6月25日(水)、メディアセンター1階にて「ビブリオバトル in SFC」が開催された。ビブリオバトルとは、バトラーと呼ばれる参加者たちが、自分の好きな本を持ち寄り書評し合うイベントだ。都主催の大会では700人以上のバトラーが集まるなど、近年注目を集めている。


 今回の「ビブリオバトル in SFC」はメディアセンター・フレンズ(以下フレンズ)が企画し、職員の協力のもとに実現した。フレンズは学生の視点から、メディアセンターの問題発見を行うための団体で、今回のイベントのようにメディアセンターを盛り上げるための企画提案も行っている。



 最初にメディアセンター事務長の長島敏樹さんから開会の挨拶があった。「今回がSFCのみならず、慶應義塾でも初めてのビブリオバトルです。みなさん楽しんでください」と長島さん。挨拶が終わると司会のフレンズからルールの説明があり、発表が始まった。



 ビブリオバトルの公式ルールは以下の通り。

・バトラーが読んで面白いと思った本を持って集まる。
・順番に一人5分間で本を紹介する。
・それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2-3分行う。
・ディスカッションが終了した後「一番読みたくなった本」に一人一票投票し、最も多くの票を集めたものを『チャンプ本』とする。




歴史小説から宇宙物理学の本、果ては旅行ガイドまで…



 最初のバトラーは、藤谷悠さん(総4)。紹介する本は、「地球の歩き方 香港」。「地球の歩き方」は有名な旅行ガイドで、書評の対象になるのは珍しい。聴衆の意表をつく、挑戦的なセレクトだ。藤谷さんは自らの旅行体験を交えながら、本を読んで知識を得るだけでなく、それを自分自身で確かめることの重要性を熱弁した。

びぶりお! 1本の魅力を語る宮坂航亮さん(環4)


 司馬遼太郎の人気小説「燃えよ剣」を選んだのは宮坂航亮さん(環4)。「高校生のころに初めて読んだのですが、最近読み返したらまた違う感動があったので、この本を選んだ」と語る。小説中の名言を引用しながら、自分の信念を貫くことの難しさと、動乱の時代に自分を曲げずに生き抜いた主人公、土方歳三の魅力を語った。

 3人目の宮城あずささん(総3)は、J.S.ミルの「大学教育について」を紹介した。「なぜ自分は大学で学んでいるのだろう?」と悩んでいた宮城さんが出会ったのがこの本だった。ミルの「大学教育は物事の原理を追求し把握しようとすることに尽きる」という文章に出会い、感銘を受けたと話す。
 ビブリオバトルでは、5分間の発表時間の後に、2分間の質疑応答が行われる。会場から「その本に影響を受けて変わったことはあるか?」という質問が投げかけれられると、宮城さんは「芸術教育についての記述に影響を受けて、抽象絵画を始めました」と答えた。

 高校時代、社会起業に関係する本を読み漁ったという、伊谷陽祐さん(総3)が選んだのは様々な社会起業家を紹介、分析する「クレイジーパワー 社会起業家―新たな市場を切り拓く人々」。本に出てくる様々な事業を例に取りながら社会起業という概念の斬新さ、素晴らしさについて熱っぽく語り、「ぜひこの本を読んで社会起業について知ってほしい」と発表を締めくくった。

びぶりお! 3熱弁する伊谷陽祐さん(総3)



 最後のバトラーは、江部正周さん(環4)。江部さんは子供のときから「宇宙というものを人間がどう捉えるか」に興味があったという。そんな江部さんが選んだ「宇宙の扉をノックする」は最新の宇宙物理学について解説した本。「宇宙の扉をノックする」は、簡単なモデルや実験を通して宇宙物理学者達の思考に触れることができるという。

優勝決定戦へ


 各自の発表が終わると、挙手による投票が行われた。結果は宮城さんと伊谷さんが同率一位。同率の場合はじゃんけんで勝敗を決める予定だったが、伊谷さんが延長戦を行うことを提案。二人が30秒づつ追加発表を行うことで「SFCルール」が急遽採用された。

 伊谷さんは「クレイジーパワーを読んで、皆さんの周りにいるいい意味でクレイジーな人たちの重要性に気づいて欲しい」と語り、宮城さんは「この本は難しい本です。でも、その本を一行一行丁寧に読んでいくと新しい価値観に出会えます。そういう体験をみなさんにしてほしい」と話した。

 決戦投票の結果、宮城あずささんが優勝に栄光に輝き、3Dプリンタで作られた王冠が授与された。優勝した宮城さんに発表した感想を聞くと「この『大学教育について』は、学生になってから一番ピンときた本でした。この本の良さを5分で伝えようとがんばりました」と笑顔で答えてくれた。

びぶりお! 4優勝した宮城あずささん(総3)


 「ビブリオバトル in SFC」は今回の盛況を受けて、10月に第二回の開催が決定した。我こそはと思うビブリオマニアは mc-friends@sfc.keio.ac.jp に①氏名・学籍番号、②携帯電話番号・メールアドレス、③ビブリオバトルへの意気込みを書いて、参加申請をしてはいかがだろう。