慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部(SFC中高)をご存じだろうか。生徒の4人に1人は帰国子女。地方出身者も積極的に受け入れている。広い意味での「異文化交流」が校内にある。また模擬国連、第ニ外国語、映像編集、データ分析などを取り入れたカリキュラムからは「語学」と「情報リテラシー」に力を入れていることがわかる。


 このように、SFC中高の生徒たちの置かれている環境、そして彼らの学んでいることには、SFCの大学・大学院の研究分野とつながる部分が多くある。
 しかし、実質的な「つながり」となると、総合的な学習の時間を使った大学との連携授業がいくつかある程度である。創立からの10年、大学と中高は、生協裏の道をはさんで徒歩0分の距離にあるという近さを生かしきれてこなかった。地理的に離れた高大連携が全国各地で実現されていくなか、これだけの好条件に恵まれた両者が歩み寄らない方が不思議である。今後、大学生と中高生の人間的な「つながり」も増えれば、たとえば両者互角の立場で、共同でプロジェクトを立ち上げることも考えられるだろう。
 私がSFC中高出身の一人として確信を持って言えるのは、SFC中高には語学や情報処理などの能力に長けている若い才能が眠っているということだ。一般に、この可能性に触れることができるのは、通常はできない校舎内見学が可能な文化祭期間だけである。この機会を利用して、「近くて遠い」SFC中高をのぞいてみてはどうだろう。