3月23日、2019年度学部学位授与式が開催された。本来は3年ぶりに日吉記念館にて学部卒業式が執り行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症への対策として卒業式は中止に。その代わりとして学部学位授与式の模様をインターネット上で動画配信する形となった。

会場の様子(慶應義塾広報室提供) 会場の様子(慶應義塾広報室提供)

なお、東日本大震災の発生直後となった2011年3月23日の2010年度卒業式も同じくオンラインで配信されたが、その際は代表の卒業生も出席・登壇していた。今回はウイルスの感染防止に配慮した対応となった。

卒業生不在での「学位記授与式」 6224名が巣立ち

式典の様子は23日10:00から約1時間にわたってYouTube上で動画配信された。配信元となった会場については卒業生、報道陣を含めて事前には一切公表されなかったが、慶應義塾広報室によると先日竣工した新しい日吉記念館だということだ。

会場の様子(慶應義塾広報室提供) 会場の様子(慶應義塾広報室提供)

式ではまず、新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて学部卒業式を中止した旨の説明があった後、登壇者の紹介と塾歌斉唱が行われた。

次に学事報告として各学部の卒業者数などが報告された。SFCからは総合政策学部から371名、環境情報学部から374人、看護医療学部から106名、大学学部合計で6224名が卒業した。

つづく学位記授与では卒業生代表の登壇もなく、塾長が淡々と各学部代表者の氏名を読み上げるにとどまった。また各種表彰対象者についても、氏名を司会者が読み上げるだけだった。

学位記を読み上げる塾長 受け取る卒業生はいない(動画配信より) 学位記を読み上げる塾長 受け取る卒業生はいない(動画配信より)

塾長式辞「主体的に行動できる市民に」

式辞で長谷山塾長は、「慶應義塾大学は新型コロナウイルスの感染拡大という状況を踏まえて、参加予定の方々の安全と健康、そして感染拡大の防止を最優先に考えて、やむなく卒業式および卒業25年塾員招待会等の関連行事を中止することにいたしました」と、今回学位記授与式をオンラインで動画配信した経緯について触れた。

そして、国際的な感染症の広がりを含めてグローバル化の進展した社会の功罪を語り、この負の側面を克服するためのキーワードのひとつとしてSDGsの達成、そのための大学の貢献の必要性を説いた。

また、医療をはじめとした新型コロナウイルス感染症の対応への貢献やデマに惑わされ続けている社会についても触れた上で「課題発見解決型の学習」や創業以来の慶應義塾の教育理念である「独立自尊」の重要性を説いた。そして「自らの意思で主体的に行動できる市民の存在は、一国の社会の成熟度を測る物差しでもあります」と、義塾の考え方を忘れぬよう卒業生に呼びかけた。

式辞を述べる塾長(動画配信より) 式辞を述べる塾長(動画配信より)

その後、塾員代表として世界空手連盟事務総長の奈藏稔久氏が祝辞を述べ、卒業25年記念事業実行委員長の島田豪氏らによる寄付目録贈呈と挨拶、慶應讃歌の斉唱をもって閉式した。なお、例年の卒業式で行われてきた卒業生代表による答辞は行われなかった。

SFC各学部長からのメッセージも

旧日吉記念館が取り壊された2017年度以降、卒業式終了後に総環の学部生が集まって学位記授与を行っていたSFC。今回そのような集まりが無かった代わりに3学部長、2研究科委員長ら連名でのメッセージが公式サイト上に掲載された。このなかで、SFCは問題発見・問題解決を是として社会の問題を直視し、その解決策を考えることを存在意義としてきてきたとし「福澤先生のウェーランド講義が示したのは、我々は休まず学び続けるという姿勢です。その精神を忘れずに活躍してください」と卒業生に語りかけている。
SFC公式サイトに掲載されたメッセージ SFC公式サイトに掲載されたメッセージ

卒業式中止も日吉には多くの卒業生

今回は感染症予防のため卒業式が中止、学位記授与式の会場も非公表となったが、卒業式が行われるはずだった日吉記念館前には、学位記を手にし袴やスーツに身を包んだ多くの卒業生や保護者らが集まっていた。また一部では、記念撮影やお世話になった人への挨拶などをするため、この日にあわせてSFCに足を運んだ卒業生もいた。

なお学部卒業生の学位記の受け取りなどの情報に関してはこちらを参照してほしい。

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