火)に刊行した。

5年ぶりの発行、8ヶ月に及んだ準備

大学職員や教員の協力のもと、有志の学生メンバー14名が8ヶ月かけて編集したという『THE BRAIN』で編集長を務めた工藤美桜さん(総3)にインタビューを行った。

終始笑顔で話してくれた工藤さん 終始笑顔で話してくれた工藤さん

—— そもそもREVIEWとはどんな団体でしょうか?

KEIO SFC REVIEWは学生が主体となって取材・編集をし、年3回の刊行を目標にSFCの広報誌『KEIO SFC REVIEW』を刊行している団体です。SFCの広報の役割、SFC卒業生や関係者らのネットワーキングを支援をする役割を担っています。

今回制作したSFCの教員のプロフィールを紹介する特集号『THE BRAIN』も『KEIO SFC REVIEW』の一環としての刊行しています。また、『KEIO SFC REVIEW』の発行元はSFCの研究・教育活動を促進し、学外との交流を目標とした組織、「慶應SFC学会」となっています。

—— 普段はどのように活動していますか?

ここ数年の間は、毎週火曜日6限にτ(タウ)館でミーティングを行っていて、企画・編集・校正などの全行程を学生主体で行っています。参加者には学生のほか、学会の担当理事の宮代康丈総合政策学部准教授と、慶應SFC学会事務局の田坂真美さんがいらっしゃいます。毎回田坂さんがお菓子やご飯を用意してくださって和気あいあいと活動しています。

現編集長の松本こころさん 現編集長の松本こころさん

—— 今回このタイミングで『THE BRAIN』を刊行しようと思ったきっかけや理由などはありますか?

田坂さんが「次は『THE BRAIN』を作ろう」とみんなに呼びかけてくださったことがきっかけでした。

このタイミングで刊行しようと思った理由は、ちょうど前号の『THE BRAIN』刊行から4-5年空いており、コロナ禍が一段落したという状況があったからです。

コロナ禍では、ずっとオンラインだったのでなかなか長時間に及ぶ校正(*)作業ができない状況でした。以前よりはコロナが落ち着いて、雑誌作りも一段落していた2021年の8-9月くらいに、私に「編集長になってくれないか」とお声がかかって編集作業が始まりました。

(*)校正: 書いた原稿に文法的な誤りや誤字脱字、表記ゆれなどがないか、執筆後に確認する工程

当時のことを振り返る工藤さん 当時のことを振り返る工藤さん

174ページの冊子 10時間に及ぶ校正も

—— 全174ページもの冊子を作るなかで、一番大変だったのは「時には10時間に及ぶ校正作業を何度も行ったことだ」と編集後記に書いてありますが……

そうですね。SFCで朝から晩まで校正をしたこともありましたね。拘束時間がとても長かったので、時間的にも肉体的にも大変さを感じましたが、いつも笑顔な真美さんや、仕事ができる副編集長、宮代先生の的確な助言のおかげで、あっという間でした。

ただ、それ以上に何回も変更を繰り返したことが大変でした。「これも追加したい」と思った項目を新たに追加したり、雑誌のサイズを制作途中で変更したりするなど、一度決定したことを覆して、また一から考えなければならないということが繰り返し起こり、精神的には大変でした。「やっと終わる」と思っても、「修正が入ってまだ終わらない!」ということの繰り返しでした。

REVIEWのミーティングの様子 REVIEWのミーティングの様子

—— 前号から大きく変更した点やこだわりはありますか?

大きく変更した点は3つあります。

1つ目がサイズです。前号はB6サイズでの刊行だったのですが、今号は十分に情報が入り、かつ持ち運びやすいサイズということで、一回り大きいA5サイズで刊行しました。

2つ目が日英併記をしたことです。様々な情報に英語表記も加えることで、GIGA生(*)や留学生にとっても『THE BRAIN』が使いやすくなるように工夫しました。

(*)GIGA生: GIGAはGlobal Information and Governance Academic Programの略。総環両学部で開講されている英語での授業を主に履修する学生のこと

そして3つ目は、特集する内容に関してです。前回とは異なり、先生方が受け持っている「授業」という単位でなく、受け持っている研究会やプロジェクトなどを中心に据えました。

持ち運びやすいサイズを意識したという 持ち運びやすいサイズを意識したという

細かい点では、SNS一覧というページを私たちが今号から新しく作りました。

—— TwitterがXになったのもこの時期ですよね。

そうなんですよ。編集途中に変わってXにロゴを変えましたね。

—— リアルタイムの難しさですね……! ただ、リアルタイムに制作されているからこそ研究会を探している学生にとても有益な雑誌になっていると思います。

BRAINを開く工藤さん BRAINを開く工藤さん

教員ごとに統一したworks

—— 思い入れのあるページや紹介したいページはありますか?

ページ自体で言うと、「先輩たちのあしあと」を紹介したいです。REVIEWの先輩方がどのような研究会やプロジェクトに関わってきたのかを紹介しています。

このページの似顔絵イラストは、1年生がラフ案を描いてくれました。今号は1年生も関われる機会を多く作りたかったので、その部分はこのページの良かった点だと思います。

一番好きなページを開く工藤さん 一番好きなページを開く工藤さん

他の項目で大変だったところや見てほしいところはworks(先生方が執筆された論文などを掲載する項目)の部分です。先生方によってworksの書き方が異なるので、校正の段階でどこまで統一するかというところから考えました。この作業が本当に大変だったので、読者の皆さんにはぜひこのworksの部分をたくさん参考にしてほしいです。

読者に好きなように読んでほしい

—— どんな人に『THE BRAIN』を活用してほしいですか?

「どのような人に」というターゲットはあえて設けなくてもいいと思っています。
いろいろな使い方をしてほしいし、SFC入学前の人から、入学したSFC生、反対にSFCに直接関係ない人にも読んでほしいです。

私はデータベースコンサルタントとしてメディアセンターで働いているのですが、職員の方もBRAINを読んでくださってると伺っています。そういった職員の方をはじめ、SFCのことが気になる全ての人に読んでほしいと強く思っています。

様々な使い方をされる可能性があると思うので、皆さんがどのような使い方をしてるのかむしろ私が聞きたいくらいです。

それぞれに合った使い方をしてほしいという それぞれに合った使い方をしてほしいという

—— 2014年に行われたSFCのメディア同士の対談記事には、「REVIEWは紙媒体なので、なかなか読者の姿や反応が見えてこない」と書いてありました。普段どのような方法で読者の反応を集めていますか?

反応が見えないことは私たちの課題でもあります。REVIEWは七夕祭やORFにも出展しており、実際に読者の方に手渡す機会が年に2回ほどあるので、その際に読者の皆さんがどのようにREVIEWを活用しているのかを聞きたいと思っています。

—— 今後、REVIEWではどのような特集を組んでいきたいですか?可能な範囲で教えてください。

SFCの「今」がわかる雑誌を常に作っていきたいと思っているのですが、今回の『THE BRAIN』で掲載した研究会の情報などはSNSやホームページなどで見つけられるといえば見つけられるものも一部あるかもしれません。ただ、SNSなどにあえて載せていないような込み入った話や、「どうしてこれが始まったのか」などというような出来事の裏側や個人的な動機などというものもあるはずです。そうした面に焦点を当てて取材をしていきたいと思っています。

加えてREVIEWでは毎回、学生や先生方を、「ものづくり」や「生活」というような決まった切り口で切り取っているのですが、それを今後、あえて広い切り口で切り取りたいと思っています。そうすることで、様々な分野を学んでいる方がその場に集まっていろいろな角度から意見を交わす場所を作ることができると思います。そのようにして、学生や先生方の多様な意見の場、交流の場を生みたいと考えています。

—— ありがとうございました。今後のREVIEWも楽しみにしています!

REVIEWの刊行物はラックから!

『THE BRAIN』や最新号の『KEIO SFC REVIEW』はΘ(シータ)館、Ω(オメガ)館、Α(アルファ)館、ι(イオタ)館、τ(タウ)館、学生食堂、看護医療学部に設置されているラックなどから手に入れることができる。

キャンパス内に設置されているラックにある冊子 キャンパス内に設置されているラックにある冊子

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