26日(水)、ラジオDJとしても知られる音楽評論家のピーター・バラカン氏がSFCに来校し、「芸術と科学」(小川克彦環境情報学部教授ら担当)の授業でゲスト講演を行った。

ピーター・バラカン氏

バラカン氏はiPodを持参し登壇。楽曲を流しつつ、その歌詞の持つ意味や社会的背景を解説するという、ラジオ番組のような講義に履修者は聴き入った。
 マイケル・フランティが歌う「Bom the world」の解説では、ポーランド人の父と英国人とミャンマー人のハーフの母を持つ自身の背景に触れ、「私はイギリス人としてのアイディンティティが薄い。スポーツ大会で自国を熱狂的に応援する人々の姿は、私には時に戦争のように見える」と語り、愛国心とは何か履修者に問うた。
 またバラカン氏は講義の総括として、「音楽の力で社会を変えることができるのか、未だにわからない。だが人の心に変化を与えることはできる。その生き証人が僕だ」と話し、自身が音楽から受けた影響とラジオDJとしての活動の意味を語った。
 バラカン氏は学生へのメッセージとして、「経済的にも混乱する現代、就職活動など様々な悩みもあるだろう。だができるだけ自分のやりたいこと、おぼろげながらも夢を持つと自分の向かうべき方向が見えてくると思う。長期的なことにとらわれずに、自分にとって意義のあること、自分が充実することを目指すといいと思う」と語り、SFC生に向けてエールを送った。
【ピーター・バラカン氏・略歴】
 1951年生まれ、イギリス出身。ロンドン大学日本語学科を卒業し、1974年来日。音楽出版社やマネジメント事務所勤務ののち独立。流暢な日本語を駆使し、テレビ・ラジオの音楽番組や報道番組に数多く出演する。