本日、SFC CLIPの前・執行部を務めた3人の先輩が、卒業の日を迎えた。藤江健太郎 前編集長(13年環卒)、藤平直人 前デスク(13年総卒)、藤澤伸 前技術部長(13年環卒)だ。彼等が執行部を務めた1年間は、入部者数・アクセス数・記事数すべて編集部史上最多。大きな功績を残した。性格も得意分野もバラバラな3人の"藤"は、一体どのようにして編集部を成功に導いたのか。


3人正面





藤江「もともと、09入学で編集部に入ったのは俺1人だけだったんだよね。そこへ、2年の途中から藤澤が入って来た」



藤澤「はじめは俺、藤江に敬語使ってたんだけど、覚えてる?」



藤江「そうだった! たしか俺、すごい先輩ヅラしてたと思う。でも、藤澤はWEBに関する技術について、ずば抜けて優秀だった。コイツには絶対に敵わない、って思ってからは、もう尊敬の眼差し!」



藤平「その後、俺が入ってきた、ということだね」


— その頃、編集部はどんな雰囲気だったんですか?





藤平「個人的な印象としては、みんなで楽しくわいわい、っていうサークルではないと感じたよ。それぞれ仲の良い先輩後輩はいるんだけど、人数も少ないし、なんだかバラバラ。個々人が真面目に黙々と作業しているな、という印象だった」



藤江「今は恒例になってる編集後の食事会・飲み会もなかったしね」



藤澤「メディアとしても、割と保守的な記事が多かったと思う。『御用メディア』、と揶揄されたこともあったよね」


— 今は、人数もだいぶ増えて、毎回編集後にはみんなで食事に行ったり、忘新年会、歓送迎会…と飲み会も多いですよね。何がきっかけで、現在の雰囲気の編集部になったんでしょうか。





藤江「2代前の編集長の時代から始まり、俺も藤平も、楽しいことが大好きだったんだよね。誕生日の部員がいればケーキを買ってきてお祝いしたり、よく後輩を誘って食事に行くのが楽しみだった」



藤平「俺は、飲みニケーションってすごく大事だと思ってる。普段の編集作業では話せないような、ふざけた話も真面目な話も、お酒の席では面と向かってゆっくり語り合うことができる。そうやって心の距離が縮まることで、仲も深まるし、知識や情報、感覚なんかも理解し合えるんじゃないかな」


— なるほど。でも仲が良いだけでは、編集部としては上手く行きませんよね。特に執行部を務めた3人は、どのように役割分担をして、編集部を運営していたんですか?





藤澤「性格・得意分野が、3人が3人とも全く違ったので、それで文字通り上手く役割分担ができたんだと思う」



藤平「俺は、取り上げるネタはどんどん取り上げて、出せる記事はどんどん出そうとする『アクセル』。藤江は、何かと気を配って慎重に判断をしようとする『ブレーキ』。藤澤は、俺や藤江が迷った時に、客観的に分析して方向を示してくれる『ハンドル』であり、進むペースを調節してくれる『ギア』でもあったんだろうな」



藤江「しかも俺たち3人には、校正、運営、技術、とそれぞれ得意分野があって、それは他の2人は決して敵わない。このことを3人ともきちんと理解してたから、お互いのことを尊重して、信頼した。安心して、自分のやるべきことに専念できたんだよね」



藤平「そういう意味では、毎回本当に気持ちよく仕事ができたと思う。だって、苦手なことをやらずに済んだからね」


対談1




— それは、偶然なのか、必然なのか……。とにかく、絶妙なバランスで3人が編集部に関わり、運営が成り立っていたんですね。うーん、納得です。
 ところで、逆に、失敗したことや後悔したことってありますか?





藤江「記事書くのが遅かったことかなあ……デスクの藤平によく怒られてた」



藤平「上級生は、後輩たちの記事を校正する作業があるのに、藤江はいつも自分の記事で精一杯で、他の記事を見る余裕がなかったよね。困ったよ」



藤澤「技術を分担しなければいけない時期には、危機を感じたな。これまでは、なんでもできるカリスマな編集長が1人いて、その人が分かっていれば全部管理できた。でも、複数の部員でやろうとした時に、どう分担していくか。その辺りのノウハウを、もう少し後輩に残してあげたいと思ったよ」



藤平「安定した活動が出来ていたからこそ、『もっとできたはず』と思ってしまうかな。企画倒れになったものを記事にしたかったし、後輩たちのために、もっと難しいことをやらせて、苦労させてあげたかった」


苦労といえば、震災のときは編集部は大変だったんじゃないんですか?





藤江「うん、大変だったけど、頑張ったよね。キャンパスがどうなったか、湘南台周辺の交通状況や計画停電についての情報を常に更新したね」


— いろんな壁を乗り越えつつも、それを基盤として、3人の執行部が出来上がったんですね。
 では、今後の編集部が、このまま上手くやっていくにはどうすれば良いと思いますか?





藤平「記事ネタの集め方がカギじゃないかな。これまでは、思いついた人が、好きな時に好きな記事を書く、というやり方で何とか間に合っていた。足りない時は、デスク役の俺が1人で見つけてきて、割り振ることでなんとかなっていた。でも今後は、記事ネタはそこら辺に転がっているものでは足りないくらい、編集部員が増えてくると思う。編集部員は、記事がないとモチベーションが上がらず、結果として1年目の夏を過ぎると編集に来なくなってしまう」



藤江「編集部員は、何をしにSFC CLIPに来ているかと言えば、記事を書くためだもんな。1年目の上半期からどんどん書かせないと、部員は残らないよね」



藤平「生協、メディア、学事、スポーツ…自分のジャンルを1つ決めて、上から言われなくても記事ネタを発掘してくる、ぐらいは、できるようにしていくべきだと思うよ」


藤平




— 最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。





藤江「さっきも言ったけど、自分ができることとできないことをしっかり見極めて欲しいと思います。自分に向いていないことは諦めて、他人に任せてみる、という勇気を持って欲しいね。それから、自分で入ると決めたサークルだったら、きちんとコミットすること。1年生でも、どんどん積極的に出来ることを探してみてください。コミットした分だけ、成果があると思います」



藤澤「周りにどういう人がいるかで学生生活が決まる、と俺は思います。勉強すること、遊ぶことも大事だけれど、『こういうチームにいると、自分はこんなことができる』と分かることも、同じくらい大切なんじゃないかな。たしかに、大学時代の経験がそのまま仕事に活きるとは限らない。但し、自分の力量や得意不得意を理解することは、長い目で見れば必ずプラスになると思うよ。」



藤平「俺が後輩に伝えたいことは2つ。ひとつは、『万能を目指すな』ということ。全部をやろうとすると、どうしても浅くなる。これをやる! と決めたら深く掘ってみてください。それから、2つめは『調べれば分かることは書くな』。CLIPって、切り取って貼り付ける、って意味はあるけど……ググればいろんなことが分かる時代。ググっても見つからないような、面白いことを書いて欲しいです」


ありがとうございました! 本日は、ご卒業おめでとうございました!





藤平「こちらこそ、みんなありがとう。この執行部、3人でチームになれたこと、感謝しています。とても楽しかったよ」



 この春、社会人の仲間入りをする3人の4年生。SFCの先輩、人生の先輩として、これからも美しい"藤"の花を、変わらず咲かせていてくれることを確信している。