「映像が訴えかける力を信じてやまない」そんな入学したての1年生が立ち上げた上映企画「アールメディアプロジェクト」。25日(水)に初の上映会を控えている同プロジェクトについて、今回はメンバーの岩下大志さん(環1)とリッキー・ローランドさん(環1)にプロジェクトの目的や展望を聞いた。

「作る」と「観る」のコラボレーション!? やる気は「発表できる場」から生まれる

ars1岩下さん(左)、ローランドさん(右)

— ふたりは映像に関して、どのような活動をしているのですか?

岩下:

 僕たちが所属している映像サークル「MOVE」(映画研究会MOVE・以下、MOVE)では、映像が好きな人が集まってはいるのですが、なかなかサークル全体としての制作に辿り着けないのです。やはり撮影には人数を要しますし、他の活動との兼ね合いでまとまった時間が取れていないのが現状です。映像を撮りたいという強い思いがある人は、個人で取り組んでいるということも多いですね。僕の場合は、映像制作団体「UITH」にも所属していて、大学内外を問わずあらゆる団体から依頼を受けて映像を制作しています。今は、SFC秋祭の「ミスSFCコンテスト」から依頼を受け、取りかかっているところです。

ローランド:

 僕は映画を観ることが好きで、特に洋画をよく観ます。一日に映画館を3箇所まわったこともあるくらいです。映画館巡りは結構おもしろいですよ。

— 映像制作に映画鑑賞、ふたりとも映像をこよなく愛していますね。

岩下:

 映像を作る気があっても、その優先順位が低いとなかなか完成させるのが難しくなります。優先順位が低くなってしまう原因には、映像制作へのやる気を引き起こす原動力が欠けてしまっていることがあると思います。そこで、学生が制作した映像を発表できるような場があれば、制作するモチベーションも上がるのではないかと考えました。

ローランド:

 最近では、スマホやタブレットでいつでもどこでも映画を観ることができますよね。でも一方で、みんなで映像を観て共感する機会が少なくなってしまっているのではないでしょうか。だからこそ、上映会を通して感動を分かち合うことができれば良いのにと思うようになりました。

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— 映像を作る側と観る側の思いがつながったのが「アールメディアプロジェクト」なのですね。

ローランド:

 このプロジェクトが生まれたのは、MOVEの新歓合宿の帰り道でした。「映画でθ館を埋めてみたい」と思ったのがきっかけです。岩下君とおすすめの映像作品について話し合っていたところ、ちょうど上映にふさわしい作品を見つけ、その場の勢いで実行を決めました。

岩下:

 僕は、冗談半分かと思っていたのですが、次の週にローランド君が企画書を持ってきたので驚きました。「もう実行するしかない」と思いましたね。

θ館を「観る×発表の場」と「つながる場」に

— プロジェクトでどんな場づくりをしたいと思っていますか?

ローランド:

 教授おすすめの作品などを参考に、インターネット社会と関係の深いSFC生が共感しやすい作品を選び、上映会を設けることによって、参加者に映画館で作られるような協働意識を持ってもらいたいと考えています。

岩下:

 それに加えて、学生が自主制作した作品を上映する機会も作りたいと思っています。映画の上映と抱き合わせで、発表の場としても機能させたいです。

— 二本立てにすることによって、作ることに関心がある人も観ることが好きな人も両方集まることができますね。

ローランド:

 完成度の高い作品を観ることによって、映像制作に対するモチベーションが上がることを期待しています。映像が好きな人に、そんな志が与えられたら嬉しいです。

岩下:

 さらに言えば、映像制作を志している人が集まって作品を撮っていくことができるようなコミュニティ作りにもつながれば良いですね。

「映画はコミュニケーションツール」学外進出にも意欲的

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— プロジェクトの長期的な展望はありますか?

岩下:

 今、僕たちはSFCで活動をしようとしていますが、将来的にはインターカレッジ団体として活動をしていきたいと考えています。プロジェクトがSFCで成功したら、他大学でも活動できるような体制を作ろうと計画しています。

ローランド:

 職業年齢問わず、映画好きのコミュニティを拡大していきたいですね。映画もコミュニケーションツールの一つだと捉えているので、映画について一緒に語り合える場を目指したいです。

25日(水)、『攻殻機動隊 ARISE』を上映 夏野剛特別招聘教授からのビデオメッセージも

— 今月25日、ついに初回の上映会を実施しますね!

岩下:

 はい。SFCはインターネット環境が整った上、アニメ好きが多いと感じているので、『攻殻機動隊ARISE』(士郎正宗原作・黄瀬和哉総監督・「攻殻機動隊 ARISE」製作委員会、2013年)というアニメ映画を25日(水)18時から上映します。この映画はシリーズ全4部作で、6月末に3部目が公開されます。それに関連させて、今回この作品を選びました。
 ただ上映するだけではありません。企画に賛同してくださる教授に協力を仰いでいます。今回は、夏野剛特別招聘教授にビデオメッセージを頂くことになっています。ビデオメッセージは、夏野教授が取締役を務める株式会社ドワンゴ本社に赴き、僕たちが撮影します。25日の上映会の最初に流しますので楽しみにしていてください。

「映像の訴えかける力を感じてほしい」「映画は冒険だ」

— 最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。

岩下:

 僕は映像がとても好きです。映像は、とても力のあるメディアだと思います。このプロジェクトを通して、映像を作りたい人も観たい人も、映像の訴えかける力を感じ取っていただきたいです。

ローランド:

 映像ほど、人の心を動かすメディアはないと思います。映画は、そのシーンごとに僕たちを”冒険”に案内してくれます。この”冒険”を通して感動が得られるのです。僕は、次なる感動を求めて、いつまでも映画を観続けます。だから、みなさんも一緒に映画という冒険をしましょう。

 25日(水) 18:30よりθ館でアールメディアプロジェクトが初の上映会を開催する。『攻殻機動隊ARISE』を観たい人はもちろん、このプロジェクトについて興味を持った人も、ぜひ足を運んでみよう。