ORF2016の1日目・18日(金)、SFC IVによるセッション「TRUST YOUR “CRAZY” IDEAS!!」が開催された。このセッションでは学生らがプロジェクトを発表し、パネリストと共にアイデアを実現させる方法を考えた。学生の挑戦を応援し、その成長を支援することが目的だ。

パネリストは、マーケティングやコーチング、空間設計と、それぞれ様々な専門分野を持つ社会人が集まった。

■パネリスト

  • 加藤由将 東京急行電鉄株式会社
  • 神尾悟史 アンファー株式会社
  • 酒井春奈 株式会社コーチ・エィ
  • 松井俊博 NTTドコモ 

学生からは、交通の待ち時間の研究をする司隆さん(環3)、高校生のキャリア設計をコーチングするプロジェクトを計画中の長井雅史さん(政メ1)と江口未沙さん(環2)、ゲストハウスの開業に向けて取り組む高橋佳歩さん(総2)と山浦未陽さん(環2)が登壇した。

バス列の解消から「待つ」がない社会へ 司隆さん

1日におけるSFC生全員のバス列の待ち時間の合計が200時間にも及ぶ日があることを問題視する司さん。交通機関を待つことなくスムーズに利用できるようにする研究を進めているという。待ち時間の解消にはデータ化・可視化・予測・行動変容の4つの段階があることを指摘し、データ化の方法や交通の可視化の先行事例を紹介した。また、実際のSFCのバス列を調査することにより、SFCバス列では予測の段階までできるようになったという。

SFCのバス列問題の深刻さを説明する司さん SFCのバス列問題の深刻さを説明する司さん

それに対し、パネリストからは調査方法に関してSNSを使用することの是非や、調査の自動化による効率化の提案、高層ビルのエレベーターにおける待ち時間の問題や通勤ラッシュ時の満員電車対策への応用に関する意見がなされた。

高校生のキャリア設計をコーチング 長井雅史さん・江口未沙さん

共に高校生の時、進路選択で迷った経験があるという長井さんと江口さん。学校の成績や偏差値といった、自分の外部にある評価基準に自分の行動を左右され、視野が狭くなっていることが自分に合った進路を見つけられない原因だと分析している。そのため、「判断基準のシフト」をテーマに、アクティブラーニングやプロジェクト活動を通して、興味や関心といった自分の内部の判断基準を元に能動的な行動を起こせるようコーチングするプロジェクトを計画中だ。

それを実現するために、会員制のオンラインコミュニティを作り、先生と友達の中間に位置する人、例えば大学生のような人と面談するサービスを検討中だ。そこで学校の外部とのコミュニケーションを起こし、自分の視野を広げると同時に、自分自身を見つめ直す機会も提供したいと語った。

高校生のキャリア選択の問題点を指摘する長井さん(右)と江口さん(左) 高校生のキャリア選択の問題点を指摘する長井さん(右)と江口さん(左)

これにたいしてパネリストは、ビジネスとしてのゴールをどこに見出すかといったアイデアを実際のビジネスへ落とし込む方法について指摘。ターゲットを高校生に絞る必要性への疑問や、小学生からキャリア設計するプログラムや社会人をターゲットにしたプログラムなどの提案もされた。

ゲストハウスから心の安全基地を 高橋佳歩さん・山浦未陽さん

ゲストハウス「BRATTO」の開業を計画中の高橋さんと山浦さん。BRATTOのコンセプトは、人の心の拠り所としての「安全基地」だ。自分の外側にある問題から身を守る場所を提供することで、むしろ問題へ目を向けやすくなり、チャレンジを促すことができると考えているという。例えば、子供の「安全基地」となる家庭があることによって、子供は外で多少のトラブルがあったとしても対処しようとするようになる。この「安全基地」を、ゲストハウスと地域の人々とのコミュニケーションの場や、学童保育の場と結びつけることにより実現できるのではないかと考えている。

ゲストハウスの概要を説明する高橋さん(右)と山浦さん(左) ゲストハウスの概要を説明する高橋さん(右)と山浦さん(左)

パネリストからは子どもと旅人が触れ合うことによって、子どもの視野が広がるというコメントが寄せられた。その一方で、他のゲストハウスとの差別化や、ゲストハウスと学童保育のどちらに重点を置くかなど、コンセプトについての質問も挙がった。

多様なバックグラウンドを持つパネリストからフィードバックを受け、発表者は各々のプロジェクトを様々な角度から捉え直すことができたのではないだろうか。これからも起業を支援し、多様な角度から学生に選択肢を提供していくSFC IVにも注目だ。

関連記事

関連ページ