19日(日)、第84回早慶対校競漕大会「早慶レガッタ」が隅田川で開催された。義塾端艇部は対校エイト(3750m)で早稲田に勝利。これで義塾は4連覇、通算39勝44敗1分となる。しかし、今大会は早稲田の失格による異例の「判定勝ち」。勝利を収めた義塾端艇部の選手たちに笑顔はなかった。大波乱となった今回の早慶レガッタ、いったい何があったのか。

隅田川に連なる橋をくぐってゴールを目指す

熱狂に包まれる春の隅田川

レースは予定の15:30を少し遅れて隅田川下流の新大橋からスタートした。ここから3750mという距離を、早慶両校のボートが上っていく。この日は風が強く、波が立ち、選手たちにとっては過酷な状況でのレースとなった。

小雨のなか行われるレース

スタート直後、早稲田大学(以下、早稲田)が強い漕ぎ出しでレースをリード。義塾は波にオールをとられ、苦戦を強いられる。そのまま早稲田が10m以上リードしたまま両国橋を通過。その後、厩橋を目前に早稲田が17mに差を広げる。遅れをとる義塾はここからピッチを上げるものの、両校の差は更に開き20m以上に。義塾はさらにピッチを上げるが、駒形橋に差し掛かるときには早稲田との差は30m、時間にして4秒の差を許す状況となった。

吾妻橋を抜け、東武線鉄橋を通過時に義塾は猛烈な追い上げを見せ、差を20mまで戻すも、ゴールの桜橋は目前。義塾はそのまま追い抜こうと早稲田に先行しスパートをかけたが、桜橋を抜けても差は縮まらず、1艇身強差で早稲田が先着することとなった。

先着し、歓喜する早稲田の選手たちだったが…

突然の赤旗 どよめく会場

早稲田の勝利かと思われたレースだったが、ゴール直後に揚がったのはレースの即中断を意味する赤旗だった。「結果を審議している」との会場アナウンスが入り、会場がどよめく。その後、10分近い沈黙を破り、マイクを通して二見高司大会委員長から早稲田の失格が伝えられた。これを受けて義塾側から歓声があがるとともに、早稲田漕艇部の選手たちは船上でがっくりと肩を落とした。

予想外の結果に肩を落とす。

二見委員長によると、早稲田漕艇部のボートが言問橋下流でコース外を進行したため、コースルールに基づき、早稲田が失格になったとのこと。過去に同着や沈没などはあったものの、失格という処分は110年の歴史のなかで初めてとなる。異例の知らせに早稲田漕艇部のメンバーは悔しい表情を見せつつも、声援に包まれながら退場した。

観客たちは肩を組んで「丘の上」を歌う。

桜橋のたもとでは、定番の若き血だけでなく、義塾が勝利した際にのみ歌われる「丘の上」が歌われ、義塾側スタンドの観客は大いに盛り上がった。しかし、歓声を浴びながらも選手たちに笑顔はなく、例年のような手を振る姿は見られなかった。

試合には勝利したが、義塾端艇部に笑顔はなかった。

4連覇とはなったものの、実力では確かに早稲田が上回り、後味の悪い結末に終わった今年の早慶レガッタ。来年こそ義塾端艇部の完璧な勝利に期待したい。