大自然に囲まれたキャンパスSFC。メディアセンターを中心に機能的に造られた(と言われている)一方で、しばしば学生の集まる場所が少ないという不満の声が聞こえてくる。そこで特捜CLIPでは、2回に渡ってその実状についてお届けする。まず前半はイベントのお話。


 昨年、SUBWAYでウェルカムパーティーを主催したSFCeedは今年、アリーナを使っての新歓合同説明会とウェルカムパーティーを断念した。その時期、アリーナは健康診断で使われているためである。SFC学事担当によると、アリーナを使った新入生向けのイベントをしたいという話はこれまでもあったというが、やはり同じ理由で実現してこなかった。それなら別の場所を使えばいいのではないか。当然そうなるのだが、残念なことにアリーナの代わりになるような場所はSFCにないのである。
 SFCeed副代表の山本侑未さん(環2)は「アリーナのような広い空間に全てのサークルが集まって賑やかな説明会を開けば、教室での説明会では無かったような偶然の出会いやちょっとしたコミュニケーションが生まれるのではないかと期待していたのです」と語る。昨年の経験からも、新入生と如何にインタラクティブにその場を楽しめるかということが大切だと感じていたという。「やはり、場所が無い! というのはSFC内で何かイベントを企画するうえで、かなりネックになる部分ですね。サークルのコンサートや公演などがアリーナで行われた前例は無いようですが、あの高い天井と広い空間は、使い方次第では相当素敵な会場なのではないかと睨んでいます。田舎キャンパス(?)らしく、学生がもっと気軽に集まれる場を増やしていけたらいいですよね」。
 シータ館やオメガ館などの大教室は一方的な説明に適していても、交流を目的とした形での使い方は難しい。一方で講義棟の大教室は、机と椅子の移動が可能であるため、自由な空間を作りやすい。2007年度の新歓ではその大教室を使ってブース式の説明会が行われることになった。新入生歓迎の集い実行委員会の坪井彩香さん(環2)はその意気込みを以下のように語ってくれた。
 「SFC新勧の特徴の一つである、1団体1教室の教室説明会。しかし、新入生には教室は入りづらいという問題点もありました。目指していったわけじゃないけど偶然に新しい団体と出会えたらいいなと思って、ブース式説明会を新しく企画しました。今年行う講義棟の大教室では広さに限りもあるので、本当は全団体が一同に集まれるような場所があると嬉しいです。新勧は、新入生にとって大学生活の一大イベントなので、2007年度SFCのいい幕開けにしたいと思っています! 」
 その他、SFCを見渡してみても、イベントで使えるような場所はあまり見つからない。SUBWAYが入る学生ラウンジは50人ほどのパーティーにはちょうど良い。タブリエは100人が限界だろう。学生食堂はノースだけで250人以上を収容できるが、階段と重い扉が閉鎖的で使いにくい。他に大人数が集まる場所と言えばグラウンドやテアトロンもあるが、天候に左右されるのが難点だ。以前はテアトロンで演劇が行われたこともあるそうだが、今は貯水池としての機能しか果たしていない。
 学生の集まる場所がないという問題は、イベントに限ったことではない。SFC生の日常生活でも、ちょっとした集まる場所というものがないのだ。後編では、そのSFCの日常に焦点を当てる。