【SFC時代を振り返って】
学生の意思を求められる授業がなかなか多かったと記憶している。他の大学のように今までの授業の前例がないので、先輩から何か言い伝えられて、教材がそのまま流用できるようなことが少なかったのは、振り返ってみると非常に有難かったなと思う。
 ディベート、レポート提出など、自分で考え、自分の意見で物事を進めていくことができたのは、社会に出てから一番求められるものです。


 いちはやくインターネットに触れられたのも非常に環境に恵まれていたと思います。必要な情報をインターネットのニュースから探し出す。人に聞いてみる。情報の伝達手段、もしくはコミュニケーション手段の一つとしてインターネットがこんな風に便利に利用できることに関しては、当時アメリカからやってきた友人もうらやましがっていましたから。
 一方で筆不精になってしまいましたが・・・一方で、同じ通信手段をもっている人間とは、気軽さからやり取りする機会が増えたというのもありました。
 こんなにも早くインターネットが普及したお陰で、物事がスピーディに進められるようになり、情報を自らの意思で取得するという考え方は、ここが原点ではないでしょうか?ポータルや検索エンジンがかかえる問題点は、情報量の多さから結局のところ本当にほしい情報が得られにくくなっているのも事実です。技術の進歩もさることながら、やはり、知っている人に聞ける安心感は「人間」である以上、欠かすことのできない手段であることも痛感しましたね。
【人生は「教えて!」「答える!」】
 学生生活でも、社会人になっても、人生の中でどれだけの「教えて!」と「答える!」を積み重ねいることでしょうか。
 「今日って天気悪いけど雨降るの?」
 「降水確率80%って言ってたよ。」
 「おなか空いたなぁ。何かうまいもんないの?」
 「あぁ、そういやこの間ログハウス風の店ができてたよ。誰かパスタがおいしいって言ってたな。行ってみる?」
 「この英文の訳ってどんな風になるの?」
 「あぁ、これは『急がば回れ』っていうことわざだよ」
 いくらでも出てきますね。もちろん、勉強していても、仕事をしていても、日々疑問の毎日だと思います。従来、辞書を調べてみたり、本を読んでみたりして、自分で調べてみたり、専門家に聞いたりしてきたと思います。最近では、インターネットの普及により、情報発信をしている個人や企業のサービスの恩恵にあずかるケースが増えています。これによって、百科事典のビジネスが立ち行かなくなるほどですから。
 ただ、あまりの情報量のためにこんな経験はありませんか?いくら検索しても本当にほしい情報に辿りつけない。このようなときにどうしてますか?おそらく知ってる人や経験がありそうな人に聞いていると思います。もっと効率的なのは、インターネットを通して知っている人に聞けたらどんなに便利だろう、と思い始めたのがこんなビジネスですね。

いろいろな知識・知恵・経験をもっている方々がさまざまなジャンルに35万人います。検索したけど見つからない。こんなときに非常に便利ですね。会社の名前も「教えて!」と「答える!」の頭文字をとってOKWeb!まさに教えあうサイトです。ここで守ってもらいたいのが、
 1.教えてもらった方々にはきちんとお礼をすること。常識ですよね。
 2.皆さん一人一人も必ず人に教えることのできるジャンルをもっているものです。
  他の方が困っていて教えてほしい、というときにはきちんと答えてあげてください。
 これさえ守れれば、あなたも今日から教え上手になれますね。
【Q&Aは学習の場】
 インターネットには情報があふれている、と言われていますが、「情報」って何でしょうか?情報で左右されることもあれば、情報を見ても信用しないこともありますよね。アンケート結果を見てもそうです。どうしてこんな結果が出ているのだろう?メディアが独自に集計したのではあまりにも客観性に欠けて見えるので、あたかも第三者の意見として、世情として反映させてみせていますが、設問というのは恣意的ですから、ある意味で誘導ですよね。
 ここで情報というのは、「事実」に加えて個人の「感情」が入っているからです。
 インターネットは情報にあふれています。皆さん一人一人が情報に左右されずに自分の知識まで高めるには、いろいろな学習が必要になります。この学習を効果的に行えるのが実はQ&Aなんです。
 「質問をする」という行為は、非常にスキルがいる作業です。私が知りたいことが何で、コンテクストをきちんと伝えないと回答は得られません。
 「回答をする」という行為は、頭にある知識を言葉という形で表現することです。人にものを教えるときに、「あれっ。昨日覚えたはずなのに出てこない・・・」こんな経験ありますよね。自分の頭にしっかり叩き込まれていないと出てきません。
 質問と回答をした後には当然、お礼という行為が発生します。「お礼」という行為は、いただいた回答の中でも解決に結びついた内容について、改めて自分自身に経験を積ませていただく行為です。
 こうしてみると、各行為の中で一人一人が学習を繰り返すことで、自分自身の経験として伝えられるようになることが重要ですね。
 これから皆さんが積み重ねていく経験は何事にも代え難い貴重なものです。多くの人に伝え、聞くことで一人一人の人間性を向上していただければと思います。
【プロフィール】
福田 匡成 (株式会社オーケイウェブ取締役副社長)
東京生まれ、神奈川育ち
1995年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。
NTTに入社し、EC関連ビジネスなどに携わる。
2000年、オーケイウェブ取締役に就任。