SFCの近くに新幹線の駅ができるらしい。SFCではここ数年ずっと噂されている話題だが、何か動きがあるかというとそうでもない。どこにできるのか、本当にできるのか、特集第2回ではこの計画を追った。

実はSFCと新幹線は近い。SFCから北北西に2.5kmほどで東海道新幹線の線路に行き着く。だが、線路はあっても駅はない。最寄駅となると、新横浜か小田原になるが、いずれも決して近くはない。しかも、東海道新幹線の東京-新大阪間で2番目に駅間が離れているのがこの小田原-新横浜間なのである。
 この新横浜-小田原間51.2kmのほぼ中央に位置する、相模川にかかる橋の袂で、東海道新幹線とJR相模線が交差する。この地点に新幹線の新駅を作るのが冒頭の噂の正体であり、仮称「倉見新駅」と呼ばれる計画なのである。SFCからは西に5kmほどの場所で、すぐ近くにJR相模線の倉見駅があるものの、新幹線は轟音と共に通り過ぎるのみである。
 東海道新幹線にとっては東京からちょうど50kmほどの地点で、他の区間を参考に試算したところ、東京から約29分、品川から約24分、新横浜から約11分で倉見新駅に達する見込み。駅からSFCへの移動を考慮しても、東京都内とSFCを繋ぐアクセス手段としては確実に最速となる。

現在の倉見駅と、駅から見た新幹線
 しかし、この新駅の設置について確かなことは何も決まっていない。神奈川県と地元自治体を中心に、「神奈川県東海道新幹線新駅設置促進期成同盟会」が結成され、新駅誘致の動きを続けている。しかしJR東海は、既に輸送力が飽和状態にあることや、周辺地区の都市形成・アクセス整備の不十分さなどから難色を示している。輸送力については、JR東海自身が取り組むリニア中央新幹線構想で状況が変化する可能性が高いが、周辺の開発については、まさに新幹線次第といったところであろう。
 そもそも、倉見新駅の構想自体、ツインシティ整備計画という別の構想が密接に関係している。これは神奈川県が02年に策定した計画で、倉見新駅周辺と相模川対岸の平塚市に相模川を挟む形で、新たな都市づくりを進めていく計画である。この計画の行方と、新幹線新駅が今後大きく影響しあっていくのは確実だろう。
 SFCの西に新幹線の駅を中心とした新都市が誕生する、という倉見新駅構想の行方は、未来のSFCへのアクセスを大きく変える可能性もっている。

次回のこの特集では、同じくツインシティと密接に関わっている計画について紹介する。