義塾野球部は28日(土)・30日(月)、春の東京六大学リーグの優勝をかけて、最終カードの慶早戦に臨み、2連勝で早稲田大学に勝ち越した。この結果義塾は他の5大学すべてから勝ち点を挙げる完全優勝を達成した。


 義塾野球部は5月28日(土)・30日(月)、春の東京六大学リーグの優勝をかけて、最終カードの慶早戦に臨み、2連勝で早稲田大学に勝ち越した。この結果義塾は他の5大学すべてから勝ち点を挙げる完全優勝を達成した。

5月28日(土)、小雨の舞う中、強行された1回戦は早稲田の先行で試合開始。義塾の先発はSFCが誇るエース、竹内大助投手(環3)。慶早戦前に5位が確定しているが、意地を見せたい早稲田はエースの大野健介投手を送り出した。
 先手を取ったのは義塾。3回の裏、1番から始まる好打順で先頭の辰巳智大選手(文3)が雨に苦しむ大野投手から四球を選び出塁。続く2番金田将賢選手(法4)がバスターで綺麗に三遊間を破り、3番の山崎錬選手(商3)の強い当たりはショート正面を突くものの相手エラーを誘う。ノーアウト満塁のビッグチャンスで主砲伊藤隼太選手(環4)を迎える。ここで伊藤選手はファーストゴロに討ち取られるも、5番宮本真己選手(法4)への初球、大野投手のワイルドピッチで三塁から金田選手が生還して1点を先取する。
 その打席の宮本選手がストレートの四球を選び、なおも1死満塁と攻め立てるが、6番阿加多直樹選手(法3)がショートへの併殺打に倒れ攻撃終了。この回は1点に留まる。
 追いつきたい早稲田は5回表、この回先頭の地引雄貴選手がセンターのグラブを弾くスリーベースを放つ。すると8番松本歩己選手がその初球にスクイズを決め、同点とする。
 流れが早稲田に傾きつつある6回表、義塾先発の竹内大助投手は内野安打と送りバント、進塁打で2死3塁のピンチを招き、ここで交代。成績は5回2/3を投げ被安打2。マウンドには山形晃平投手(法2)が上がる。山形投手は147キロの直球で早稲田4番の杉山翔大選手を抑え、流れを義塾に呼び戻す。
 6回裏の義塾の攻撃。先頭の5番宮本選手が3イニングぶりのヒットで2塁に出ると、阿加多選手、福富裕選手(商3)が連続で四球を選び、無死満塁のチャンスを作る。ここで守備から入っていた鈴木裕司選手(商3)が代わった有原航平投手の初球をセンターに弾き返し2人が生還。点差を2点とする。更に1番辰巳選手のスクイズ、2番金田選手の2ランスクイズで3点を追加。足技を絡めて5点を挙げ、早稲田を突き放した。
 
 7回表からは義塾の守護神、福谷浩司投手(理3)が登板。走者こそ背負うものの、得点は与えず、早稲田の反撃を抑えて見事6-1で勝利を飾った。なお、勝利投手は6回の早稲田の攻撃を凌いだ山形投手であった。
 この時点で最低でも立教とのプレーオフへの進出が決定。優勝まであと1勝となった。

5月28日(土) 試合開始13:00 終了15:42  観衆16,000人 勝利投手:山形 敗戦投手:大野

12 3456789
早稲田0000100001
慶應義塾00100500×6
 翌29日(日)は2回戦が予定されていたものの、雨天のため中止。2回戦は30日(月)に順延となった。  仕切り直しとなった30日(月)。開門時こそ小雨が残っていたものの、徐々に雨があがり、ちょうど晴れ間が覗いた13時、義塾の先攻でプレーボール。義塾先発は雨天で中1日開いたエース竹内大助投手。早稲田は横山貴明投手が先発。  立ち上がりは投手戦の様相を見せる。義塾竹内大助投手はストレートとカーブでコーナーを突く丁寧な投球で、対する早稲田横山投手は伸びのある直球を軸とした力の投球で、両者2回を1安打無失点と上々の立ち上がりを見せる。  動きがあったのは3回の表、義塾の攻撃。2死からこの日も1番に座る辰巳選手がセンター前に綺麗に弾き返すと、横山投手が突如制球を乱す。2番金田選手に四球、3番山崎錬選手に死球を与え、満塁で4番伊藤選手を迎える。昨日は4打数無安打で首位打者から陥落してしまった伊藤選手だが、ライト線へ鋭い当たりの2点タイムリーツーベースを放つ。続く5番宮本選手はセンターへの2点タイムリー。この回義塾4点を先取する。  4点のビハインドを背負った早稲田は6回裏、四球とヒットで無死1・2塁のチャンスを作ると、義塾の捕手阿加多選手のパスボールと悪送球で1人生還。まず1点を返す。更に4番杉山選手のショートゴロの間に1点。2点差に迫られる。続く5番の地引選手に四球を与えると義塾は竹内大助投手から福谷投手へスイッチ。福谷選手は代打市丸大介選手を三振に取り、この回の反撃を断つ。  追加点を取りたい義塾は7回表2死で4番伊藤選手に打席が回る。伊藤選手はこの打席に首位打者、三冠王がかかっていたが、この打席で四球を選び、三冠王の行方は第5打席へと持ち越された。  義塾が追加点を取りあぐねている間に、早稲田が福谷投手を捕らえる。8回裏、早稲田の攻撃。先頭の佐々木孝樹選手が初球を弾き返し出塁すると、4番杉山選手が四球を選び1死1・3塁。続く5番地引選手が今日3安打目となるタイムリーを放ち1点差とし更に満塁のピンチを作る。しかしここで福谷投手が代打徳井翔一選手を打ちとりなんとか追いつかせない。ただ、ここまで今季通算1失点と完璧なリリーフを見せてきた福谷投手が失点し、流れが早稲田へと傾く。  9回表2死1・2塁で4番伊藤選手に第5打席が回る。スタンドは全力の声援を送るも厳しいコースを突かれ、四球。伊藤選手の三冠王は惜しくも達成とはならなかった。9回表は追加点も入れることもできず、1点差で9回裏を迎える。  9回の表も福谷投手がマウンドへ向かう。福谷投手は危なげない投球で代打佐野直音選手、1番川西啓介選手を連続三振に仕留める。だが、9回2死、あと1人から落とし穴があった。2番佐々木選手にスリーベースヒットを打たれ、同点のランナーを3塁に置いてしまう。迎えるは早稲田の主将、3番の土生選手。土壇場で苦しい場面を迎えたが福谷投手が渾身の150キロのストレートで三振に切って取ってゲームセット。2季ぶりの優勝を完全優勝で飾り、慶早戦を2連勝で勝ち越した。

5月30日(月) 試合開始13:02 終了16:10  観衆10,000人 勝利投手:竹内大 敗戦投手:横山

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慶應義塾0040000004
早稲田0000020103

 優勝が決定すると江藤省三監督、竹内秀夫助監督、主将の伊藤選手が次々と胴上げされ、スタンドも歓喜に包まれた。また、エース竹内大助投手の目には光るものがあった。対照的に三冠王を惜しくも逃した伊藤選手は晴れやかな表情でインタビューに対し、「持ってないですね、持ちきれてないですね、すみません」と語り、球場の笑いを誘った。  優勝を飾った義塾は7日(火)-12日(日)に全日本大学野球選手権に臨む。これについて伊藤選手は「日本選手権、てっぺんを取る」と高らかに宣言。リーグ戦、慶早戦は終わったものの、春の義塾野球部の快進撃はまだ終わらない。日本一を目指す義塾野球部にさらなる期待とエールを送ろう。