慶應義塾ITCは5月16日(月)、全塾でクラウド型のオンラインストレージシステム「Box」の提供を開始した。これまでもkeio.jpを通じてGoogleドライブが提供されている中、なぜ新たなストレージシステムを導入したのか。ITCに取材した。

提供が始まったBox。keio.jpのアカウントを持っていれば利用できる 提供が始まったBox。keio.jpのアカウントを持っていれば利用できる

新たに利用可能となったクラウドストレージ

Boxを始めとするクラウド型のオンラインストレージシステムは、インターネットを介してサーバーにデータを保管できるサービスだ。SFCの学生はBoxの導入により、Googleドライブ、CNSオンラインストレージサービス、そしてBoxと、3つのストレージサービスを利用できることになる。

どのサービスもファイルをサーバー上に保存するという基本的な機能に変わりはないが、今回新たにBoxが加えられた背景には、他のサービスにはない豊富な機能とオンラインストレージならではの理由があった。

充実したビューアーと強力な共有機能

Boxの大きな特徴は、強力な共有機能にある。もちろん、ほかのオンラインストレージサービスでも基本的な共有は可能だが、Boxは相手がアカウントを持っていなくても共有することが可能。さらに、それぞれの共有リンクに対してダウンロードできるかどうかを変更したり、有効期限やパスワードを設定したりできる。

他大学や外部の相手とファイルを共有する際には、Boxの柔軟なファイル共有機能が力を発揮するだろう。また、フォルダにコラボレーターを招待することで共同で作業することもでき、グループワークなどで役立つ。

100種類以上のファイル形式に対応するBox

また、100種類以上のファイル形式に対応するBoxでファイルを共有すれば、相手が閲覧するためのソフトウェアを持っているか確認する必要はない。Boxのプレビュー機能はWordやExcelを始め、PhotoshopやIllustratorで作成したファイルも閲覧することができる。さらにWebページに埋め込んで共有することも可能で、動画ファイルはそのままストリーミング配信が可能となる。動画の再生回数は非表示とすることもできる上、もちろん広告は表示されない。Boxで管理している動画をWebページに掲載したい場合は、YouTubeなどにアップロードせずにそのまま配信することができるのだ。

サービスごとのセキュリティの違いに注意

Boxは、データを安全に保存することができるのも大きな魅力だ。BoxにアップロードしたファイルはBox側で自動的に暗号化され、定期的なバックアップも行われる。ただし、外部に漏らしたくない重要なデータを管理する際は保存先を慎重に考慮する必要がある。

Googleはアメリカの企業であり、Googleドライブにアップロードしたデータはアメリカおよびカリフォルニアの法律に従って扱われる。一方、Boxのサービスを提供するのはイギリスの企業(本社は米国)。Boxに預けたデータはイングランドおよびウェールズの法律に従うことになる。テロをはじめとした有事の際、預けたデータの扱いが異なってくるので注意が必要だ。

Boxは分散型サーバー CNSオンラインはSFC内のサーバーに

また、GoogleドライブやBoxにアップロードしたデータは世界中のサーバーに分散されて保存されるため、アップロードしたデータがどこに保存されているかわからないという状況になる。一方、SFC生のみが利用出来るCNSオンラインストレージサービスは、提供するのはSFC-ITC。データも必ずSFC内のサーバーに保存される。特に慎重に管理しなければいけないデータを保存・共有する際は、CNSオンラインストレージサービスの利用を検討しよう。なお、CNSオンラインストレージサービスは正式運用中ではなくβ公開のため、データは無保証であることに注意が必要だ。

それぞれのサービスをうまく使いこなそう

各サービスはそれぞれ特長や性質が異なり、利用目的によって最適なサービスは変わってくる。それぞれの詳細な情報や使い方については、ITCがマニュアルを提供しているので参照してほしい。Boxの導入により広がった選択肢を上手に活用し、研究やサークル活動に役立てていこう。

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