ORF2013の【高信頼情報社会エリア(Aエリア)】で、藁谷郁美研究会が「ラーニング・デザイン・プロジェクト」をテーマに外国語教育についての展示を行っている。この展示について、藁谷郁美総合政策学部教授と、合同で研究室を開いているラインデル・マルコ・カイ総合政策学部訪問講師の話を聞いた。


 今年の藁谷研究会のブースでは、プロジェクトの成果が紹介されている。外国語学習環境に関する共同論文が展示されているほか、ラーニング・デザイン・プロジェクト研究会で制作された教材、学習システムを紹介している。これらは、iPadや携帯電話、紙といった多様な媒体を用いてデモンストレーションされていて、見学者が実際に触ることのできるものもある。ブースには、それらの作品の開発に関係した学生がいて、使い方を丁寧に説明してくれる。


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ラーニング・デザイン・プロジェクトとは?


 ラーニング・デザイン・プロジェクト研究会は、藁谷教授とラインデル教授の合同研究会だ。学習環境の構築を目的として、教材や学習システムの開発が行われている。
 学習環境とは、「教室の中での学びと、教室の外での生活がすべて一つのサイクルでつながるようなもの」と藁谷教授は語る。

 様々な教材があれば、学習者たちは、用意された多様な学習方法の中から自分の生活環境に合ったものを選びとって組み合わせ、自らの学習スタイルをデザインすることができる。「大切なのは、学習者の学習環境が日常生活の中に位置づけられること」と藁谷教授。そのためには、教材や学習システムがその時代の学習者の生活環境に合ったもので、日常生活の一環として学習が行われるようにしなくてはならない。
 例えば、現在の私たち学生の生活には欠かせない、スマートフォンやiPadを使った教材の展示などがされていた。

 学習の方法を自分で組み立てると、学びに対する意識のレベルが変わる。また、自分の学習方法と他者のものとを比較すること自分の学びを再び見つめ直すこともできる。
 藁谷教授は、「学生が作り上げた教材やシステムは一つ一つが作品として完成している。しかし、それだけなく、一つ一つが連携することで、学習環境というひとつのダイナミックな流れとして機能するのだ」とプロジェクトの理念を語った。


まなぶ。あそぶ。


 今年のORFでは、特に「遊び」に重点をおいている。この「遊び」という言葉には、学びにゲーム性を持たせるという意味もあるが、学びそのものを遊びのように楽しんで欲しいという考えも込められている。
 

(無題)


藁谷教授は「知識を学ぶのではなく、学ぶことを学べることが、SFCの特徴だ。卒業してからも、SFCで得た学びの体験を振り返れば、いつでももう一度学ぶことができる」と話す。 「学びに対する意識を持つことは、変化の激しい21世紀の社会では特に重要になってくる」とラインデル講師。一度学んでも、環境すぐに変化してしまい、10年後にはもう全く役に立たないかもしれないからだ。 学校を卒業しても、学ぶことは終わらない。「学び」について「学ぶ」ことのできる展示なので、是非訪れてみてもらいたい。