コロナに負けるな! SFCのキッチンカー「あったまる」が新茶のオンライン販売をスタート!
SFC生が運営するキッチンカー「あったまる」が20日から、オンラインで新茶「環」を販売するサービスを開始した。SFC CLIP編集部では、販売までの経緯や新茶に対する思いについて、「あったまる」を運営する原田馨子さん(総2)と山田璃々子さん(環2)にお話を伺った。
SFC CLIP編集部では、学生総合センターからの強い要請を受け、対面ではなくオンラインで取材をした。なお、当面のSFC CLIP編集部での活動はすべてオンラインで行っている。
SFC生が運営するキッチンカー「あったまる」って?
—— 普段はどういった活動をされているんですか。
山田さん
「あったまる」は、『日常に「」を。』というテーマで、「心身があったまる暮らし方」を提案しています。具体的な活動内容としては大きく分けて2つあります。1つ目は、「カフェプロジェクト」です。キャンパスがあいていた時期は、月に1回、キッチンカーでSFCに来てくださっている方と協力し、ほっと一息つけるカフェを提供していました。去年は、野球の早慶戦やサッカーの早慶クラシコ、Googleが主催する外部イベントにも出店しました。
2つ目は、公園という意味の「パークプロジェクト」。公園が、ひとそれぞれ好きなことをできる緩やかな側面を持っていると考え、それを、キッチンカーで表現しようとするプロジェクトです。例えば、「ダンスをこれまでやってきたからインストラクターをやってみたい」って言う子が、毎週ストレッチの会を企画したり、先日は、オンラインで履修を一緒に組んだり。「こんなことをやってみたい」って思う誰かとコラボをしています。
原田さん
個人的な活動としては、デザインの勉強をしています。あったまるのフライヤーやサイトのデザインにも還元できるように学んでいますね。
山田さん
私は、今回の企画にもつながるのですが、茶道をやっているのでお茶の勉強をしています。また私たち2人とも、同じ石川初研究会に所属して、人と空間の関係性について学んでいます。
原田さん
元々、去年の春学期に各々でキッチンカーをやりたいと思っていた私たちを、たまたま共通の友人がつないでくれたんです。その後、研究会に入ってみたら山田もエントリーシートを出していたみたいで。運命的なものを感じています(笑)
山田さん
「あったまる」は、私たちがキッチンカーをやりたいっていう思いも含め、誰かの一歩踏み出すサイクルを生み出すきっかけになってほしいと思っています。「カフェプロジェクト」と「パークプロジェクト」は一見つながっていないように見えますが、どちらも「よし、また頑張ろう」って思えるサイクルをつくる活動としてやっているんです。
例えば、「カフェプロジェクト」だったら、研究会で疲れた時にキッチンカーの近くにカフェの席が置いてあるとほっと一息できるんじゃないかなとか。「パークプロジェクト」の方も、一歩踏み出そうとする時に、少ない人数で自分の挑戦ごとをやることでハードルを下げられるんじゃないかなと思ったりしています。
企画から販売まで全てオンライン お茶農家さんの想いよ届け!
—— 今回の新茶販売サービスの概要について教えてください。
原田さん
今、コロナウイルスの影響で、さまざまな事業の方が困っていると聞いています。それは、お茶農家さんも例外ではありません。販売先の飲食店が営業中止になり、特に春先に採れる新茶は、お茶の中でも良質な反面、なまものでもあるので処分せざるを得なくなっています。そこに問題意識を持ち、役目がなくなってしまった新茶をオンラインで販売するプロジェクトを立ち上げました。
—— お茶に注目した理由はなんですか。
山田さん
私が茶道をしている関係で、お茶の事業をしている方と知り合いだったんです。生産者さんと実際にお話しする機会もあって、新茶にかける思いはより強く感じていました。わが子のようにお茶を育てている生産者さんがいる中で、捨てられてしまう現状は悲しいなって。また、キッチンカーで「ほっと一息つく時間」を届けてきたこともあり、お茶が日常に「ほっと一息つく時間」を届けてくれるツールにもなると思っています。
—— プロジェクトを始めた経緯を教えてください。
山田さん
知り合いだったお茶農家さんとの近況報告をした会話がきっかけです。実は、今回の企画が発足後、オンラインですが生産者の方ともお話ししました。子どもが面倒を見すぎるとちゃんと育たないみたいに、お茶も肥料を与えすぎると良さが出ないとおっしゃっていました。わが子のように、どうしたらお茶の特性を活かせるかについて考えていらっしゃったのが印象的でしたね。
新茶の魅力を伝えたい! 今だからこそできること
—— 販売するに当たってこだわった点と大変だった点をそれぞれ教えてください。
原田さん
私はデザインにこだわりました。どうやったら買ってくださった方に生産者さんの思いが届くのかなって考えて。もちろん、「コロナで大変なんです」みたいな緊急性の高い感じで伝えるデザインもあります。ですが今回は、生産者さんの新茶をわが子のように扱う柔らかい雰囲気や、新茶そのものが、不安で焦る人たちの日常に寄り添えることを伝えられるデザインを意識しました。
山田さん
きっかけは生産者さんを助けたいという思いでしたが、そのためだけのプロジェクトにはしたくありません。だからこそ、ギフト用を作ってみたり、インスタライブで直接、私たちの声を届けたりしています。今後は、新茶を飲んでみて自分たちの日常がどんな風に変わったかについても発信できたらいいなと思っています。お客さんにただ支援をしてもらうだけではなく、お客さん一人一人にもリラックス効果があるってことを伝えたかった。そういう意味でも値段は、同世代にも手が届くようにしたいなって。そのおかげか、SFC生の方々も買ってくれているようでうれしいなって思います。
—— どんな方に届けたいですか?
山田さん
いつものキッチンカーだと、SFCを拠点に出店しているから自ずとSFC生が対象になっています。ストレッチの企画とかも、割とSFC生限定みたいに発信してきていました。ですが今回は、同世代を中心にコロナの影響で不安を抱いている全ての方にどんどん届けていけたらいいなと思っています。
原田さん
せっかくオンラインでやっているので、SFC生だけじゃなく社会人でリモート作業されている方にも「ほっと一息つく時間」を提案をしたいなと思っています。
山田さん
今回販売している新茶は、「浅蒸し」と呼ばれる製法で作られていて、茶葉が柔らかく、お湯をさすとお茶の葉がひらく様子をゆっくり見ることができます。お茶を入れると、何もしない待っている時間が自ずと生まれるんです。これまでは移動などで何もしない時間を過ごしていたけれど、なくなってしまった今、そういうほっとする時間ってより一層大事だなって。
—— 最後にSFC生に向けてメッセージをお願いします。
原田さん
このプロジェクトが始まる前、コロナで社会が大変になっているなかで、何もできない自分に歯痒い思いを抱いていました。SFC生は特に、社会に対して関心を持っている人が多いと思っています。そんな皆さんに、この取り組みを広めてもらい、購入することで生産者さんへの協力もできる。どんな人に届けたいかっていう質問に近いと思いますが、学生でもコロナ支援の一環として取り組めるということも伝えたいです。
山田さん
私は単純に、「新茶」の魅力が伝わればいいかなって(笑)お茶の時間は、なくても過ごせちゃう時間です。だけど、「若いから」「体力があるから」って無理をしていたら、いつかプチって何かが切れて心を痛めたりするかもしれない。こういう時期だから、自分のことをいたわりながら授業とかも受けてほしいなって思います。私なんか特に、オンライン授業が始まって思っていたより課題が多くて・・・ 多くないですか、課題!(笑)
原田さん
そうだね(笑)
山田さん
パソコンの前で何も景色が変わらないままやっていると疲れてきちゃう。疲れが溜まっていくとどうなるかわからないから、ちゃんと自分のことを大切にしてほしいなって思います。「あったまる新茶環」がそのきっかけになれば、とってもうれしいです。
原田さん
自粛期間だからこそ、自分で自分をいたわらないと。そういう風潮が中心に据えられる時代も来るねっていう話も2人でしていました。
—— ありがとうございました。
6月3日までの2週間限定販売! ほっと一息ついてみませんか?
最後に自らお茶を入れて飲んだのはいつだろうか。慌ただしい日々が続く中、キッチンカー「あったまる」が提案する「心身があったまる暮らし方」は不安を抱えている多くの人を助けるかもしれない。取材では終始、2人のプロジェクトに対する熱い想いが、発せられる言葉のひとつひとつにこもっていた。6月3日(水)までの2週間限定販売だ。問題発見・解決のSFCの精神をフルに活かした本プロジェクトが、多くの人に届くことを願っている。
※ 「SFC CLIP2020」の記載がない画像はあったまる提供