1995年1月17日当時、私は5歳だった。当時の記憶はほとんどない。連日のニュースから、大事件が起きているんだなという印象しかなかった。つまり今回が、私にとって始めての「被災」になった。
地震が列島を襲った。東日本ではまだ余震が続き、3日以内にマグニチュード7.0クラスの地震が発生する確率は70%以上という。14日からは地震が停電と形を変えて、SFCにも大きな影響を与えている。SFCの各所の対応には注視したい。
地震発生直後、私は都内の某会社にいた。就職活動中で、テストを受けていた。家は湘南台。テストはいちおう全部終わらせたが、もちろん帰れない。会社に泊まるのも嫌だったので、都内に住む友達に連絡をしまくった。なんとか寝床を確保したが、不安な夜を過ごした。
不安な夜を過ごしたのは私だけではなく、遠くに住む両親もそうだった。私の両親は愛知に住み、地震の影響はほとんど受けていない。しかし、神奈川に住む息子が安全かどうかは、ひどく心配したという。
地震発生直後、携帯電話での通話はつながらず、メールも届いているか定かではなかった。地震発生数時間後に大量の着信履歴が通知され、両親と直接コンタクトがとれた時には、もう真っ暗になっていた。
両親には後れた安否報告だったが、友人や学校の知り合いにはすぐに伝える事ができた。Twitterだ。地震発生直後にもかかわらず、Twitterはひどく元気で、地震発生時、宮城にいた先輩との連絡もすぐにとれた。
私は両親ともTwitterで安否確認をし合うべきだと考えた。しかしTwitter、あるいはSNSの説明を両親にするのはなかなかに難しい。フォロー、フォロワー、アカウント、などなどゼロから説明するのは無理がある。しかしいつまた大地震がおきて不通になるか、わからない。もしかしたら東海大震災が併発し、両親の安否を確認できなくなるかもしれない。私は、遠くにいる両親にもメールだけで使い方がわかるように、シンプルなTwitter安否確認方法と、わかりやすいメールを作成した。同じようなことを考えている方は、地震の緊張感がある内に、導入する事をお勧めする。
まず、家族1人1つのアカウントを持つのは無理だと考えた。そこで家族で1つのアカウントを共有して持つことにした。そうすればお互いでわからないことなどサポートし合えるし、アカウント名、パスワードの忘失も防げる。すぐに「anpinishida」というアカウントを作り、パスワードは覚えやすいように、家族の電話番号にした。
やはり一番ネックになったのは両親へ使い方を説明するところだった。Twitterはなんにせよ使ってみなくては、なんなのかわからない。しかしTwitterの画面まで誘導すること自体、なかなか難しい。何がわかって、何がわからないのか、留意しながら送信メールを作成した。以下、原文そのまま掲載する。一部でも参考にしていただけるとありがたい。
注意点として、両親はmixiに書き込むくらいのパソコンの知識は有している。携帯も、メールなどは問題なくうてることをご理解いただきたい。
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日付:2011年3月12日5:21
件名:【重要です】将之です。安否確認で、Twitterを利用しましょう。
本文:
お母さん、お父さん
(お母さんのパソコン、お父さんのパソコンにメールを送りました。)
将之です。
いまは都内にある先輩の家に泊まらせていただいています。
今日だけですべてが終わってほしいですが、まだ地震が続いていて、安心できません。
そのために、安否を確認するときに、いつ繋がらなくなるかわからない電話やメールではなく、早くてほぼ必ずつながるTwitterを利用しようと思います。
電話やメールはつながらないことがあります。でもTwitterは今日中つながってたし、
僕はこれで多くの人の安否を確認できました。
でも家族はTwitterやっていないので、素早い確認ができませんでした。
なので、家族で安否用にTwitterアカウントを作りました。
難しいと思うけど、よく読んでください。ぜったいできます。
【Twitterで出来ること】
・自分がどこにいて、どういう状況かが、どのパソコンでも、どの携帯からでも入力できる。
・みんなが書き込んだものを、どのパソコンからでも、どの携帯からでも見ることができる。
です。
そしてTwitterはなぜだか、アクセスできなくなるとか、時間差がでるとかがないのです。その点、電話やメールより安心です。
それに僕は常にTwitterを確認しているので、ここに何か書いていただければ、すぐに対応できます。
なので、Twitterを使いましょう。
家族専用に、「anpinishida」というアカウントを作りました。
アカウントとは?という話はおいといて、下が、安否情報の入力と確認方法です。
よく読んで、明日の朝からやってください。
【Twitterで、自分の状況を入力する方法】
[パソコンの場合]
1,グーグルで「Twitter」と検索する。
2,一番上に来た、Twitterというページをクリックし、開く。
3,青が基調のページが開きます。その一番左上にある「ログイン」をクリックする。
4,するとぽこっと何か出てきます。
その「ユーザ名、またはメールアドレス」という欄に、「anpinishida」と入力。
「パスワード」という欄に、「(決めたパスワード)」と入力。
最後に「ログイン」ボタンをクリックする。
5,色々ごちゃごちゃでてきますが、「いまどうしている?」という欄があります。
ここに自分の状況や安否を、自分の名前つきで入力して、その欄の右下に出てくる「ツイート」ボタンをクリックする。
これで入力できます。
入力例です。
「将之です。いま18:00で、けがなどありません。松井証券の会社内にいて、安全です。帰れるかどうかは未定です。」
こんな感じに入力して、「ツイート」ボタンをクリックします。
そうすると、下の一覧のようなところの、一番上にやってきます。これが最新の情報という風になります。
【Twitterで安否を確認する方法】
[パソコンの場合]
上にある1~4をやる。
そうして、「anpinishida」専用のTwitterページに移動します。
そうすると、「いまどうしてる?」欄のしたに、「つぶやき」の一覧があります。
これが、安否情報です。
時間順に並んでいます。
ここで確認してください。
これでパソコンから安否情報が入力でき、確認もできます。
次は携帯からのやり方です。
すこし難しくて、ところどころはしょりますが、わからなかったら言ってください。
【携帯から、安否情報の入力、確認を行う方法】
※auを意識して作っています。
1,携帯のなかの「EZweb」というところをおす。
2,一番上にある、「トップページ」をクリックする。
3.色々でてきますが、検索バーがあるので、そこに「モバツイ」と入力し、検索ボタンをクリックする。
※たぶん間違ったとこ押したり、うまくいかないことあると思いますが、最初に戻ってやり直しましょう。
4,また色々でてきますが、ちょっと下の方にある、「モバツイ|ツイッターを携帯で楽しむwebアプリ」というところをクリックします。
5,オレンジ基調のページが開きます。
そこの「ログインID」と書かれた欄に「anpinishida」と入力します。
次に「パスワード」の欄に「(決めたパスワード)」と入力します。
そして「ログイン」をクリックします。
6,そうすると、登録完了。というページにうつります。
そこに、URLがあります。「http://~」からはじまるたくさんの英語の文字列です。
これをクリックします。
7,基本構造はパソコンと同じです。
「いまどうしてる?」という欄に、「将之です。安全です。」と入力し、「投稿」というボタンをクリックすれば、パソコンと同じように入力できます。
8,確認する時もパソコンと同じように、「いまどうしてる?」欄の下にある、つぶやきの一覧から確認できます。
携帯では、このページをお気に入りにしていれば、同じようなページに入れます。
もしかしたら、5のページになる場合があります。そしたらまた「anpinishida」と「(決めたパスワード)」を入力します。
やっくんにもこれができるように、連絡しておきます。
僕は明日はできるだけこれに記入して、どこにいるのかとか、自分の安否を知らせていきます。
それではよろしく。
(パスワード以外は、原文ママ)
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大変長くなってしまったが、上記が、私が送ったメールそのものである。
夜中地震の不安にかられながら作成し、朝の5時にメールを送った。その後、私が何度かツイートし、つぶやく頻度を上げる状況を作った。すると次の日(12日)の朝には、母がつぶやき始めた。信州にいた弟も、午後には携帯からツイートし始めた。父は仕事が終わってから、母に教わり、パソコンからつぶやいた。母はその後携帯からつぶやけるようになり、父にも教えたので、1日で家族全員がパソコン、携帯からTwitterを確認できる環境が整った。こうして、地震発生の次の日は、愛知にいる両親と、都内にいる私、信州にいる弟とで、安否確認がTwitterでとれるようになった。
その後、家族全員愛知に集まったのでつぶやかれていないが、安否確認だけではなく、何時に駅につくかなど、家族のコミュニケーションツールとして使われた。
Twitterで家族の安否確認をしようと考えている人はたくさんいると思う。しかし、もう少し落ち着いてからで、と思っているかもしれない。落ち着いてからではなくて、危機意識が高い今こそ、家族も意識が高く、導入チャンスだと思う。ぜひ参考にして、家族を安心させてほしい。