今年もORFでは、あらゆる分野の研究が展示されている。藤田護研究会は「SFCコタン ~アイヌ語と口承文学~」と題した展示を行う(A28)。藤田研は、アイヌ語・アイヌ文化やアイヌの口承文学を主に扱っている研究会だ。

今回の展示について、藤田護環境情報学部専任講師と研究会の学生たちに話を聞いた。

「アイヌ」にとらわれない幅広いテーマを

「我々の研究会はアイヌ語とアイヌ語の口承文学をメインに扱っている研究会ですが、学生が取り組んでいるテーマにはもっと広がりがあります」と藤田専任講師は語る。実際、藤田研ではアイヌ文化についての研究はもちろん、アイヌ出身の知識人、アイヌ語の口承文学に登場する人と人の関係のあり方や社会のあり方、また、アイヌとは関係ない自分の出身地域のお年寄りの伝承など、多岐にわたるテーマの研究が行われている。

アイヌの説話から学ぶ人間の安全保障

もともと国際政治に興味があった山田慎太郎さん(総3)は、アイヌの散文説話をまとめたものである「ウェペケレ」を通して「人間の安全保障」を考察している。「ウェペケレの登場人物は辛苦を乗り越え、最後に幸せな姿で終わるというのが一つのテンプレートとしてあります。様々な説話の分析から、生活や生計の安定についてアイヌの人々の知をより広い枠組みで共有できないかと考えています」と語った。

アイヌの口承文学から国際政治を考える山田慎太郎さん

アイヌの口承文学から国際政治を考える山田慎太郎さん

"伝承すること"の意義を考える

山野貴大さん(総3)は口承文学の伝承の研究をしている。山野さんの地元新潟県長岡市の伝承をもとに小説を書きながら、「現代において、伝承していくとはどういうことか」について考察している。「自分が聞いている話に限らず、伝承というものはあらゆるところに存在すると思います。家族団欒の時間、語り継ぐ機会が減って、物語を持っているのに聞いてもらえない人がいる。多くの物語が語られないまま、文字にされないまま失われています。この研究を通して、伝承とはどういうことか、物語を聞いたものの役目は何か、ということについて考えていきたいです」と山野さん。

地元のおばあさんから聴いた「歴史」を語る

地元のおばあさんから聴いた「歴史」を語る

アイヌ語に触れてみよう! ワークショップも開催

ポスター発表以外にも、研究会全体での企画として「アイヌ語ワークショップ」を行っている。「今回のORFの目的のひとつとして、来場者の方にアイヌ語に親しんでもらうことがあります。アイヌ語は我々も勉強している途中ではあるのですが、実際に聞いて喋って、お互いにやり取りをしてみようという企画です」と藤田専任講師。人が集まれば実施という形で2日間を通して開催している。アイヌ語という少数言語に触れられる貴重な機会なので、ぜひ参加してみよう。

アイヌ語の魅力を語る研究会の学生たち

アイヌ語の魅力を語る研究会の学生たち

SFCにもアイヌ語やアイヌの文化を学べる場所がある

藤田専任講師は「この展示を通して『SFCにもアイヌ語やアイヌの文化を学べるところがある』ことを知ってもらうと同時に、研究会の学生一人ひとりが、自分の研究テーマを聞いてもらい、知ってもらい、アドバイスをもらえる場になればと思っています」とORF展示にかける想いを語った。

アイヌ語やアイヌ文化に興味がある人はもちろん、少数言語・民族や口承文学全般に興味がある人にとっても興味深い展示になっている。明日19日(土)も展示を行っている藤田研究会ブース(A28)に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

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「ウエペケレ」です。

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