SFC CLIP編集部がお届けする看護医療学部特集。今回は、看護医療学部を中心に活動する国際協力と医療をテーマにしたサークル「PEACE」を取り上げる。

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PEACEは、国際協力や医療に関心のあるメンバーが集まり、2002年に看護医療学部1期生によって設立された。毎年行うアジア各国への海外渡航を中心に、国際協力と医療に関して経験と知識を深めている。
 昨年度は2015年2月末から1週間ほどベトナムへ渡航した。ベトナム戦争で使われた枯葉剤の影響で障害や奇形を持って生まれた子どもたちを保護している病棟や、孤児院を訪れた。「ガイドが『ベトナム人にとって枯葉剤による奇形児は触れたくない話題』と言ったのが印象に残っている」と安田奈穂さん(看3)。障害や奇形を持った子どもたちへのケアが不足しており、暴力的な子どももいたという。成長期の子どもにとって最も重要な個別的なケアが一切されていない現実に直面した。

今年度はミャンマーへ

2015年の海外研修の行き先はミャンマーだ。「ミャンマーは民主化し、都市も発達しているけれど、少数派民族の人たちは未だ深刻な医療問題を抱えている」とPEACEの佐藤彩華代表(看2)。少数派であるがために自国でも言語が通じず、差別もあるため十分な医療が受けられないという。そのため、自国ではなくあえて隣国タイの病院でわざわざ診療を受けるケースもあるそうだ。
 そこで今年度は「それぞれが生まれ育った土地で健康に生活できるというのはどういうことなのか考える研修にしたい」と言う。青田与志子記念慶應義塾大学看護医療学部教育研究奨励基金の助成を受け、1, 2年生を中心に、HIVに罹患している子どもたちに医療支援をおこなう施設などを訪問する予定だ。

看護学を学ぶモチベーションにも

このような海外研修が「自身の勉強のモチベーションになった」と言うのは渡邊潤さん(09看卒)。渡邊さんは1年生と2年生のときにタイのHIV患者のためのホスピスを訪れた。もともと漠然とした理由で看護医療学部に入り、自身の将来像が描けずにいた。しかし、この訪問をきっかけに「懸命に生きようとしている誰かを支えたい」と思うようになったという。そして、卒業後は国際協力機構(JICA)青年海外協力隊として アフリカ西岸中部のガボン共和国に赴任し、国際保健に関わった。

ガボン共和国のHIVクリニック 渡邊潤さん提供 ガボン共和国のHIVクリニック 渡邊潤さん提供

現役生とOB・OGとのつながりも強く、PEACEのOB・OG会として「OP会」を設けている。一年に一度の総会のほか、勉強会や懇親会を企画して交流を深めている。総会には名古屋から新幹線で来るOGもおり、結び付きの強さがうかがえる。

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