4月30日、湘南藤沢事務室学事担当への取材で、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に際し、慶應義塾の学費の減額は考えられていないと判明した。

SFC CLIP編集部では、学生総合センターからの強い要請を受け、対面ではなくメールでSFC学事担当に取材した。なお、当面のSFC CLIP編集部での活動はすべてオンラインで行っている。

新型コロナで広がる影響 大学の対応は

慶應義塾大学では、当面の間はSFCを含む各キャンパスを立ち入り禁止にすると発表されており、SFCの授業については、春学期中はオンラインで行うことがわかっている

授業のオンライン化に関しては、経済的理由でオンライン授業受講開始に必要な通信環境の整備が困難な塾生に対して、15,000円の補助金が支給される

また本日1日、長谷山彰塾長は「新型コロナウイルス感染症拡大にともなう緊急学生支援について」という塾長メッセージを公開した

この中で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で修学の継続が困難になった塾生に対して1人あたり最大40万円の経済支援を行うことを発表したほか、必要に応じて今後も支援策の拡大を続けるとした。

他大学でも同様に学生支援策が展開されており、全学生へのオンライン環境整備費の一律支給や、生活が困難な学生への給付金、学費の一部返還など、方法はさまざまだ。

学事担当「学費は定量的要素によって定められているわけではない」

こうした状況のなか「構内立ち入り禁止措置や授業のオンライン化に伴い、通常利用できるはずの大学設備が利用できない」等の学生の声を受け、SFC CLIP編集部では湘南藤沢事務室学事担当にメールで取材。施設設備費を含む学費の一律減額等は検討されていないのか質問した。

まず、学事担当は回答の中で、授業開始日の変更や授業のオンライン化などに関しては、

今年度は授業の開始が遅れたりするなど、通常と異なる状況があり、皆さん、不安の中過ごされていることと思います。
確かに、授業日の減少や形式の変更等があり当初の予定と大きく異なっておりますが、慶應義塾では何よりも皆さんの健康と安全を守り、感染拡大の防止という社会的に責任を果たすため、やむを得ず今回の措置に踏み切りました。
既に案内している通り、原則春学期はオンライン授業を行う予定で、従来の教育効果を保った形で実施できるよう、現在、各学部・研究科において懸命に準備が進められています。

とし、通常より少ない回数の授業やオンラインの授業であっても教育効果を損なわないよう配慮しているという。

また、学費や施設費について、他大学では一部返還する動きなどがみられることについて、慶應義塾の方針をきいた。

ご質問のありました学費についてですが、慶應義塾の学費は一部の費用を除き、慶應義塾の提供するサービスや中長期にわたる施設設備の整備・維持を包括的に考慮して定められているものであり、履修科目数・単位数あるいは授業回数などの定量的要素によって定められているわけではありません。以上のことから、学費の減額については考えられておりません。ご理解いただきますようよろしくお願いします。

なお、急激な家計環境の変化により学費の支弁が困難になった塾生に対し、学業に対する熱意が経済的理由で絶えることのないよう経済的支援策を複数用意しています。以下の
URLをあわせてご確認ください。
https://www.students.keio.ac.jp/com/scholarships/covid19-emergency-aid.html
https://www.students.keio.ac.jp/com/scholarships/tuition/extension.html

今まで慶應義塾として学費の減額については公式発表では触れられていなかったため、明確に「考えられておりません」とする回答が得られたのは今回の取材が初めてだ。

なお、担当からの回答にもあるように、慶應義塾では現在、緊急奨学金の取り扱いや授業料延納申請の受付などを行っている。

今は自宅で

通常どおりの生活を送れない日々が続くなか、昨日から授業が始まった2020年度春学期。オンラインの学習の場を最大限活用し、また経済的困難がある場合は上記の支援策を活用しながら、今は自宅で勉学に励もう。

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