2年連続でシリアスゲームが課題となった、1年生必修授業の環境情報学の創造。「#意識低下学の創造」という批判を書きこむハッシュタグができるなど、穏やかとは言えなかった今学期。どのような試みがなされ、学生と先生の間でどのような意見の相違があったのか。それを探るべく、SFC CLIPでは各方面に調査を行った。

新たな試み

 グループワークでシリアスゲームを作成するという点は去年と同じだったが、いくつかの新しい試みもあった。

 まずグループのメンバーは、昨年度のようなメンターごとのものではなく、事前のアンケートにより興味分野を調べ、マネジメント、ディレクション、デザイン、テクノロジなどの能力のバランスを見て決定された。

 また、Facebookのファンページを用いてSAや履修者などの交流を図ったり、Facebookでの課題提出が認められたり、シリアスゲームをFacebookアプリとして完成させることを求められるなど、授業でのFacebookの活用も今年からの試みだ。同時に、Facebookアプリを実装できるだけのプログラミング能力を、1年生必修授業で求めたことは、多くの議論を呼んだ。

学生の声は?

 まずは数名の履修者に、いくつか質問に回答していただき、そこから生の声を探ってみた。

今期の環境情報学の創造において、Facebookアプリの実装まで課されたことについて

  • 少し酷だった。
  • もっと早く(内容が)告知されるべきだった。
  • コーディングできる人に頼りがちになってしまう。
  • 学生を刺激するという意味では効果的だった。
  • 実力の差がモチベーションの差を生んでいた。

良い点を見出せている学生、そうでない学生がいたようだ。

今期の環境情報学の創造では、終盤になるにつれて明らかに出席率の低下が見られたことについて

  • 出席を取るべきだった。
  • シリアスゲームによって成績がつくという雰囲気があった
  • 実装できるかできないかで意識の違いが生まれていた

出席率の低下は、出欠を取らなかったのが一番の原因だという見方が強かった。

授業の満足度について

  • 受けなくてよかったのなら受けたくなかった。
  • SFCの素晴らしさを実感できた。
  • 社会の厳しさを知るための社会勉強としてはよかった。
  • FacebookやTwitterなどを取り入れた授業はよかった。

不満の声は多く見られたが、SFCらしさや新たな試みをある程度評価する声もあった。

SAへのインタビュー

続いて、授業のSAを担当していた、吉中貴史さん(環2)、木村優作さん(環2)のお2人に話を聞き、まとめてみた。

実装するのは当たり前

 この学校には、スライドを作り、プレゼンをして終わりという授業が多い。しかし実際の社会は、アイデアを最後まで形にして初めて動く。一生懸命考えたモノは形にしないといけない。厳しかったのは分かるが、良い授業だったと思う。それに、プログラミングのみを評価していたわけではない。大事なのは講義の内容を自分なりに噛み砕き、グループでモノ創りを実践できたか、今まで学習して身につけてきたスキルを使って、どうやったら今回の課題が創れるか考えたかということ。つまり、試行錯誤したプロセスが重要であった。

もっと頼ってもいいよ!

 もっと先生、SAを頼るべき。今年の SAにはデザイン、プログラミング、音楽のできるメンバーを揃えていたし、教える気満々だった。何をしたらいいですか?という漠 然とした質問は山ほど来たが、しっかりと工程を調べた上での質問はほとんどなかった。もっと能動的になって欲しかったと思う。その点、「#意識低下学の創造」が生まれたのは、素晴らしい事だったと思っている。なぜなら、「欠点を見つけたら、どう改善す る?」というSFCの問題発見・問題解決の理念に近いものを感じたからだ。自ら考え、自ら行動することに気づけたかどうかで、この授業への思いは二極化したかもしれない。

 悩んで、必要なものを知り、それを能動的に学び、形にする。環境情報学部の創造は、まさにSFCで暮らしていく上での「生き方」を教えるものだった。