シラバスだけではわからない研究会の実情をSFC CLIP編集部が研究会に赴いて調査する「CLIP流研究会シラバス」。今回はヘルスケアとITを掛け合わせ、健康になるためのビジネスを考える伊達仁人研究会を取材した。

日本では数少ない医療系コンサルタント

2015年春学期に着任した伊達仁人政策・メディア研究科特任准教授は、もともと外資系のコンサルティングファームに所属する経営コンサルタントだった。現在は独立し、専門分野に特化したブティックと呼ばれる形態で、大手コンサルティングファームのアドバイザーとして医療系ビジネスにおけるコンサルティングに従事。Eagle Matrix Consulting株式会社のCEOも務めている。

日本で医療系のコンサルティングができる人材は少ない。病院経営に関してはM&Aなどで活躍するコンサルタントは数多くいるものの、医療全般で見ると限られている。最近では神奈川県と共同で、病気の一歩手前の状態である「未病」の見える化に取り組んでいる。

そんな伊達特任准教授はSFC1期生。学部・大学院時代の両方をSFCで過ごしており、キャンパス内のサークルについても詳しい。そのため学生との距離が近く、話も弾むという。

研究会の説明をする伊達特任准教授

研究会の説明をする伊達特任准教授

シラバスに載っていない!? でも単位はちゃんと来る

伊達研は2015年度春学期に開講したばかりの研究会だ。ITを扱うため、今は村井純研究会の一角として存在している。「今後の位置づけがまだ定まっていないためシラバスには載っていないが、しっかり単位は来るので安心してほしい。村井研で医療をやっています、と言うと世の中の反応は結構いいと思う」と伊達特任准教授は話す。

SFCには健康を扱う研究会や健康マネジメント研究科があるが、ITを最大限活用する点において伊達研は個性的なアプローチをしようとしている。既存の研究領域にポジティブに働きかけながら、どのように自分たち独自の研究を確立させていくかを模索している真っ最中だ。「いきなり規定してもわかりにくいので、じわじわとSFCらしく新たな分野を開拓する気概でやっていきたい。データやセンサーなど幅広くITを活用していくと豊かな医療環境をつくることができるし、みんながより健康になるだろう」と、これから進めていく研究への思いを強く語った。

一人ひとりが個人の発言にしっかり耳を傾けて議論していた。

一人ひとりが個人の発言にしっかり耳を傾けて議論していた。

直接ではなく周辺から健康をサポート

どのような位置づけで医療情報に取り組んでいくのか。伊達研が目をつけるのは、公衆衛生だ。今、人々が住み慣れた土地で暮らし続けるために、医療や介護などの生活支援が一体となって提供される地域包括ケアシステムの構築が注目されている。神奈川県での「未病を治す」をコンセプトに掲げた取り組みをはじめ、「健康百寿」「百歳社会」など、各自治体では多彩な取り組みが行われているのだ。このような国や自治体の施策と病院内外での取り組みから、ITを使っていかに新しい産業を生み出すかについて研究を進めていく予定だ。自治体や医学部、海外の大学との連携も視野に入れている。履修生の小木曽一輝さん(環3)は「ヘルスケアの先進的な研究は世界から注目を浴びるはず。超高齢社会の日本でこそ研究する意義がある」と研究分野の魅力を訴えた。

伊達研が大切にしているのは、医療に対しての直接的なアプローチではなく、医療の周辺から健康をサポートすることだ。伊達特任准教授は「たとえば、『健康な生活を心がけよう!』といきなり言われてもなかなかやる気が起こりませんよね。でも私と散歩しようよと誘われたら、一緒にやってみたくなるものです。伊達研では今の社会課題に対してこうした変化球的なアプローチをすることで、みんなが気づかないうちに健康に対する意識を変え、生活も変えていこうとしています」と独自の姿勢を語った。

学年に関係なく議論をしあう仲の良さも特徴的だった。(伊達研提供)

学年に関係なく議論をしあう仲の良さも特徴的だった。(伊達研提供)

社会変革にチャレンジしたい人求む!

伊達特任准教授は研究会を通して「社会に出たときに世の中を開拓できる人間を育てていきたい」と強調する。情報を吸収して処理する力だけではなく、発想し、世の中に働きかけるような力もつけられるよう、チーム制で自分の限界を越えて社会課題解決にチャレンジしていくという。

伊達研はどのような学生を求めるのか。石垣達也さん(総3)は「ヘルスケアに興味がある人、世の中に対して価値のあるものを技術力を発揮して実装したい人、新しい分野でのビジネス展開に興味がある人、少人数のチーム制で自分の力を飛躍的に向上させたい人など、多様な人を求めています」と呼びかける。寺田有沙さん(総3)は「伊達先生はSFC1期生でもあり、学生との距離がとても近く、兄貴のような存在。とても居心地のよい研究会です」と温かい雰囲気をアピールした。

昨春の開講からまもなく1周年を迎える伊達研。教員も学生も熱い思いを持って熱心に研究に取り組んでいるように感じられた。伊達特任准教授担当の2016年度春学期開講授業・研究会の情報は以下のとおり。すでにエントリーを開始しているため、興味を持った人はぜひ連絡を取ってみよう。

2016年度春学期 伊達特任准教授 担当授業・研究会
授業・研究会名 開講時限
ヘルスケアビジネスの創造(仮)(研究会B) 月4,5

みなさんの応募お待ちしています!(伊達研提供)

みなさんの応募お待ちしています!(伊達研提供)

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