8月19日(金)、「SFC周辺の魅力的な場所を訪ねるお散歩ツアー」第4弾が実施され、SFCの学生らが旬のぶどうや梨を生産する農家を訪れた。実際に果物を収穫して味わい、農家に話を聞くことで地域についての見識を深めた。

いざ、ぶどう狩りへ!

参加者は10:00にSFC近くの神奈中「遠藤」バス停に集合。SFC生を中心に10人ほどが集まった。その後、ぶどうや梨を生産している農家を歩いて巡った。

いさわ果樹園での様子 いさわ果樹園での様子

ぶどう狩りをしたのは「遠藤」バス停から徒歩10分のところにある「いさわ果樹園」。「竜宝」や藤沢市で開発された「藤稔(ふじみのり)」と呼ばれるぶどうや梨を、参加者自らの手で収穫して味わい、果樹農業を始めた経緯などの話を聞いた。ぶどうが痛まないために使われている日除けや、害虫から果実を守るための特殊な素材についての説明があるなど、ぶどう狩りをただ楽しむだけでなく、農業についての知識を深めることができる内容だった。

藤沢市で開発された「藤稔」 藤沢市で開発された「藤稔」

「豊水」や「幸水」といった旬の梨も栽培されている 「豊水」や「幸水」といった旬の梨も栽培されている

SFCに通っていても、周辺を見てまわる機会は少なく、すぐ近くでぶどうや梨が生産されていることを知らない人も多いのではないだろうか。そのほかにも野菜や樹木を生産している農家が何軒もあり、都市部に届ける近郊農業地帯として栄えている。

地域に関わる人々全員の「まちづくり」のために 原悠樹さんの活動

このイベントの趣旨を、企画者の原悠樹SFC研究所上席所員にうかがった。原さんは04年入学のSFC卒業生で、10年以上地域の方々と交流してきたという。

地域との交流や学生が地域と関わる場の必要性を訴える原悠樹さん 地域との交流や学生が地域と関わる場の必要性を訴える原悠樹さん

最初のきっかけは原さんが学部3年生のとき。当時所属していた情報地理学(GIS)を扱う厳網林研究会に、藤沢市西北部整備事務所から都市農村交流に関する依頼がやってきた。都市農村交流とは、都市部と農村部の人々が交流し、互いの魅力について知り、分かち合う取り組みだ。これに学生の視点と研究会の情報技術を取り入れるまちづくりを育てることが目標とされたそうだ。

西北部開発を進める藤沢市が中心となって地域の方々と「御所見まちづくり推進協議会」を組織しており、その協議会と協働して地域の魅力を発信するためにマップの作成と、地域の魅力を体験するウォーキングイベントなどを行ってきた。

SFCができたころから大学と藤沢市には交流があった。しかし、当初は一方的にSFCの教員が研究を行ったり、授業などで一時的に関わったりする程度のものも多く、学生の視点や地域で昔から生産を続けている方の意見を汲み取りきれなかった。そんな中、原さんは地域の方々や学生が継続的かつ相互に交流することの必要性を強く感じ、活動を続けている。

こうした経緯から、今回は旬のぶどうを生産している農家を訪れ、地域の現場を知るためのイベントを企画した。今年の6月2日、6月5日、9月5日にも同様のイベントを行っており、今後も続けていくという。

いさわ果樹園の梨農園 いさわ果樹園の梨農園

多様な学生とSFC周辺のまちづくりを

今回のイベントは原さんが中心となり、趣旨に賛同した学生数人とともに企画された。パターン・ランゲージを扱う井庭崇研究会の原島裕志さん(総3)が原さんのプロジェクトに参加し、同研究会に所属していた学生数人に声をかけ、今年度からイベントを企画している。

「もともと、パターン・ランゲージは海外でまちづくりに活かすべく作られたもの。これから藤沢市のまちづくりにも活かしていきたい」と話す原島さん。このように、原さんと学生がそれぞれのスキルを用いてまちづくりに関わっていこうと活動している。

今後はサークルを作っての活動も検討しているという。「大学から地域との交流を創りたい」「まちづくりに参加したい」という思いを持つ人にとっての窓口となる団体にしていくそうだ。また、10月8日(土)から行われる秋祭では「遠藤自治区プロジェクト」として地元の食材を使った料理を提供するほか、11月のORFに出展し活動報告も行うという。近いうちに、農家の方々に農業技術を教えていただくイベントも計画している。

原さんも指摘していたが、地域振興を行うSFC生は多いものの、SFCのある遠藤をはじめとした藤沢市を対象とする人は少ない。毎日通う大学の周辺について知らないというのは、灯台下暗しといった印象もうける。これをきっかけとしてSFCの周辺地域に目を向け、どんな魅力があるのか、まずは知るところから「まちづくり」は始まるだろう。

まちづくりに興味のある人はぜひ原さんらの活動に参加してはいかがだろうか。

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